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俺と可愛い幼馴染

 昼休み。

 ブラッと歩いていると楓とすれ違う。

 反射的に見て見ぬふりをしようとするが立ち去り際に手をギュッと握られる。

 柔らかい感触……じゃなくてなんで!?


 「おーい。楓さーん。引き止めるのは百歩譲って分かるけれど手を繋ぐのはダメでしょ」


 「えー。可愛い可愛い楓ちゃんと手を繋げてるのに文句言うの?」


 「前提がおかしいだろ。誰もが手を繋ぐの嬉しいと思ってるならそれは間違ってるぞ」


 「じゃあ、裕貴は嫌?」


 ずるい。ただでさえそのセリフは効果抜群だと言うのに上目遣いでスカートの裾を掴みつつ言われたら頷けるわけがない。

 男として可愛いと思わざるを得ない。


 「嫌なわけあるか。ただな周りの目もあるし、誰にも手繋いでると変な男が寄ってくるぞ」


 頭にはアイツの顔が浮かんでくるが口にはしない。


 「大丈夫。楓の信用してる人にしかしないから」


 「そうか。俺は信用されてるんだな」


 「ちっちゃい頃から一緒にいるのに信用するなって方が無理じゃない? それに楓の8割は裕貴の価値観で出来てるんだから」


 ムフンと謎のドヤ顔を見せてくる。

 はっきり言って1ミリも意味がわからない。

 もしかしたら今の会話のどこかに威張る要素があったのかもしれないと思い軽く振り返ってみたがやはりわからない。


 「一緒にいるうちに楓自身でも分かるぐらいに裕貴の考え方に影響されたの。だから楓と裕貴は似た者同士!」


 楓はえへへと嬉しそうに笑う。

 少し頬を赤らめているのがさらに可愛さを増す。

 これが野生の動物なら迷わずにお持ち帰りしていたところだ。危ない、危ない。


 「楓がそう思うならそうなんだろうな。俺には分からんけど」


 特に隠す必要のないと判断し俺は素直に答える。


 「それよりもどうだ? イジメは無くなったか?」


 本題はこっちだ。

 いずれ聞かなくてはならないと思っていたのでこの際に聞いておく。

 もし作戦が失敗してしまっているようであれば新たに色々と構築し直さなければならない。

 成功すればピタッと止むし、失敗すればいじめはさらにヒートアップするだろうと俺は考えている。

 だからこそ次の手を打たなければならないのなら早めに次の手段を提示しなくてはならない。楓のためにも。


 「とりあえず直接はなくなったかなー。涼太くんに好かれようってイジメっ子が楓に優しくなったからね。まぁ、裏で何言われてるか分からないんだけど」


 「とりあえず改善はしたって感じだな」


 「うん。ありがと」


 「ん? なにがだ?」


 「あの環境を作り上げたの裕貴でしょ?」


 二ヒィと白い歯を見せてダブルピースしながらバレてるよと言わんばかりにあざとさをアピールしてくる。


 「楓を呼び出して結局会わなかったし」


 「あぁ……展開が凄くて呼び出したってこと忘れてたわ」


 「えー。それ酷くない!?」


 ムスッと口をふくらませて文句を垂れる。

 そんなあざとさも可愛い。


 「ってか、見てたの……? どこまで?」


 「えーっと……楓の好きな人は難しい物件だってとこかな」


 するとカーッと顔を真っ赤にした。


 「桜花とかに言っちゃダメだからね! 絶対だよ!」


 「あー。善処する」


 「善処じゃだめ……それ以上のことすれば良いのかな……」


 楓は何か思いついたのかポンっと手を叩くと俺の手を口元まで持っていきそのままキスをした。マウストゥーマウスではない。俺の手の甲にだ。


 「裕貴の頭はキスのことでいっぱいになって、だから楓の好きな人のことは忘れて!」


 死に際のセリフのようにぶちまけると楓はそそくさとその場を去った。

 俺は普通に嬉しいがアイツは俺の手にキスなんかして良かったのだろうか。なんか家に帰って後悔してそうで申し訳ない。

いつもありがとうございます!

ブックマークと評価もありがとうございます!

誤字報告も助かっております。



朝投稿しようと思ったのですが寝坊し、昼はタイミング逃しで今になりました()


17:00、19:00、22:00で投稿しますのでお付き合いよろしくお願いします。

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