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俺とオタクとメイドと

 「かなちゃーーーん」


 俺たちの隣に座っているオタクっぽいけど痩せ型で服装も秋葉原に居なければオタク感ゼロなオタクがさっき俺たちと話していたメイドさんを呼ぶ。

 チェキを撮り終わりニコニコしながらこちらへ向かっており、呼び止められた一瞬凄く嫌そうな顔をしたが直ぐに営業スマイルへと切り替える。

 直ぐに自分の感情を抑え込めるとかプロ中のプロだなと感心しながらオムライスを口に運びつつ眺める。


 「これじゃ自分の仕事もまともにできねぇーな」


 「んー。だから男性スタッフも居るんじゃね?」


 「あー。なるほどね」


 悟は納得したように男性スタッフを見て頷く。

 メイドは終始接客に主きを置いてその他の調理や片付け掃除などなどといった雑務は男性スタッフが引き受ける。

 でもそう役割を振り分けでもしないと間違いなく仕事が回らないだろうなというのはみてとれる。

 そう考えると2人でお店を回したりしているコンビニ店員って実はすげぇーのかもしれない。


 「ご主人様〜! どうされましたか?」


 メイドさんはしゃがんでオタクと目線の高さを同じにする。

 そういう意識ができるとかやっぱり凄い。俺には出来ないし多分桜花も出来ない。根拠はないけれど。


 「あのさぁ! あのさぁ! かなちゃんはどこに住んでるのかな」


 「ご主人様のご自宅に住み込みですよっ!」


 回避マニュアルなのだろうか。悩む様子もなくスっと言葉に出す。


 「そうじゃなくてぇ。実際にどこに住んでるのかって話だよぉ!」


 野太い声が耳に入ってくる。

 最初こそ物珍しさで盗み聞きをしていたが段々とただの気持ち悪さへと変化していき気付けば単純にウザイという最終形態へと変わっていた。

 こういう男がオタクという全体像のイメージダウンをしていると思うとさらに腹ただしくなってくる。


 「本当に住んでるんですよ〜! 私たちはご主人様のメイドですから」


 ズカズカ踏み込まれても一切表情を崩さずに応対する。

 それでもオタクはオタクで引かない。

 その根性をもっとリアルの生活で活かせよと思うがそんなことが出来たら今こんな所でメイドにだる絡みをしたりはしない。オタクだからやるのか、やるからオタクなのかは分からないが結局オタクがそういうイメージを持たれてしまうのも致しかたないとこれを見てると思ってしまう。

 少なくとも俺はやめようと強く決心した。


 「全員がああいう人じゃないんだけれどね」


 厨房から出てきた桜花がジト目でオタクを見つめながら俺たちの元へやってくる。


 「中々収まらないけれどあのままで良いのか?」


 「大丈夫だよ。美浜さん良く絡まれてるし」


 まぁ大人しめで可愛いいかにもオタク好みなメイドさんだもんな。

 絡まれ慣れてるっていう表現はあってるか分からないけれどそういう場面を多く経験しててもおかしくはない。メイド時に限らず。


 「大変なんだなぁ」


 悟は頬杖をつきながら美浜さんを見つめそう呟いた。

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