俺とオタクくんと親友
「桜花。チェキってどうやって撮るんだ?」
「え? チェキ? あたしに誰と撮りたいか言ってくれればセッティングはしてあげるけど……ゆーくんチェキなんて撮るような性格じゃないでしょ」
至極真っ当その通り。
だが、プリクラの1件で写真に関しては吹っ切れたという感じも無いこともない。
「せっかくだからな。記念だよ。記念」
俺の中ではこういう気持ちも芽生え始めていた。
ちょっとだけ女の子の気持ちも理解出来てきたのかもしれない。
「そう。まぁゆーくんがそう言うならあたしから何か言うことはないし……」
桜花は少し俯く。そして顔を赤らめながら顔を上げて見つめてきた。
何だか凄く恥ずかしい気持ちに陥る。
楓とかだったらあざといなの一言で済むのだが桜花にやられるとあざとさの欠片もなく本気で恋しちゃいそうになっちゃう。
多分悟なら勘違いして告白しちゃってたね。
「それで……誰と撮るの?」
桜花と撮りたいと言いたくなる。それぐらい今の桜花は魅力的であった。
しかしそうするとやりたい作戦が出来ずにただメイドさんとチェキを撮った人になってしまう。
それはそれで俺は満足出来るから良いのだがやはり何の解決にもならないとなるとタイムリミットだけが迫る無駄な時間となる。なら、先に問題を解決しそれから桜花とチェキを撮っちゃえば良いんだ。
1人で解決し、俺は欲に勝つ。
「美浜さんと撮りたいな」
「分かった。それじゃあ……って、美浜さん?」
何を聞いていたのか桜花はキョトンとした表情でリピートする。
「あぁ。美浜さん。ダメなのか?」
「いや、別にダメじゃないし。でも…でも……分かった。分かったからちょっと待ってて!」
なんだか桜花のやつ怒ってないか?
特に今なんか明らかにキレてたもんな。
俺何かしたか? してないよな。あぁ。やっぱり桜花もあのオタクのことイライラしてたんだな。仕方ないね。うざいもんね。
キレながら厨房の方へ歩いた桜花を軽く見送って直ぐにオタクと美浜さんの方に意識を向ける。
何も起こらなかった数分であの絡みが無くなる訳もなく今も尚絡まれていた。
「彼氏とかいるんでしょー? 彼氏ぃ」
「ご主人様に奉仕するためそういうようなことは……」
「いいじゃんよー」
このオタク居酒屋で無駄に絡んでくるおっさんみたいな雰囲気すらしてくる。
てか、シラフなのか? お酒入ってるだろ。
申し訳ないけれどこれでお酒入ってないのなら本当に病院連れていきたくなる。
悟は悟でストレスを蓄積しているようでカタカタ机を叩き始めている。さっさとこの状況打破せねば……
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