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俺とメイドさんと

 その後違うメイドさんが飲み物を持ってきてくれた。

 グリーンドメスティックなんとかかんとかドリンクと言っていたが長すぎて忘れた。しかもただのメロンソーダだし。


 氷がカランカラン鳴っているメロンソーダを飲みつつ目の前にあるオムライスに手をつけようとする。

 だが、そのまま食べるのはなんだか勿体ないような気がしたのでとりあえずスマホで1枚パシャることにした。

 個人的に言えばまた描いてくれるんじゃねぇーかとか思いつつもこういう所で描いてもらうから価値があるんだよなと結論付ける。

 やっぱりこの料金には雰囲気代も含まれているのだ。


 周りにはチェック柄で小太りなザ・オタクみたいなヤツや逆になんでお前がここに居るんだよって言うようなイケてる男まで様々いる。なんなら女性も居たりするので来てしまえば楽しいもんだ。


 メイドは商品を出して萌え萌えキュンをすることだけが仕事ではないらしく接客と接客との間にお客様元いご主人様と会話することも業務内容に含まれているっぽい。

 絶対にそうとは言いきれないが明らかにつまらなさそうな会話でもキャッチボールをしっかりしている。

 そういうところを見るとメイドさんにしろ、他のアイドルや声優さんにしろ凄いなと尊敬できてしまう。

 少なくとも俺はつまらない会話は愛想笑いで相手に早く終わらせたいんだけれどみたいな雰囲気を出してしまうからだ。お金を貰ったとしても多分出来ない。

 こうやってつまらないことでもつまらないと表に出さないようにできる。

 これも一種の才能だと俺は思う。


 「俺にはメイドさんみたいなの出来んわ」


 「だろうな。お前人見知りだし」


 「あぁ。それもあるか」


 面白いつまらないの前に人見知りという大問題を抱えてしまっていることに気付いた。

 そう考えると見知らぬ人と強制的に話さなければならないこういう接客業ってやっぱり凄いなと思う。


 「人見知りとか人見知りじゃないとかこういう接客業だとあまり関係ないんですよ」


 ふわふわした雰囲気のメイドさんがニコッと話に割ってきた。

 今この人堂々と接客業って言っちゃったけど良いの? 一応メイド喫茶だよね。


 「あ。接客業って言っちゃった。お世話です」


 あらあらと言いながらニッコリする。

 俺の求めていたメイドはこういうのだ。身内のメイドなんてそれただの幼馴染(おうか)だから。


 「そういうものなんですね〜」


 悟は知らぬ間にオムライスを食っており口にオムライスを運びながらメイドさんと話し始める。お前凄いな。コミュニケーション能力だけはピカイチだな。


 「そうですよ。こういうのがお仕事だって割り切れちゃいますから。現に私だって人見知りなのにこうやってお話出来てますから」


 うんうんと自分で頷く。

 仕事だから割り切っちゃう。アルバイトはやったことないから分からないけれど案外そういうものなのかもしれない。

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