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俺と暑さと幼なじみと

 姉が休みでも俺が休みになるわけじゃない。

 こうやって現に灼熱の太陽に照らされながら俺は歩いている。

 途中にあるコンビニでアイスでも買おうかと本当に思うぐらいには暑い。

 こんだけ暑くても世間的にはまだ真夏日じゃないらしいから驚きだ。

 時々吹いてくる風は温いを通り越して暑い。

 あれ、間違えてサウナにやってきちゃったのかなと勘違いしたくなるぐらいには暑い。


 目の前に亀みたいなスピードで歩く雪の姿があった。

 暑いのに髪の毛はしっかりと伸ばしている。

 汗と相まってか髪の毛はツヤツヤと光ながら揺れている。

 別に髪フェチとかじゃないのだが良いものを見れたなと思った。


 「おう」


 肩に手をとんと乗せると「ひぃっ」と本気で怯えられた後、息を切らす。


 「なんだ……鎌ヶ谷くんね。突然肩触られるのは驚くからやめてもらえるかしら?」


 どうやら俺がやったと分かった上で驚いたわけじゃないらしい。

 少なくとも「気持ち悪いから触らないでもらえる?」ぐらいの罵声は覚悟していたのでホッとする反面、女の子にガチで驚かれてしまったというショックが入り交じり一言じゃ言い表せないような難しい感情が渦巻く。


 額からタラーっと汗が垂れている。

 何か分からないけれど物凄くエッチな気持ちになる。やっぱり汗ってエロいよね。うん。


 「暑すぎる……」


 隣で雪は呟く。

 右手で汗を拭いながらそんなことを言うので俺まで今以上に暑くなってくる。

 まだ7月の初めだと言うのに真夏だと勘違いしたセミたちは街路樹や電柱で元気に鳴きまくる。


 「ちょっと待ってろ」


 俺は脇に逸れた所にある自販機で缶コーヒーを2つ買う。

 雪には缶コーヒーよりペットボトルの水とかの方が良いかと思ったが水を買ったらそれはそれで「あら。そんな味気ないものを女子に買ってくるとか鎌ヶ谷くんはモテないでしょ」と言葉の暴力をふるってきそうなので俺の飲みたかったコーヒーを素直に買った。


 日陰で溶けそうになっている雪だるまのように縮こまっている雪の頬につめた〜い缶コーヒーを当てる。


 「冷たい……」


 思ったよりまったりとした反応をされてしまったが殴られるよりは数倍マシだ。


 「くれてやる」


 「そう。気が利くわね」


 そんなことを言いながら受け取るとぐびぐびと運動部が水道水を飲むかのようにがっつく。

 コーヒーはそんな一気飲みするものじゃないだろうと思いながら見つめている間に飲み終えたようで缶コーヒーを揺らして残ってないか確認していた。


 「私は飲み終えたけれど鎌ヶ谷くんはまだ?」


 「まだ開けてもねぇーよ」


 「そう。それじゃあ先に捨ててくるわね」


 雪はそう言うとコーヒーを飲む前よりも軽い足取りで缶を自販機の隣にあるゴミ箱まで捨てに行く。

 俺もさっさと飲んでしまおうと缶コーヒーを開けて飲む。


 「うわっ……にっが」


 どうやら微糖じゃなくブラックを買ってしまっていたらしい。

 雪のやつブラックを一気飲みしたのか……逆に喉渇くだろ。

 そんなことを思いながらぐびぐびコーヒーを消化して俺も缶を捨てに行きそのままの足で学校に向かった。

いつもありがとうございます!

朝7時と12時にアップしようとしたら寝過ごしました()

16時と17時と19時にアップするので許してください。


ブックマーク、評価、誤字報告ありがとうございます!

これからもよろしくお願いします!

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