俺とラッキーセブンと
どちらも0の数字を譲らない。
相手がスコアボードのH欄に1を刻めば次の回こちらが1を刻み、こちらがピンチを作り死にものぐるいで脱すれば相手がピンチを作り脱する。
そんな押したり引いたりする攻防が続きに続いた7回表。
俗にラッキーセブンと呼ばれている。
何かが起こりそうだよね。実際に検証したらどの回も変わらないんだろうけどさ。やっぱりラッキーセブンだと空気が変わっちゃうようなイメージがあるんだよね。思い込みかもしれないけどさ。
「たこ焼き買ってきたよ。楓ちゃんが食べさせてあげよっか」
「いや。自分で食えるから」
楓含め幼馴染たちが外の売店から帰ってくる。
いやぁ。高校野球でも売店てかあるもんなんだね。ビックリしちゃったよね。
東京の特権なのかもしれない。
他に雪はホットドックを手に持っており、夏海はやきそばを隣で美味そうに食べている。
桜花は何を選んだのかと思って見てみるとミニラーメンにミニカレーを持っていた。
カレーを膝の上に置き絶妙なバランスを取りながらラーメンを口にする。
やっぱり食い意地は張ってるんだなと思い試合に目を戻そうとしたその時今日一の「カキン」というボールをはじき返す音がする。
ボールはどこだと捜しても見つからない。
内野手も外野手もほとんど動かずボールを追いかける仕草しかしない。
悟は静かにしゃがみ、周りの観客は一瞬静かになった後「うぉぉぉぉぉぉぉぉ」という雄叫びにも聞こえるような歓声が聞こえる。
ボールを弾き返したバッターは右手で遠慮気味にガッツポーズを決めて1塁ベースを踏み、2塁ベースを踏み、3塁ベースを踏みつつ3塁コーチャーと喜びを分かち合い、両足でホームベースを踏みつける。
それと同時に電光掲示板には1というスコアが刻まれて重たい事実を突きつけられる。
ホームランで1点リードされてしまったのだと。
「凄いホームランね」
「あれ場外行ったんじゃない?」
夏海と雪はそんな会話をしているが場外には行っていない。
右中間で白い何かが跳ねているのを見つけたからだ。あれがホームランボールだろう。
この1点は重すぎる。相手の先発に好きなように投げさせている時点で2点奪取しようというのは難しい話だ。
なんなら1点すら怪しいとも思う。
一旦間を取るためか涼太は悟の元へ駆け寄り何かを話して内野陣が集まる前に自分のポジションへ戻る。
何を話したのかは分からない。
だが、その後悟はピシャリと相手打線を抑えた。
それでも半分迷信だと思っていたラッキーセブンは本当に恐ろしいものだ。
でも、まだこちらにはラッキーセブンが残っている。7回裏の攻撃が今始まるのだ。
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