俺と夏休みと
時は流れ夏休み。
美咲に告白されてから美咲と関わる時間はゼロからイチになるぐらいの変化を見せた。
関わる時間が出来たなと思うぐらいで付き合っている時のように多くの時間関わるということでもない。
夏休みの間までにあったことと言えばついに真夏日になってしまったということだろう。
真夏日になったとはいえもう暑いのには変わらず思ったより心情の変化は小さかった。
暑いなぁー。からあっぢぃぃなぁに変わっただけだ。
他にあった変化と言えば悟……というか野球部だろう。
順調に地方大会で勝ち進んでいるらしい。
贔屓目でも甲子園に行けるような戦力だとは思っていないのでそのうち負けるだろうなと思いつつも順調に進んでいる。
基本的に学校と試合日が重なっていたので見に行けなかったが夏休みになればその辺は自由だ。
そのうち応援を飛ばしに行きたいと思う。
そして今俺は何をしているのかと言うと姉によって自室に篭れ命令を出されたのである。
◇◇◇
これは数時間前の話。
「今日は夏祭り〜!」
由梨は楽しそうに浴衣を1人で合わせていた。
1人で出来るだななんて思いながらソファーでのんびりとスマホを弄っていると浴衣を着た由梨が俺の目の前にやってくる。
「今日はみんなも来るの?」
「は? 皆って誰? 母さんも父さんも仕事だぞ」
「違うでしょ。桜花ちゃんたちだよ」
「来るわけないだろ。大体誘ってないし」
「だよねー」
うんうんと由梨は勝手に納得し変な鼻歌を歌いながらスマホを弄りつつどこかへと去る。
一体何だったんだと思いながらまたスマホゲームをしていると由梨は戻ってきた。
「みんな来るって!」
「は?」
「聞こえなかったの? だから、みんな来るって」
別に俺は難聴系主人公なんかじゃないわ。
お前何言ってるんだって意味で聞き返したんだよ。
小学校低学年じゃあるまいし付き合ってもない異性と夏祭りとかそれダメでしょ。ビッグイベントだよ。
「年頃になってからみんなで夏祭りなんて行かなかったし懐かしいねー。花火とか見てたよね。昔は」
昔を懐かしむ年寄りのように由梨は遠い目をしつつそんなことを言う。
そんなこと言ってるから時代錯誤な人間なんだと思っていると「失礼なこと考えてたでしょ。お姉ちゃんに隠し事は無理だよ」とかほざいていた。
「それで本当なのか?」
「そりゃもちろん。あれ。裕貴予定でもあった?」
「無いわ。何? 俺の心抉ろうとしてる?」
「そう。じゃあ決定事項だねー。あ、とりあえず今からみんな来るから部屋籠っててね」
「え? なんで?」
「あ。もしかして浴衣着替えるところ見たいの? でも、ダメだよ。それは許されないなー。お姉ちゃんでも然るべき所に電話しないと」
「やめて。まだやってもないのに通報しようとするのは」
「通報? 違うよ。お母さん方に一斉送信するだけだよ。『裕貴が娘さんの着替えを覗いていました』って」
「ダメダメもっとアウト。分かった。部屋篭もるからやめて。やめてください」
◇◇◇
ということがあり俺は今リビングでキャッキャウフフしている声を聞きながらスマホを弄りつつ待機しているというわけだ。
由梨も話していたが本当に皆で夏祭りに行くのは久しぶりだ。
正直どこかワクワクしている自分もいる。
また英世さんが居なくなると思うと寂しいが仕方ないね。
いつもありがとうございます。
章立てするほどじゃないと思ったのでしていませんが一応夏休み編? 的ななにかです。
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