俺と幼馴染とプリクラと
無事にデートという名義の買い物を完了させる。
やはり俺にはこういう買い物デートの楽しみは理解出来ない。
水族館デートみたいなベタなものの方がまだ楽しめる気がする。
「まぁこんだけデートっぽいことすればデートごっこをした意味もあっただろ」
「そうだね。アンタとこんなイチャイチャしてるところを公衆の面前に晒すのは些か不愉快だけれど仕方ないね」
「今更何言ってんだ」
「じゃあ次は……」
夏海はショッピングモール内のマップの前で指を唇の上に置き「うーん」とあざとく唸りながら何かを考察しているようだった。
多分まだほかの店に行くつもりなのだろう。
どこからその体力が湧き上がってくるのか知りたい。
少なくとも俺はもうヘトヘトだ。
マネキンみたいに好き勝手着替えさせられた上に趣味でもない服を買わされて福沢諭吉をリリースしている。
可能なら今すぐに帰る方向にシフトしたい。
俺はそんな思いを胸に抱きながらそーっと夏海の方に視線を移すとギロっと鋭い視線を送られる。
誤魔化すために口角を大きくあげて作り笑いをしておく。
「次はあそこに行くから。アンタも来て」
「どこに行くんだよ」
「そこ」
指をさしたりせずただ言葉だけそういう。いや、俺超能力者じゃねぇーから分かんないぞ。
そこってどこだよ。まさか、お前もランジェリーショップに行くつもりなのか?
店員さんの視線が痛すぎるからやめてくれ。
心の中でひたすら嘆いていると騒がしい所へ連れてこられる。
色々な音が混じりに混ざってカオスと化しているここはゲームセンター。
子供から大きな子供まで様々な年齢層が集う沼だ。
「ゲーセンで何すんだよ。こんな所イチャイチャもクソもねぇーだろ」
「あるでしょ。カップルがやるあれ」
「分からん」
「プリクラ。アンタそんなことも分からないの? 本当に美咲と付き合ってた?」
「失礼な。これでも3年間付き合ってたんだぞ」
自分で言って悲しくなってくる。
3年も付き合った結果振られたんだと思うと胸の奥から謎の感情がこみ上がってきてしまう。
割り切って忘れたつもりでいたけれど結局自分の中でまだ処理できていなかったのかもしれない。
「よし。撮るぞ。プリクラ撮っちゃうぞ」
「うわぁ……おじさんかよ。気持ち悪い」
「え。今のキモかった?」
「キモかった」
キャラに合わないような言動は慎もうと思った。
やけくになっても自分というキャラを忘れてはいけない。
「とりあえず俺にはプリクラとか良くわからん。好きなようにしてくれ」
「アンタ私を誰だと思ってる? ピチピチの女子高生だよ? プリクラぐらい任せなよ」
胸をぽんと叩いてドヤる。
辛辣な言葉を吐くより可愛いので夏海はそのままのキャラでいてください。
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目に見える結果ってやはり自信にも励みにもなります。
まだまだ続けるつもりなので皆さんお付き合いいただけると嬉しいです!




