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俺とお布団

 「ご主人様お待たせしましたー!」


 メイドこと桜花がメニュー表を持ってきてくれる。

 ペコリと頭を下げて受け取るが気まずいったらありゃしない。

 冷静に考えて幼馴染がメイド喫茶で働いてるとか考えもしないだろう。


 「うわぁ……メニューなかなかすげぇーよ」


 悟はメニューを見るなり目を細めながら引き気味に言う。


 どんなものだろうと俺も確認するが「うわぁ」という声を隠せないぐらいには中々癖の強い商品ばかりだった。

 例えばフレンチトーストひとつにしたって『プルプルンパンっち!』だし、ちっちゃいチョコパフェに至っては『トロントロンギュインホワンジュニア』とかいう最早何かすら分からない謎ネーミングセンスである。

 これがまるで当たり前かのようにメニュー表に乗っているのだ。しかもどれもワンコインじゃ食べられないという中々強気な値段設定である。

 夢の国も相当お値段するが、この小さな夢の国もあそこ同様雰囲気代ってか?

 でも、すげぇー高いと尻込みするような値段じゃないのがずるい。


 「こういうの誰が考えてるんだ?」


 「うーん」


 桜花は指を唇に当てる。

 周りをキョロキョロと確認すると口を開いた。


 「店長かな。私も詳しいことは良くわかんないけど店長ああ見えて結構女の子っぽい所あるから」


 桜花の視線の先にはさっき俺たちを案内してくれた男性がニコニコ立っていた。

 やはりあれが店長らしい……ってか、あの人の頭の中からこの『トロントロンギュインホワンジュニア』が出てきたのかよ。人間やっぱり見た目じゃ分からないね。


 「桜花ちゃん。回したいからよろしく」


 「あ。先輩。分かりました」


 メイドさんに桜花は指示され承諾する。

 声は小さかったがしっかりと聞こえた。こういう裏を見ると仕事だなぁと凄く思う。


 「ご主人様。どうされますか」


 最初こそ少し頬を赤らめていたがもう吹っ切れてしまったのだろうわざと可愛らしい声を出して旭桜花という一人の人間ではなくこの店で働く一人のメイドとして俺たちの対応をする。


 「旭さん。俺はこの暖かいお布団セットで」


 「いや、なんだよそれ」


 「これだよ。オムライス? あとは……飲み物も付いてくるっぽい」


 「ほぇ〜。良く分からないけどそれじゃ俺もそれで」


 「はーい。かしこまりました。ご主人様たち少し待っててね!」


 桜花はそう言うと厨房に向かった。

 こんな対応されたら常連になっちゃうね。メイドさんの中身が知ってる人で良かったわ。マジで。


 「そんなことあるんだな。めちゃくちゃおもしろいな」


 「面白くはねぇーよ。んにしてもメルヘンチックだよな。メイド喫茶って」


 「良くわかんないけどこんなもんなんじゃね?」


 周りのメイドさんとお客さんの掛け合いなどを盗み見しながら暖かいお布団セットを待った。

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