俺と親友とツンツン
「特に連絡することもないからこれで終わりな」
担任は1番に教室から出ていく。
教師としてそれはどうなんだと思いながら目で見送ったあと俺もバックを持って立ち上がった。
その瞬間背中にバシンと痛みが走る。
「裕貴! 帰ろうぜ!」
「……悟か。背中叩くのはやめてくれ。普通に痛いから」
「もう1年近く受け続けてるんだし問題ないだろ」
「慣れれば大丈夫とかそういう問題じゃないから……で? お前部活はないの?」
「ウチの部活月曜日ねぇーんだよ。顧問変わったからさ」
ヒラヒラと部活の予定表を見せてくる。
月曜日が休みな代わりに土曜日と日曜日にはしっかりと練習試合の予定が組み込まれていた。
流石野球部。熱量が段違いだ。
「裕貴は彼女も居なくなったことだし……まぁ、男臭く仲良く帰りましょーや!」
悟は俺の肩に手を置きながら歩く。
教室を出ようとするとその前に扉がガラガラっと開いた。
「裕貴……ってアンタじゃん」
「はぁ。どうも鎌ヶ谷裕貴です」
「……どうも。成田夏海です……って、なんで赤の他人みたいな反応してるの。おかしくない?」
「いや……幼馴染ってだけで赤の他人なのに変わりはないかと」
「この際赤の他人でもなんでも良いから……これから暇?」
夏海はスカートの裾をギュッと掴み、裾をしわくちゃにしながら訊ねてくる。
「暇じゃないな。これから悟と一緒に帰る」
「はぁー? それってつまり暇ってことじゃないの?」
「いいや。暇じゃないな。親友との時間を大切にするのは有意義な時間だよ」
我ながらめちゃくちゃかっこいいセリフを言ったと思う。
「そう……なら良いや。じゃあね」
不機嫌そうな表情を浮かべた夏海はブツブツ文句を言いながら立ち去った。
用件ぐらいは聞いてやっても良かったかもと夏海の姿が見えなくなってから思い始めたが時すでに遅し。
どうせ俺には大して関係の無い話だろうしあまり深く考えないようにする。
「良かったのか?」
悟は不思議そうな顔をしながら訊ねてくる。
「何がだ?」
「成田の奴と一緒に帰らなくてだよ。あんな美少女と一緒に帰れるなら俺はお前のことなんか放り投げちゃうけどな」
ガハハハと1人楽しそうに笑う。
とてもモテモテな奴の発言だとは思えないが悟には悟なりの考え方があるのだろう。まぁ、俺が知ったこっちゃないんだけれどね。
「うーん。夏海はねぇ。恋愛対象で見てないし、異性ってよりは友達? だからさ、友達と友達の頼みだったら先着だろ?」
「良くわかんねぇーけど、お前は成田を恋愛対象で見てないってことか」
「そうだな」
「じゃあさ! 俺に紹介してくれよ!」
悟は目をギラギラ輝かせながらお願いしてくる。
「却下。どうせ夏海ならお前が頭下げて告白すれば付き合ってくれるぞ」
「告白はしたくないんだよー。なぁ、裕貴頼むよー」
帰宅中ずっと悟に夏海を紹介してくれと頼まれた。
これなら黙って夏海についていったほうが良かったのかもと本気で思い、別れ、家に着いた。
いつもブックマーク、評価そしてご覧頂きありがとうございます!
ジャンル別ランキング? に入ったみたいでPVが急増してました。本当に有難い話です。
この流れが落ち着いたら1日1回投稿にしようと思います。
1話2000〜3000文字程度に伸ばそうとも思っています。
その時になったらまた後書きでご報告させていただきます。
お付き合いよろしくお願いします。