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俺とゆるふわ系

 5限、6限と教科書を見るふりしつつ寝る。

 今日はゆっくりゆったりとした放課後を迎えられると思っていたのだが楓に呼び出されたせいで多分まったりとした放課後は過ごせない。

 仮に呼び出されてなくても悟にどこか連れて行かれていたような気がしなくもないのでどうでも良い。もう俺に平穏な放課後は訪れないのだから。


 楓の指示通り図書室に向かう。

 図書室なんて年に数回行けば良い方だ。

 しかも自発的に行く訳ではなく大抵は授業内で連れていかれるか、掃除をしに行くかの2択である。


 今日は半分は自発的。半分は無理矢理という状況だ。

 図書室特有の重い扉を横に引き図書室へ入る。

 本当に人は少なく図書委員会で受付に入っている2人以外誰もいない。


 席は選り取りみどり全ての席から選べる。


 「あれ。楓は?」


 呼び出したくせに遅いなとか思いつつまだSHRが終わっていないのだろうと勝手に解釈し適当な席に座った。

 スマホを弄りながら楓を待つ。

 図書委員は暇になったのかぺちゃくちゃ話し始めてしまう。

 図書室として考えれば環境として最悪すぎるが別に俺も本を読みに来た訳では無い。

 なので静かな空気が流れるより幾分かマシである。


 そんなどうでも良いことを考えていると扉が開いた。


 「裕貴! 楓ちゃんがやってきたよー!」


 嵐みたいに騒がしいやつがやってきた。

 図書委員の人達は揃いも揃って楓の方に視線を向けて数秒まるで何も無かったかのように談笑モードに戻る。


 「それで良いのかよ」


 「へ? 何が?」


 「いいや。こっちの話」


 片手で持ったバッグをドサッと下ろし俺の目の前の席に座る。


 「それでなんだよ。わざわざ図書室なんかに呼び出して。何も無いなら帰るぞ」


 「えー。せっかく可愛い可愛い楓ちゃんがこうやって裕貴のことを呼び出したのに帰っちゃうの?」


 「図書室なんかにいるより家に居た方が楽しいからな」


 「ふーん」


 楓は落ち着かない様子で髪の毛をくるくる触る。


 「それで……この楓ちゃんに何か言うことない?」


 ジロッジロッと目線を送ってくる。

 突然そんなこと言われたって分からないものは分からない。

 ここ最近まともに楓と関わったのはバーベキューぐらいでそれ以外なにかあったかと言われても思い出せない。少なくとも俺にとってそこまで重要な絡みではなかった。

 大体ココ最近は夏海、夏海、夏海で忙しくその間に何かやらかすほどの余裕もなかったはずだ。つまり俺は何もしていない。


 「可愛い楓ちゃんに隠し事はダメだよー。あ。もしかして、楓ちゃんを弄んでる的な?」


 勝手に独り歩きし始めている。


 「焦らしプレイは良くないから言っちゃうね。夏海と付き合ってたの? それで別れたの?」


 「いや。付き合ってもないし別れてもない」


 正直頭の片隅にこの事だろうなと思っていた。だが、違った時に面倒なので記憶の中で見て見ぬふりをしていたのだ。

 認識をしていたからこそ即答できた。


 「じゃあなんで手繋いだりしてたの?」


 「そりゃ色々あって……お願いされてたからだな」


 「お願いねぇー。ふーん」


 楓は一瞬ニヤッと笑ったようにみえた。

 不思議と恐怖を感じてしまうそんなような笑みであった。

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