俺と幼馴染のプライベートと
楓の教室に入ろうとするが鍵が閉まっていて入れない。
前の扉も後ろの扉もビクともしない。
「あー……帰っちゃったか」
「あたし達何も言ってないし残ってる方がおかしいよね」
「それもそうだな……とりあえず帰りに楓の家寄るか」
「うん……そうしよ」
俺たちは楓の家へと向かった。
楓の家に到着する。
と言ってもすぐそこが俺の家なので新鮮味は何も無い。
「あたし! 桜花!」
桜花がインターホンに向かってそう言ってしばらくすると扉がガチャりと開く。
「んー……どうしたの? なんか楓忘れ物したっ……ひぃ」
楓は物凄いスピードで扉を閉める。
いや。その。うん。明らかに部屋着だったね。
白くてもふもふしたローブに犬の耳がちょこんと付いているフード。
ボクっ娘楓だったらギャップでキュン死していたかもしれないが今のあざとさで出来ている楓であればそこまで驚くことでもない。
「あたしもあーゆの着てみようかな」
桜花はスマホを取り出すなりumazonで商品を漁り始める。
楓の家からはバタバタという音が聞こえて直ぐに扉が開く。
さっきに比べたらまともな服を着ている。
それでもまだ部屋着感は否めないがそもそも家な訳だしセーフだろう。
「……桜花、裕貴居るならそう言ってよ」
楓は開口一番にムスッとスマホに夢中な桜花を責め立てる。
「ごめん。あたしあんな服着て出てくるとは思わなかったし」
桜花は責め立てられていることに気付いているのか気付いていないのかアハハと流すように笑う。
「……とにかく何か用事あるの? それとも単純に楓が何か忘れ物した感じ?」
「いや前者だ」
「そっか……そしたら2人とも上がって。お菓子も何も無いけどね」
楓の言葉に甘えて俺たちは家に上がらせてもらう。
そういえば楓の家に来たのなんて何時ぶりだろうか。
間違いなく家に入ったことはあるのだが最後に来たのが何時だかなんて思い出せないぐらいには来ていない。
「お茶と水どっちが良い?」
「あー。俺は水で構わん」
「あたしコーヒー!」
「桜花楓の話聞いてた? まぁ、あるからコーヒー持ってくけど」
楓も桜花ワールドに引きずられながら対応する。
なんか今日の桜花明らかに暴走してる。楓が楓じゃないみたいだ。
「じゃ桜花は楓の部屋に裕貴連れて行っておいて。それで下着とか漁らないように見張っておいてね」
「任せて!」
桜花はたわわな胸をポンっと叩いて請け負う。
いや、俺人の下着漁ったりしないから……したいけどする勇気ないから。
楓の部屋に入る。
俺の記憶にある楓の部屋とは机の配置や本棚の配置、置いてあるぬいぐるみとかが違う。
いや、ぬいぐるみに関しては俺の頭の中で勝手に改竄されている可能性があるから変わっていない可能性もあるんだけど机とか本棚に関しては明らかに配置が変わってる。
なんなら、物まで変わっている。
「懐かしいなぁ」
「ゆーくんは最近ここ来てないんだ」
「そりゃ一応思春期の男女だからな。多少の抵抗はどちらにもあるだろ」
「そっか。ちょっと待っててね」
桜花は立ち上がりまるで自分の部屋かのようにクローゼットを開けて1冊のアルバムを取り出す。
「これねアルバム!」
「楓のか?」
「うーん。えーちゃんだけじゃなくてあたし達のアルバム的な?」
「なんだそりゃ」
「うーん。とにかく見ればわかるし!」
桜花は説明することを完全に放棄してアルバムを広げる。
そこにはちっちゃい頃の俺たちの写真が保管されていた。
懐かしいなって写真から誰がそんなところ撮ったんだよというような写真まで色んな写真がある。
「お待たせー……って、桜花またそれ見てるの? 本当に好きだよね……はい。水」
「あ、おう。さんきゅ」
「桜花もコーヒーね」
楓は「はー疲れた」と言って座る。
「楓、このアルバムなんなんだ?」
「それ? なんか楓達の親が撮った写真を集めたアルバムなんだってさ」
「それって俺の所もか?」
「うん。ほら、この遊園地の写真とかは裕貴のお母さんが撮ってくれたでしょ?」
「あー確かにそれもそうだわ」
俺たちは本来の目的なんか忘れてしばらくアルバムの虜になっていた。
写真撮られてるその時はすげぇー嫌なんだけどこうやって見返すとなると楽しいよね。
まぁ、だから写真撮られるのが好きになるわけじゃないんだけどな。
いつもありがとうございます!
ブックマークや評価もありがとうございます!
もう1年が終わろうとしています。
早いですね。
年末に近付くにつれて作者は忙しくなっていきます。
嫌ですね。
……というわけで、投稿ペース遅れて申し訳ないです。
感想の方も返信出来ずに申し訳ないです。
こんなダメダメな作者ですがこれからもゆっくりとお付き合いしていただけると嬉しいです!