俺と姉貴
梅雨が過ぎ暑くなってきた今日この頃。
七夕やらなんやらというリア充の舞い上がる時期もあっという間に駆け抜けて夏休み直前となる。
と言っても日数的にはまだ3週間ぐらいあるからあと少しと気を抜いたりはできない。
なんなら期末試験さえもまだ終わっていないので体感的には夏休みなんて遠いもののように感じる。
高校生がせこせこ学業に専念している間大学生は既に夏休みに突入したらしく姉貴は帰省してきた。
そして今俺の腹の上で寝ている。
「何をどうしたらこうなるんだよ……」
仕方ないので頭をペシっと叩く。
すると姉貴は目を擦りながら「おはよう……」と挨拶してくる。
「なんでここに居るんだよ」
「え? 起こしに来たんだよ」
「来たんだよ。じゃねぇーよ。寝てどうすんだよ」
「まぁ、そうカリカリしないで。そんなんだから彼女に振られちゃうんだよ」
フフンと勝ち誇ったような表情で仁王立ちをする。
胸がプルンプルンと震えており、きっと姉じゃなきゃ興奮するんだろうなと思うと非常にもったいない気持ちに襲われる。
「もうそのネタ皆使ってないよ」
「何その私だけ時代に置いてかれてるみたいな扱い!?」
「姉ちゃんは実際生き遅れてるでしょ。最近ハマってる芸人は?」
俺がそう訊ねるとよいしょとベッドに座って顎に手をやった。
いや、俺を起こしに来たんだろとか思いながら一々指摘するのも面倒になったので見て見ぬふりをする。
「君のハートにレボリューションしちゃう人とか? 吟じる人とか?」
「10年以上前じゃねぇーか。どっからどう見ても時代錯誤だよ」
「なるほど……実に面白い」
「そういう所だよ……」
もうこの人は手遅れかもしれない。
頭の中が完全に2008年ぐらいで止まっちゃってる。
まだ大学生ですよね? 20歳ですよね。
時代に囚われるって本当に恐ろしい……
「由梨〜! 裕貴まだ起きないの〜?」
リビングから母が叫ぶ。
そうだよね。そりゃ起こしに行った娘が中々降りてこなきな叫びたくもなるよね。
「大丈夫だよ。今起こしたから心配ないさー」
「姉ちゃんそれ家だけだよね。外ではやってないよね。恥ずかしいから」
「へ? 昨日雪ちゃんが外で泣いてたから『心配ないさー』って声掛けたら笑ってくれたよ?」
「あんた何してくれてんだマジで……」
もうやだ。こんなお姉ちゃんいくら可愛くてもいらない……悟に押し付けちゃおうかな。
そんなことを心の中で嘆きながら俺は飯を食うためにリビングに向かった。
案外胸も大きいし、可愛いし、俺よりもコミュニケーションは取れるから悟と案外上手くいっちゃう気もするね。マジで検討しておこう。
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