俺と平和な日常
楓という重要案件が終わる。
やっと平凡な日常が戻ってきた。
平日も特に何か面白いことも無く悟に絡まれ、ただの睡眠導入BGMと化している無意味な授業をとりあえず耳に入れながら眠り帰宅する。
休日になれば「暇だな」と呟きながら贅沢にゴロゴロする。人生という限られた時間でこんな無駄な時間があって良いのかと悟りそうになるぐらいゴロゴロしまくる。
そしてそんな2日間はあっという間に過ぎ去り憂鬱な月曜日がやってくる。こちらは一切歓迎していないのにやってくるのだから意味がわからない。
お引き取り願いたい。なんなら土曜日さんを連れてきて欲しいまである。
グダグダベッドの中でしていてもタイムリミットは存在するわけで、母親という名の怪物がやってくるのだ。
「あー。今起きるー」
寝起きとは思えないような声を腹から出しリビングに向かう。
脳みそは眠ったまま朝飯を身体に流し込み起きているんだか寝ているんだか分からない状態で学校に向かう準備を整え、鞄を持ち家を出る。
こんな状態だから忘れ物をするんだというのは理解しているのだが実行できる訳では無い。起きるの辛いもん。
教室に入ると悟がいつものように意気揚々と声をかけてくる。
「おはよう! 今日も死んだ顔してんじゃねぇーか!」
何が楽しいのか分からないが悟は「ガハハハ」とどこかの親父みたいな笑い方をしている。朝から背中と耳に響くので叩くのも笑うのもやめて頂きたい。
「そりゃ月曜日だからね」
「なんで月曜日嫌いなんだよー! 部活オフなんだぜ! 嫌いなわけないだろ!」
悟は「ヒャッハー」と突然叫んでしまいそうなぐらいのテンションで力説する。
野球部が休みで俺が月曜日を好きになると本気で思っているあたり悟は天才だと思う。並大抵の頭じゃ思いつかない。
「そうだ! 裕貴今日は暇か?」
「んー。まぁ予定なんか無いけど。何? あんま遠くには行きたくねぇーんだけど」
「大丈夫!」
悟は手に持っていた鞄の中身をガサゴサ漁り1枚の紙を取り出してヒラヒラさせて見せつけてくる。
ピンク色の紙に柔らかい印象を持たせる丸文字。そして可愛いメイドさんが2人楽しそうに写っている。その上の方には『ご主人様・お嬢様のおかえりをお待ちしております』と丸くて可愛くて大きな文字で書かれていた。
俗に言うメイド喫茶とやらというものだろう。
この辺りにはそんな洒落たものはない。
アニメとか漫画とかでたまに見かけるある種異次元な世界だと勝手に解釈してしまうレベルだ。
「放課後行こうぜ。すぐ近くに出来たらしい」
「マジ? 知らなかったんだけど」
「俺も今日ビラ配ってて初めて知ったから」
「悟……たまにはやるな!」
「だろ?」
悟は満更でもなさそうに鼻の下を擦る。
一応言っておくけれど褒めてはないからね。
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