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俺と野球の神様と

野球回あと2話です。

お付き合いよろしくお願いします。

 8回の裏。こちらの攻撃だ。

 このまま点が取れないとなるとこれを含めてあと2回で負けてしまう。

 余裕を持つためにもこの回でとりあえず同点に持ち込んでおきたい。


 「あら。守備が変わったわね」


 「本当だ。あそこに居た選手ベンチに下がっちゃた。あ、あっちもだ」


 ショートに居た選手はベンチに下がり代わりに細い体型の選手が守備に入る。

 守備職人という感じが醸し出されておりなんか敵ながらカッコイイなと思ってしまう。

 センターに居た選手はライトへ、ライトに居た選手はレフトに回ったようでレフトに居た選手はベンチへと下がりここもまた細い体型をした選手がセンターに入る。


 8番が打席に入る。

 1球目は思いっきり振ったが当たらず、2球目はバットを何とか止めて見送り、3球目を軽く振るとボールにあたる。

 タイミングも良く、また芯に当たったのだろう。音こそさっきのホームランに比べて小さかったがボールはセンター方向にぐんぐん伸びていく。

 伸びて伸びて、センターはフェンス手前まで来る。


 「よっしゃー! 伸びろー!」


 俺がそう叫んだ瞬間。センターは青いクッションを重心にして飛びボールを見ずにグラブを出すと外野に飛び込もうとしていたボールがグラブに吸い込まれる。

 センターはグラウンドに落下し、捕球したボールをアピールし、審判はアウトを宣告する。

 つまるところ、守備交代したセンターがホームランキャッチをしたのである。

 せっかくの1点を無駄にした。


 だが、感傷に浸る時間もなく次の打席は始まる。

 次は悟だ。

 奴が今どんな心境でバッターボックスに入っているかなんて俺には分からない。

 1球目は振る気ゼロだったようで全くビクともせずストライクが宣告される。

 2球目で待ってましたと言わんばかりに緩い球を拾うようにしてバットを出す。


 コツンと当てただけのバッティングではあるがセカンドとファーストの間に落ちてそのままレフトの方までゆっくりとゴロゴロ転がっていく。

 ライトがボールを捕球した時には悟は1塁に到達しホームランを打ったような喜びを見せていた。

 ベンチも心做しかいつもより声が大きくなる。


 打順は先頭に戻る。

 相手ピッチャーはランナーが出たことでセットポジションになり、ギアもチェンジしたのだろう。

 バッターはひたすら打ちにくそうにバットを振り三振に倒れてしまう。

 せっかく出たランナーを無駄にはしたくない。

 そんな俺の思いが通じたのだろう。

 2番が思いっきりバットを振ると三遊間にボールが転がっていく。

 サードは取れずにボールを見送り、ショートも距離的に取れない。ヒットだと思ったがショートは思いっきり飛び込みボールをキャッチする。

 歓声が湧き上がり流れが謎に相手側へ傾いてしまう。

 その中でショートは起き上がりすぐに1塁へ送球する。

 守備交代で出てきただけあり送球速度も速く、コントロールもかなり正確だ。

 このままだとアウトかセーフか際どいと思っているとランナーは1塁にヘッドスライディングをし、審判は暫く俯いた後に両手を横に広げた。

 つまり、執念が勝利し内野安打となったのだ。


 このガッツを賞賛するかのようにワーっと拍手が巻き起こる。

 野球の神様は最後までどっちに微笑むか分からない。


 だから、次の打者が初球で打ち上げてしまうこともある。

 こうやって流れがグルグルするものこそ……そう、これが野球なのだ。

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― 新着の感想 ―
[一言] ファーストに限れば、実はスライディングするより駆け抜けぬ方が早い、とか聞いたことあるけど(そもタッチ必要ないし)、やってないので本当なところは知らない。 点が入ればよいけれど、入ったとして…
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