みんなとの入浴とエリーゼのお願い
「…兄様……気持ちいい?」
「あぁ、丁度良い位だよ」
「ほらほら、尻尾まだ残ってるよ、お兄ぃ早く」
「焔、泡が飛ぶだろう?わかったから、尻尾を揺らさない」
雪に背中を洗われ、俺は焔の尻尾を洗って居た。
湯槽には、カミナ、渚、沙耶、桂花達が、その豊満な胸を隠すこと無く浸かっている。
「胸もここまで育てば浮くんですわね?」
「私達も大きくなるかなぁ?」
「そこもですけど、スタイルもすごいですよね」
「ム?胸などありすぎても困るぞ~、肩が重くなるしな、まぁ油断させたり視線を誘うのには役に立つがな」
「そうですね~、渚も妹様の身体と殆ど同じ体型ですけど、体型維持が大変ですよ」
「あぁ~、渚ごめんね。私の血から人体情報取り込んだんでしょ? 今の私、身体の変化が殆ど無いから」
今は子供だけど、一応男なんだから、そういう話は止めて欲しいが、彼女達は気にした様子がなかった。
俺は無心で、焔を洗い終えると、雪を洗い始める。
背中と頭を先に洗い、尻尾の毛を解しながら洗っていると、背中に柔らかいものが当たっていた。
そのまま、手が俺のお腹や肩に確かめるような手付きで触ってきた。
こういったイタズラは、大半が、カミナか焔なので、湯槽にいるカミナを確認して、
「今は雪を洗っているんだから、焔は邪魔しない」
といって振り替えると…そこに居たのは、エリーゼだった。
「どうした?いきなり?」
「ムフフッ、中々良い具合の筋肉ですね、もう少し大きくなったら……楽しみです」
身体の筋肉を確かめ終えたのか、手を離すとエリーゼは浴槽に入ってから、先に入っていた三人に何か話していた。
「…兄様……終わった?」
「あぁ、流すよ」
「……ん~、気持ち…良かった…」
「肩まで浸かってから出ような」
「……うん」
のんびりとした時間を過ごし、浴室から出た。
何時もより長風呂になったが、皆の着替えを待って、1人また1人と出てくる。
全員が出て来たので、俺は異空間収納から、瓶を取り出す。
「みんな、お風呂上がりにこれ飲んでみて」
「これは何ですの?」
「フルーツ牛乳だよ」
「ルーク、牛乳は無いのか?」
「カミナ用の牛乳もあるよ」
フルーツ牛乳をカミナ以外が受け取り、カミナは牛乳を飲んだ。
「美味しい、甘いけどあっさりして飲みやすいね」
「これも、新商品ですの?」
「まぁその予定、『保存』と『冷却』が付与出来る容器は出来たんだけど、大きさと重さが問題でね、フューネラルデさんに相談してる所なんだ」
「そうなんですか?」
「いやぁ、以外と『冷却』と『保存』の魔術を維持し続ける容器を造ったら、魔鉄使うことになって、重さが増えてね、そのまま注げる様にコック着けたら酒樽みたいになったから、どうしたものかなと」
「ちょっと良いかな?ルーク君」
「エリーゼ、どうした?」
興奮しているエリーゼは、魔術の用紙を取り出すと、魔術式の図面を描いて見せた。
「これは『保存』と『冷却』の複合型魔術式、対象術式が同一の方向合わせて循環するように描いてあるの。これならそこまで大きな物にしなくても……この片手で持てる花瓶位の大きさね、軽い素材で作れば、中身を含めて1.5㎏の重さですね」
「おぉエリーゼちゃん凄い」
「流石は錬金術と付与魔術に特化していた家の人ですわ」
エルザとリーフィアが、エリーゼの両脇に立ち、術式を見ながら誉める。
「実はこれ、昔作ってた二重循環魔術式の試作だったの。失敗作で、一方向にしか循環出来ないんだけどね」
「内側と外側の逆循環をしようとしたんだな?」
「そうなの、上向きと下向きの循環を違うものにして、長期保存と冷却スピードを上げた、保冷が出来る持ち運びケースを作る予定だったんだよね暑い地域行き専用の」
長期間持ち運びの出来るクーラーボックスを作る。
暑い地域に寒い地域の物を持っていくときに役立つアイテムだな。
似たようなものは、幾つか見たことがあるが、性能がイマイチな物が多く、俺自身が異空間収納を持っているから、たいして気にしなかったが、確かに作れれば、神龍皇国などの暑い地域でアイスや冷たい飲み物が持ち運べる。
「よし、エリーゼ。作ろうよ」
「あぁ、やっぱりそう言ってくれた。実は欲しい素材があったんだよ。ただAランク相当の魔獣の素材だから、しかも中々新鮮な物が手に入らなくてね」
「何の素材が必要なの?」
Aランクの魔獣の素材が必要と言うエリーゼの言葉に、尋ねると返ってきた言葉は、想定外なものだった。
「氷結亀の甲羅と生き血だよ。甲羅はともかく、血の方は錬金術と魔術に使うから、貴重だし生き血になると『異空間収納』とか『保存』のスキルか魔術が無いと採取出来ないしね」
「氷結亀だと、帝国領かこの辺だと……砕氷の古代湖辺りだっけ?」
「王都から6日くらい馬を走らせたところのダンジョンだな、私ならルークを乗せて2日あれば着けるが……フィールドダンジョンだから直ぐに見つかるか分からんが、『索敵』が使えれば問題もない」
「なら、久々にダンジョンアタックする?」
「そうだな、特殊訓練とやらは、遊んだくらいでもの足らんかったしな」
「エリーゼ、明日行って来るよ。エリーゼ達はどうする?」
砕氷の古代湖に行くことを決めて、皆どうするか尋ねると、
「勿論、御願いするのだから、私は行きますよ」
「氷結亀自体はCランクの魔獣だし、素材の採取部位がAランクってだけだから、カミナとご主人様が居たら問題ないよ」
「沙耶さんがそう言うなら……学院でも戦闘の授業が有りますし、私達も行きますわ」
「…私も着いていく、ルーク君良い?」
婚約者4名+メアさんが、同行する事になった。
ソフィアとリーフィアは、俺の伝書鳥を使い手紙を飛ばした。
エルザは、プレア様に許可を貰いに行くと、OKの許可を得たと同時に、部屋に戻って、メイドさんと準備をしていた。
エリーゼ達はそれぞれ準備をする為、解散していった。
「ルーク、今回のダンジョンアタック、4階からはお前がやれ」
「何かあんの?」
「ちょっとした相手が4階から出るのでな、ルークに丁度良い。何ならテイムか、式神化しても良いかもしれんな……さて館に戻るか」
カミナはニヤニヤと微笑みながら、俺達は1度館に戻ったのだった。




