護り人 メア・シュヴァリエ と 婚約者達の邂逅 1
【メアside】
今日聖域に男の子が来た。
デアドラお姉ちゃんが連れてきた。
名前はルーク君、どうやらこの聖域を統べる王様になるらしい?
パパはルーク君が一流に成長したら、映像?のコレクションに加える予定らしい。
でも、私はルークを見たら、よく分からないけど、とっても欲しくなったの。
私の種族が原因なのかな? 私の種族は半吸血鬼
半分がパパと同じ吸血鬼族で、半分はママと同じ人族の血が流れている。
身体の成長は、吸血鬼寄りらしく、もう少しすると、大人の身体になるらしい。
そして、自分の身体に馴染む血の持ち主を探す様になるとパパが言ってた。
馴染む血の持ち主は、バディーと言って、共存関係?になるらしい。
ママがパパのバディーなのは知ってるから、お嫁さんなのかな?
「………自力でここにたどり着く」
ルーク君が、ティアお姉ちゃんに聞いた質問に、つい答えてしまった。
私は、初対面の人に対して上手く話せないから、あまり人前に出たくなかった。
「珍しいな、メアの奴が初対面にここまで近づくとは」
デアドラお姉ちゃんの一言で、今ルーク君の真後ろにいつの間にか立っていたことに気が付いた。
恥ずかしくなってきたのと同時に、何故か、ルーク君の血が欲しくなった。
でも、パパがやって来て、ルーク君は駄目だって言われたから、つい嫌って言っちゃった。
そのまま、パパが、ルーク君に自己紹介をするみたいだから、ルーク君の所に行こうとしたら、いつの間にかパパの腕に抱えられていたの。
その後は、パパの腕の中で寝ていたから、あまり覚えてないけど、分かった事がある。
わたしの身体に、ルーク君の血が適応している事と、もしかしたら、ルーク君以外のお友達が出来るかも知れないという予感があった。
私のスキル『予知夢』で、3ヵ月間、私は4人の女の子と、狼の耳を持った女性と一緒に楽しそうに笑っている姿を、見続けていたから。
だから、パパには悪いけど、同い年のお友達が私は欲しいから、少しの間だけど離れるね。
私は、デアドラお姉ちゃんの『霧転移』を邪魔しないように、私1人分の隙間を開けて、ルーク君に着いて行くことにした。
流石はデアドラお姉ちゃん。
かなり難しいけど少しだけ穴が開いた。
その穴に飛び込むと、理解した。
この穴は、お姉ちゃんが開けてくれたのだ。
『ありがとう』と言う隙もなく、霧が辺りを包み込んだ。
デアドラお姉ちゃんの魔力に干渉しない様に、魔力制御を行うのは、体力的にも魔力的にも厳しかったので、私は、目の前にあるベッドに倒れ込むと、そのまま、眠ってしまった。
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【ルークside】
さて、この状況どうするか?
取り敢えず、デアドラさんがゼノさんと知り合いで、フューネラルデさんとも知り合いみたいだから両方に連絡をして、デアドラさんに来て貰う様にしてもらう。
問題は、メアさんをどう説明するかだ。
時計を見ると、今は14時を少し過ぎた位。
商会から出たのが13時半頃だからだいたい30分聖域に居た事になる。
明日はソフィアとリーフィアが、転移鏡でエルザの部屋に来るからと手紙が来ていた。
どうしたものかと、頭を働かせていると後ろの扉が開き、誰かが入って来た。
「あれ?ルーク様、ここで何を?」
「丁度良かった。渚、この娘を頼む。ちょっとゼノさんとフューネラルデさんに手紙を書くから、あの二人の知り合いの所から戻ってきたら、着いて来たみたいなんだ。だから、保護者を呼んでもらうよ」
「畏まりました、ルーク様。また誑かしたのかと思いましたよ?」
カーテシーを行い、渚は、怪しむ表情でこちらを見ていたが、今回俺は何もしていない筈だ。
「あぁ、そうでした。先程連絡がありまして、この後、15時にこの館に、婚約者のお嬢様方が全員でお茶会を開くそうです。なにやら、他のお友達を連れてくるそうですので、戻られ次第、連絡をして欲しいと言われてましたよ」
そう告げて、渚は別の客間の掃除に向かった。
俺は急ぎトトルを使役し、同じ内容の文を綴った。
10分後に四人からの手紙が返ってきた。
内容はソフィアとリーフィアからが、
『お茶会に呼んでください』と1枚
エルザからは、
『新しいお友達になれそうかな?どんな娘か会いたい』といった物が3枚
エリーゼからは、
『5人目?どんな娘?聖域の話は出来るの?』
といった、聖域関係の事について6枚
返ってきた返事は、どれも興味があるようだが、ソフィアとリーフィアの手紙はそれしか書いていない為、ある種の恐怖があった。
普段の手紙では、4から5枚の手紙を書いている二人が、他の二人とは違い1枚にそう書いていた。
「ルーク様、サンルームにソフィアお嬢様とリーフィアお嬢様が到着致しました。御越しくださいませ」
約束の時間より、少し早いが、何時も早めに来る二人だ、おかしい事は無い。
俺は二人を歓迎する為、サンルームに向かった。
「いらっしゃい、ソフィア、リーフィア」
「「この度は、サンルームを御貸しくださり、有難う御座います。少しお話にお付き合い下さいませ?」」
と二人は、にこやかに返事を返してきたが、怒りの感情ではなく、心配の表情だった。
「ルーク君に着いて来た娘は、吸血鬼だったのでしょう?大丈夫なのですか?」
「まさか眷属に成ったりなどしてませんわよね?」
尋ねられた質問に、俺はアーカムさんが言っていた事を思い出しながら説明した。
「「そうでしたの知らなかったです(わ)!!」」
二人は大変に驚いた。
「では、そのメアさんは、半吸血鬼族なんですわね?」
「あぁ、そうだよ。なんなら話してみる?」
「大丈夫?寝てるのでは?」
「多分もう起きてると思うよ。なんなら後ろに居る二人も会うかい?」
部屋に桂花の眷属を忍ばせ、状態の確認をしていたから、起きている事は既に確認していた。
そして、エルザとエリーゼの二人が扉の外に居る事もだ。
「だから言ったでしょ? 既に気付いているから、驚かないって」
「残念、もう会えるのなら会いたいな?」
その言葉が出たので、俺達はメアの居る部屋に向かうことにしたのだった。
行きながら、お友達について尋ねると
「アナハイムさんが、連れてきてくれるから後のお楽しみだよ」
とエリーゼに言われたので、楽しみにする事にした。




