俺と親友と
「彼女に振られた1週間後に違う女連れて登校した男さん。おはよう」
椅子に座った瞬間奴は声をかけてきた。
唯一このクラスの男子で心を許している男。芝山悟だ。
渋い名前だが、校内1イケメンでファンクラブもあるぐらい人気者である。
俺はこいつのことを心の中でラブコメ主人公と呼んでいる。ラッキースケベを体験しているのかどうかは知らんが多分してるだろう。
というか、合意の元何かしてるかもしれない。
考えただけでイライラしてきちゃった。
「チヤホヤされ男さん。おはよう」
「ところでところで幼馴染可愛すぎてずるすぎ男さん。雪ちゃんと一緒に学校来たのは本当なのかね」
「心の声漏れすぎ男さん。間違いではないわね……」
「グハァァァァ。お前ってやつは! ずるいな!」
悟は机をバシンと叩くと猛烈な嫉妬をしてきた。
「別に仲良いだけで付き合えたりしねぇーんだから関係ないだろ。俺よりお前の方がより親密な関係になれる可能性があるんだし」
「分かってねぇーな。そうじゃないんだよ」
「は?」
「俺はどう頑張っても1人しか手に入れられない」
「1人手に入れる前提なんだな」
「でも! お前……裕貴は! 4人と仲良くイチャイチャ出来る。どんな役得だよ。アニメの主人公か!? ラブコメだな。ラブコメの主人公だな!」
「ブーメランだぞ」
「俺にはファンクラブがあるぐらいだからなぁ。ラブコメ主人公には程遠いよ。どちらかと言えばライバルキャラだな」
「今週告白された回数は?」
「2回」
「人生で告白された回数は?」
悟はうーんと顎に手を置いて悩み始めた。
告白された回数で悩めるとか羨ましすぎるわ。人生で1度は経験してみたいね。
「そうだな。まぁ数えられないぐらいだな」
「そのセリフのどこがライバルキャラだよ。主人公だよ。主人公。今すぐ『俺はいつもいつも告白されて困ってます』っていうラノベでも書いとけ。実話書くだけでベストセラーだぞ」
「俺がモテるのは認めよう。だけれど可愛い子に告白されるとは限らない。俺は重度の面食いだ。更に貧乳だと尚のこと良い」
「ロリコンか?」
「違う! 貧乳が好きなだけだ!」
「なんでも良いわ。とにかく俺は一宮とたまたま一緒に来ただけ。それ以上もそれ以下もない」
話が逸れに逸れて結局勘違いが勘違いのまま理解されそうだったので無理矢理話を戻し完結させる。
「裕貴もフリーになったわけだしぶっちゃけちゃおうぜ!」
「突然何をだよ。なにをぶっちゃけんだよ」
「まぁまぁそう慌てるな」
肩をポンポンと優しく叩かれる。
何だかリズムがイラッとするがこんな所で一々イライラしていたらコイツと友達やっていけないので我慢する。俺偉い。
「あの4人の中で1番好きなのは誰だ?」
「あ……それ聞いちゃう?」
「あぁ」
「ちなみに悟は誰だ?」
「うーん。俺は旭さんだな。おっぱいも控えめだし可愛いからね」
「桜花か……って、一番に出てくる褒め言葉がおっぱいかよ。桜花に言っとくわ」
「ちょっ……タンマタンマ。俺学校居られなくなっちゃうからやめてくれ」
悟はギュッと俺に抱きつき懇願してくる。
本気でやめて欲しいなら抱きつく前に土下座してくれ。
1部の腐女子しかこの展開喜ばないからな。
「うぃーす。お前ら席に着け。出席とるからなー」
「ゲッ。もうこんな時間かよ。じゃあな」
悟は風のような速さで自分の席へと帰っていった。
答えようと思ってたけど答えなくて良いなら答えないわ。
サンキュー担任。フォーエバー担任。
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