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幽閉された式神使いの異世界ライフ  作者: ハクビシン
1章 -2 呪術人形と勲章と
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【女3人寄ると】ゆっくりと馬車の旅がしたかった【姦しい】

 バーンを気絶させた魔術は、そのまま地面に吸収された。


 魔術を習い始め、まず行っていたのは魔術の作成だった。


 今回の魔術は、その場で想像から作り出した物ばかりであった為、効果がイマイチな出来になっていないか心配だったが、問題は無い様子だった。


 最後の魔術は『スタンボルト』と名付けた魔術で、元はエンチャントの雷属性と『麻痺(パラライズ)』と合わせた物だった。


 本来なら、武器に雷付与させて、麻痺も与える予定で作り出したのだが、何故か攻撃用魔術になってしまった代物だ。


 使い勝手が良いので、魔物や魔獣相手にも使う代物になっている。


「ルーク、大丈夫か?馬車と賊はどうなっている?」


「ルークちゃん、怪我は無い?大丈夫?」


「フム、流石ですなルーク様」


「はい父様、お母様、問題なく怪我もありません、馬車は茂みの所です。黒色で見たことの無い銀色の紋章が入っています」


 近付いて来た父様達に、報告を行うと、父様は何か思い当たりがあるのか、馬車に駆けていく。


「……黒で……銀?……まさか」


 グランツは、内心当てが外れて欲しいと思った。


 何故なら、王家を含めレシアスでは、装飾品が金色である事が一般的であり、()()()()()()()()()()()()が大半であったと思い出していたからだ。


 ごく稀に、大商会の馬車が、同じ様な色合いで作る事があるが、それは王族・帝国認可の馬車のみである。


 今回の馬車が、そちらである事を祈りたかったが、二人の帝国兵士に会っている為、その事が考えを否定させていた。


「失礼致します。帝国の馬車とお見受けします。こちらはラーゼリア領、領主グランツ・フォン・ラーゼリアと申します。助けに参りました、お怪我はありませんか?」


 父様の隣に立ち、返答を待つと小窓が開き小さな声が聞こえた。


「はい、怪我をした者はおりません、お礼を言わせて下さい。(わたくし)は帝国ドーランの第2皇女、ソフィア・ロードス・ドーランです。()()()()()()助かりました。」


(わたくし)は、獣公国ダムシアン大公、第3公女リーフィア・ヴァン・ダムシアンですわ。此度の働き、お見事でした。ありがとう助かりましたわ」


「え~っと、わた…ワタクシは、エルザ・ウルムンド・レシアスです。あの狼は君の従魔なのかな、後で触っても良い?……助かりました、ありがとう」


「嫌な予感が最悪の形で、当たったかもしれんな」


 名前を聞いた父様は、死んだ魚の目をしながら呟いたのだった。

 ――――――――――――――――――――――

 山賊達を荷馬車に詰め込み、馬車を整理し終えると


「ルーク様、この魔術()は初めて見ますな!これも『オリジナル』ですかな?」


「あぁ、ダリウス、そうだよ檻が必要だったからね、これなら身動き取れないし、必要なら手足のみに変えるから、かさ張らないよ」


「では、荷馬車を騎士達にお任せして、私達も馬車へ戻りましょうか」


「そうだね、じゃあ戻ろうか」


 ルークがダリウスに言うと、ダリウスは


「あぁ、申し訳ありません、ルーク様はあちらの馬車に乗る事になりました」


 と言い、王女、皇女の馬車の前に連れていかれた。


「嘘だよな、何時ものお茶目だよなダリウス?」


 訪ねるが目を背けて、申し訳なさそうに一言。


「ルーク様、このダリウス、訓練の時には、休憩がてら茶目っ気を出しますが、こういった際は出しません。くれぐれも、粗相の無いようにお願い致します」


 そう言って、父様達の馬車に駆けて行った。


「では、ルーク様こちらにどうぞ」


 いつの間にか後ろには、左腕を吊り下げた執事服を着た男性が立っていた。


「初めて、(ワタクシ)、ソフィアお嬢様の執事を務めます、デービルと申します。以後お見知りおきを」


「デービルさん、本当に、乗らなきゃ駄目ですか?」

 執事のデービルさんに(某、悪魔で執事を思い出しながら)訪ねる。


「はい、私の主から直接言われましたので」


 と言って諦めた顔で、扉を開けた。


「さぁ、ルーク様こちらに乗って、早くお話しましょう」


「先程の騎士様ですね、さぁ私の隣にどうぞ」


「ちょっと、ズルいわよ、さぁ(わたくし)の隣に、座りなさいな」


 三者三様に、俺を呼ぶのは先程の声の主達だった。


 王女エルザ様は、蒼髪のミニポニーテールで、青い瞳のつり目が特徴な美少女で、ワタクシと言っているが、恐らく『わたし』が本来の一人称なのだろう、時々言い難そうにしている。


 皇女ソフィア様は、碧色の姫カットに金色の瞳のタレ目が特徴の、どことなくおっとりとした雰囲気を持つ、思わず甘えたくなる様な美少女。


 公女リーフィア様は、赤茶色の腰まであるウルフカットで、キツネ耳と尻尾がある。

 切れ長なアーモンド型の碧色の瞳が特徴的な、お嬢様口調の美少女だ。


 流石に、この三人に囲まれるとは、思っていなかった為、覚悟を決めた。


「お招き頂き、ありがとうございます。ルーク・フォン・ラーゼリアと申します。王都までの護衛の任、務めさせて頂きますので、ご心配は要りません、私は御者席にて待機させて頂きますね」


 これで問題無いはずだった。


「あら、何も知らないようね。ルーク様のお父様が先頭を走るから、(わたくし)達のお話し相手がルーク様のお仕事でしてよ? まぁ建前? としてそういう形でないと皇族と同じ馬車に乗れないって、デービルが言っていたわ……嫌だった?」


 少しだけ声を落としたリーフィア様がニコリと微笑んだ。


「え?」


「先ずは、わ…ワタクシからね、好きな食べ物はなんですか?後あの狼、あの子はどうしたの?卵から育てたの、それとも召喚したの?」


「こ~ら、エルザちゃん、質問は一つずつしないと、ルーク君も答えられないでしょう? それとリーフィア」


「うぅ…ごめんなさい、ルーク様、ソフィア様」


「いえ、大丈夫ですよ、カミナは喚んだんですよ」


「次は、(わたくし)でしてよ、あの魔術は何処で覚えた物ですの?今まで見たことの無い物でしたわ」


「あぁ、あれは基礎魔術をお母様とアイネ様から教えてもらって、応用で組み合わせたり想像(イメージ)から造り出した物です」


「今、さらりと魔術界の常識を壊したわね……」


説明したら驚き、おかしな点の説明をしてくれた。


「普通は、古い遺跡から出た魔方陣や魔導書を、何年も時間を費やして、解析出来た魔方陣を構築してから、魔術として世の中に出るのよ。ましてや無詠唱とか、その場で造るとかあり得ないわ」


 リーフィア様は頭を抱えて何かを考えていた。


 俺達は、こんな調子で話しをしながら、残りの旅路を楽しんだ。

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― 新着の感想 ―
[一言] 「あら、何も知らないようね。ルーク様のお父様が先頭を走るから、私わたくし達のお話し相手がルーク様のお仕事でしてよ」 命の恩人に対して、お願いじゃなく、早速仕事を命じる感覚が不思議だね。
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