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幽閉された式神使いの異世界ライフ  作者: ハクビシン
2章-4 錬金術師試験と今後の計画
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エルザの夕食会とちょっとしたトラブル

 1度館に戻り、夕食の時間までオルクス様から貰った指輪を細部まで『解析(アナライズ)』を使い調べた。


【冥界龍の指輪】

 冥界と霊界の狭間に住まう、黒龍オルクスの鱗と爪、ブラックダイヤモンドを用いた指輪。

 黒龍の認めた者に授けられる証 【破壊不可】


 表示された結果に、納得しながら、俺は指輪に不壊処理を施したチェーンを通し、首から掛けてしまい込んだ。


 エルザの部屋に転移をすると、丁度準備が終わり、ソフィアとリーフィアも準備を終えていた。


「そろそろ夕食の時間ですわ、ルーク様、行きましょうか」


「リー姉様、ここはわたしのお家なんだから、隣はわたしの!!」


「おや、なら今は王家の預かりになっている私もルーク君と一緒に行こうかな?」


 俺の腕を、三人が取り合う様にじゃれついていると、後ろから両腕の裾が同時に引っ張られる。


「…ん…メア」


「…ん…雪」


 両腕の裾を引っ張ったのは、雪とメアさんだった。


 何かを感じたのか、無口な二人は、仲良く裾を握る手を持ち替え、握手をしたまま手を繋ぐと、俺が動くのを待っていた。


 仕方無いので、そのまま食堂に向かうと、豪華な飾り付けがされたディナーテーブルには、食器が並んでいた。


「本日は、お父様とお母様が居ませんので、(わたくし)がご挨拶させて頂きます。皆様楽しんで食べて下さいね」


 エルザの挨拶が終わり、夕食が始まった。


 今日は渚もメイド服ではなく、藍色の着物を着ていた。

 他の女の子達もドレスや着物を着ている。


 驚いたのは、カミナが着物ではなく、黒色のイブニングドレスを着ていた所だ。


 一応、俺も礼服を着ているが、他の人には見せれないと思う程だった。


 かなり際どい所までスリットが入り、胸元も大きく開いているドレスは、艶やかさと同時に淫靡さを兼ね備えて居たが、カミナは自然体でいるので、誰も何も言わなかった。


 食事も終わり予定を確認すると、彼女達が使える時間が、5日と6日の2日間のみであった為、

 明日の朝から、俺とカミナ、メアが先に行き、『転移』でみんなを連れていく事になった。


「ルーク君。よろしく」


「こちらこそ、よろしく。メアさん」


 確認が終わったので、俺達とメアさんは、館に戻り、翌朝の準備を行い眠るのだった。



 ━━━━━━━━━━━━━━━━


【ウンディーネの月 1月2日】


「ルーク、準備が終わったか?向こうは冷えるぞ」


「大丈夫、カミナ達のお陰で最高のインナーがあるし、また作る分の布も確保したからね。メアさんには、リボンを渡したから大丈夫な筈。……他の婚約者4名分の布はとりあえず髪止めに加工したから、明日渡せば良いだろう」


 必要な物を取り出し、後は収納。

 最低限の装備と非常時の備えも確保した。


「メアさんも北の外壁で待ってるから、そろそろ行こうか?」


「外壁から出たら、直ぐに走るぞ」


「了解、頼んだよ相棒」


 軽く拳を合わせて、外壁北門に向かった。


 北側の外壁、門の前に到着すると、裏路地に人の集まりが出来ていた。


 何かあったようで、近くに居たおじさんに話を聞いた。


「何があったんですか?」


「あぁ、どうやら女の子が、質の悪い奴等に……グレモリー家の商人に目をつけられたらしいんだ。悪い事は言わない、君も目をつけられないうちにお逃げ」



 嫌な予感がするので、人の隙間を抜けて先頭に出たところで、声がかかった。


 兵士姿の男と、商人の姿の二人の間から、見覚えのあるリボンが見える。


「メアさん!?」


「……あ…ルーク君ッ!!」


 そこに居たのは、涙目で今にも崩れそうな状態のメアさんだった。


「なんだテメェは、この少女の知り合いか?」


「そうですが、何か?」


 メアさんを囲っている内の1人、若い兵士姿の男がこちらにやって来た。


「へぇ……ならお前もこの馬車に乗れや」


「拒否します。何ですかいきなり?」


「なら、仕方がねぇな…そっちのガキだけでも馬車に乗せて行くかぁ?」


 なんか威圧的な兵士だったので、どうしようかと、思った瞬間、メアさんが動こうとした。


「動くんじゃねぇよ、クソガキがッ」


 商人姿の男は、メアさんの髪を引っ張った。


「痛いッ!!」


「喧しい、身分のわかんねぇガキが彷徨いてんじゃねぇよ。周りの奴等も見てんじゃねぇ、とっとと散りやがれ!!」


 兵士姿の男は、怒鳴り散らすと周りの人達が散っていく。


「(カミナ、どう?)」

「(ただの兵士ではないぞ、向こうの衛兵も近くに居るが、こちらに関わる気が無いようだ……怪しいな)」


「ほら、坊主もうお前達を助けてくれる者は居ねぇぞ。分かったらとっとと馬車に乗れや」


「その前に、その汚ならしい男の手を離せ、下衆が」


「アァン?何を言ってんだ、俺達の事を知らねぇのか?グレモリー家の奴隷商人だぜ?」


「グレモリーだかグレムリンだか知らないけど、あんたら貴族なの?」


「ハッ!!ある子爵家に認められた奴隷を卸す商人だ。この辺じゃ見ない種族の女や獣を扱うのが仕事だ。」


「身分が確認出来ない娘とかを拐うんだ?」


「時折見かける密入者なら、見られても問題ねぇからな、この娘の知り合いなら、お前も身分証明出来ねぇだろ?」


 正に清々し程のクズだった。

 こういう輩は、ゴキブリと同じで、元を叩かないと終わらないと聞く。

 コイツらには、自白してもらうとしよう。


「メアさんが連れていかれるのは、不本意なのでね、とても良い事を考えたんだよ。うん」


「アァン?」


「貴方達には、お縄について貰います。まずは、そこのデブ、メアから手ぇ離せや」


 俺は、魔力をそのまま弾にして、メアさんの髪を持つ腕に当てへし折る。


「なっ!?」


 驚いた兵士の男が、振り向くとそのまま商人の男は倒れて居た。


 メアさんは、走って俺の側に来ると後ろに隠れた。


「これで人質は居ないから、止めておけ」


「舐めんなよ、魔術師相手なら遠慮は要らねぇな、商品価値が上がるってもんだぜ」


 俺は同じ魔力弾を、兵士の男に放つが反応が無い。

 男は、両手に結界を張って居るようで、弾の向きを反らして躱していた。


「へぇ、結界使って『パリイ(受け流し)』出来るんだ。」


「これでも、護衛やってんでね、傭兵には当たり前のスキルだからな」


「でも、受け流したね?」

「だったらなんだ?」

「俺の勝ちだよ泥人形の蟲達(クレイドル・ワームズ)


 受け流された魔術の内、足下に落ちた魔力弾があったと思われる場所から、無数の泥で出来た蟲達が足を絡めとる。


 自重に従い足下が沈んでいくが、男には出る術がない。


 兵士の男と商人の男は、二人揃って地中に肩まで沈み、そこで固定されていた。


 カミナに呼ばせた衛兵が到着した時には、地面から頭のみ出土している男が、気絶している光景がそこにあった。

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