俺と親友とクラスメイト
教室に入りいつものように座る。
普段であればなんてことのないただただ騒がしいだけの教室なのだが今日はいつもと違い一段と東金海の声が耳に入ってくる。
「別に消しゴムぐらい幾つでも貸してあげるさ。だって消しゴムは消すためにあるんだもんね。俺が持ってたって使うのは1つなんだからさ」
何がどういう流れでこの話になったのかは分からないがそんなセリフをカッコよく言って周りの女の子に使いかけの消しゴムをプレゼントしている。
そしてその使いかけの消しゴムを受け取った女子は大喜びだ。
俺が使いかけの消しゴムをあげたら投げて返されそうなのに……
「裕貴。ついにアイツの近くに行きたくなったのか?」
悟が俺の後ろから脅かすように声をかけてくる。
ウチのクラスイケメン2人も居るとか俺の人権迫害しようとしてるよね。
「はぁ? 良くわかんねぇーけどアイツとは仲良くしたいとも思わないしそもそも出来ねぇーだろ。何言ってるか分からねぇーもん」
「だよなー。俺も何言ってるか分かんない。でもああいうのが女子にモテるのかな」
「どうなんだろうな。俺には分からん」
悟と俺で終始意味不明な海の発言や行動をジーッと見つめる。
流石に見つめすぎたのか目が合ってしまったので何事も無かったのようにスラーっと目を逸らした。
すると、一瞬小さな間が出来た後、海はまた女子と楽しげに話す。
聞こえてくる内容はやはり意味がわからない。
「悟はアイツと仲良いのか?」
「んー。仲良いとは言えないかな。たまに話す程度だ」
「そっか」
「どうしてだ?」
「いや、アイツって訳分からねぇー人間過ぎて気になった」
「なるほどな。それは俺もだ」
気になるからどうすると言われればそれまでだ。どうにかするつもりもない。
イケメンなのに女の気配なし、謎の会話で女子と盛り上がる会話術も持ち合わせている。
一周まわって不気味だとまで思えてしまう。
「このボールペンも生きているんだよ」
ほらね。やっぱり意味わからないよ。
授業中も気になってしまう。
今まではただの雑音ぐらいにしか思っていなかったのに今となってはなにか発する度にしっかりと脳内まで行き届く。
ボケて受けたり滑ったり、先生にする質問でさえも耳に入ってしまう。
もうこれは1種の恋なのかもしれない。
「摂関政治と生鮮食品ってちょっと似てるよね!」
そんなことを口にし先生を含め誰もがスルーする。
やっぱりコイツのことは理解できない。雪はなぜこんなヤツに恋をしてしまったのだろうか。こんなのを好きになるぐらいなら悟を何百回でも紹介したのに。
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海くんキャラクターぶっ壊れてますがこれが通常運転なので安心してください()
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