俺と決定事項
夏休みは終わり学校が始まる。
更に幾日か立ち夏休み前に公示のあった生徒会選挙が行われ真面目そうな生徒会長からノリで立候補しちゃった感の強い陽キャ女子が生徒会長になった。同級生だが知らん。
初めて顔みたレベル。
でも、桜花たちは彼女のことを知っていたのでそうとうスクールカースト上位なのだろう。
アイドルの総選挙じゃないんだから可愛さで投票するのやめろよ。マジで。
立候補してた真面目そうな元副会長くんが不憫すぎるよ。
ちなみに俺はその女子に投票した。
いや。だってみんな投票するとは思わないじゃん。別に可愛いから投票しようって投票したわけじゃないからね。
そういうわけで生徒会が代替わりして最初のイベント文化祭が迫っている。
この6限目で文化祭実行委員を決めることになった訳だが中々手が挙がらない。
意味もなく時間が消費され、精神が蝕まれるこんな仕事自ら進んで取り組もうとか思う人は中々居ない。
別に批判している訳じゃなくてそれが普通だ。
現に俺だってこの場にこそ居るが空気を薄くしまくり無関係を装っている。めんどくさいもん。
「今日決めるまで帰れないと思えー」
担任は教卓に肘を置いてだらけながらそんなことを口にする。
こうなると耐久戦だ。
誰が先にしびれを切らして挙手するか。そんな己と己がぶつかり合う勝負となる。
「俺は富里さん何かが実行委員良いんじゃないかなって思うよ。ほら、普段静かな人ほどこういう時にまとめあげる力を持っていると思うんだよね。人間関係もややこしくないしピッタリだと思うわけさ」
海は口を開いたと思ったらそんなことを口にする。
富里さんって誰だっけと思っていると前の方で「え……あ……私、私ですか!?」とアワアワしている女子が居た。
あんなに可愛い子いたんだというのは置いておいてきっとあの子が富里さんなのだろう。
「そうか。富里。東金から推薦受けたけどやるか?」
担任は教卓から直接尋ねる。
視線は海の方から一気に富里の方へと移った。
視線が集まったことでさらにアワアワし始める。その度に長い髪の毛がフワフワ動いてなんか妙にそそられる。
「わた、私そういうことやったことないですし……多分まとめたり出来ないですよ」
「富里さんそれなら心配しなくて大丈夫さ。ウチのクラスには鎌ヶ谷裕貴っていう人望の塊がいるから問題ないさ」
「お。裕貴か! アイツ文句は言うけど仕事はしっかりとしてくれる良い奴だぜ。俺も賛成だ!」
海の言葉に悟もひょいひょい乗っかる。
こんなタイミングで名前出された人可哀想だな。
断れる流れじゃないよね……あれ。俺じゃん。
「ちょっ……俺はやらねぇーぞ。そんな面倒なこと」
「ですよね……私と一緒に実行委員なんてやりたくないですよね」
富里はしゅんとしながら作り笑いを見せる。
なんだこれ。完全に包囲されたんだけど。
「うし。じゃあ決定だな」
担任は俺に確認せずカタカタと黒板に『鎌ヶ谷裕貴』という名前と『富里姫』という名前を書いた。
「これで解散……あ。実行委員2人は残ってくれ別途で話があるから」
え。俺の意思は?
「裕貴頑張れよー。出来ることなら俺も手伝ってやるからよ」
悟は他人事のように俺の肩をポンと叩いて部活に向かった。
いつもありがとうございます!
文化祭編に突入です。
これからもよろしくお願いします。