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幽閉された式神使いの異世界ライフ  作者: ハクビシン
2章-4 錬金術師試験と今後の計画
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分解試験開始

 両開きの扉を開けると箱の中に入っていたのは……人形?

 箱から取り出そうとしたその時。


「逃げたぞ」

「どうなってやがる?」


 周りの人達が騒ぎだした。

 良く見ると、同じ人形が走り回っていた。


「狼狽えるな、ただの魔導人形(ゴーレム)ではないか」


 ネブラスカ試験官は、壇上にある椅子に座り、見ていた。


 俺の所にある魔導人形は、既に足を『闇の拘束(ダークバインド)』で拘束していた。


 エリーゼは箱を開ける前に、同じ魔術を詠唱していたから、同じ物を使用しておいたのだ。


 周囲が逃げる魔導人形と、追う人達になっていたので、自分達の周りに『隔離結界』を張り、人形の解析に、取り掛かった。


「ルーク君、結界ありがとう、後でお礼にキスでもする?」

「ハイハイ、話してないで早く分解(バラ)すよ」

「は~い、良し、最後の頭っと。ルーク君はあと何個?」

「今、胴体までで8種類抽出した。俺も頭だけだよ」


 腕、足、胴体からそれぞれ成分を分離・抽出していく。


 銅・鋼・ミスリル・魔力土(雷・土)・魔力水晶・魔核・魔獣の骨・魔力糸の8種類を取り出した。


 この段階で、用紙に書いてあった合格ラインはクリアしていた。


「甘いなぁ、まだ細分化出来るよ、答えは教えないけど」

「えっ?」


 どうやらエリーゼは、8種類以上の分解をしているらしい。


 他の参加者も、分解を初めているが、人形の様子がおかしい。


「さて、残り10分だ。どうやら次の試験に進める合格者は少ないようだな?」


 俺は頭を分解して、更に二種類、フローライトとトルマリンの宝石を抽出して、置いてあった素材は無くなった。


 一応邪魔になった箱を、分解していたがこれはどうなのかわからない。

解析(アナライズ)』した時に、魔導人形の魔力箱と出たので、一応分解(バラ)した。


 鉄・ニッケル・亜鉛・魔力土(氷・風)


「後5分だ。他の者は大丈夫か? 再確認しておけよ」


 ネブラスカ試験官は時間を伝え、目を瞑り座る。


 最後に、品質を別けようかと考えて、確認をしたが、試験で使う物なだけあって、どれも同じ品質の物だった。


「時間だ!! 全員作業を止め!!」


 ネブラスカ試験官の声に合わせて、入ってきた入口から、確認のスタッフが確認作業を行っていた。


「ほぅ、言う程の実力はある様だな」


 ネブラスカ試験官は、呟くとエリーゼと俺の顔を見て、壇上に立つ。


「今回の分解試験、合格者は8名だな、元が38名だから、30名は失格だな。今回は救済措置までやったと言うのに、嘆かわしい」


「ふざけんなよ!! 8種類も無ェじゃねぇか」

「「「「「そうだそうだ!!」」」」」


 数人の人達が、結果に不満がある様で、騒ぎだした。


「貴様らは、馬鹿ばかりだな? 今回の試験で最大分解したのは子供だ、17個中17個全て分解しているぞ」


「そんな事あるか!! 不正に決まって……る」


 最初に不満を口にした男は、言葉に詰まった。

『不正』の言葉が出たと同時に、ネブラスカ試験官から発せられた魔力波が辺りを包み込む。


「私はな、不正が一番嫌いなんだ、だがな…貴様の様な奴も嫌いなんだよ」


「ヒィ!!」


 大人の男でも、この魔力圧は耐えられないかな?

 周りの男達は、竦み上がった男を抱えて、外に逃げ出した。


「ふぅ、え~と合格者は次の試験の部屋に移動する。移動先のスタッフから魔導書を受け取る様に」


 そのままネブラスカ試験官は、離れていくと、ギルドのスタッフからそれぞれ案内されて行った。

 どうやら次の試験は二人一部屋のようで、案内された部屋には、エリーゼも居る。


「さて、次の試験はポーションの再錬成だねぇ」

「エリーゼ、さっきの試験17個もあった?」

「う~ん、ヒントはあげようかな?魔力土」

「魔力土?」

「そう、魔力土」


 魔力土は錬金術の素材の一つ、名前の通り魔力が含まれた土で、錬成する際に属性付与の構成式と触媒を使い、魔力土に属性を持たせる事が出来る。


 そこで思い出した。そう、『触媒』だ。


「触媒を抽出したのか」

「うん、正解。因みにこの触媒そこそこ高価なものだったよ、雷虎(ライコ)の牙と地竜(グランドドラゴン)の爪、天空魚の鱗、後は結晶花(クリスタルフラワー)…全部欠片なんだけどね」


 どれもB~Aランクの魔獣や採取物だった。


「全く、今回の試験、まさか子供がここまでするとはな?」


 俺達の試験官は、先程の試験官ネブラスカさんだった。


「他の参加者は、もう終わった。最後はお前達だけだ」

「「えっ?」」


 二人揃って、声が出た。


「いや、驚く事ではないぞ? 魔導書のレシピの再構築が出来ていれば良いのだから、最初の試験が合格出来ていれば、楽なレシピだしな見てみろ」


 言われた通り見てみると、確かに、魔導人形の分解よりは楽な内容だった、但し『ポーション』のレシピを知っていればだが。

 同じ様にレシピを見たエリーゼは俺と同じタイミングで同じ言葉を放つ。


「「これ、ポーションのレシピ途中までしか書いてない」」


「そうだ、薬剤錬金術のレシピの『回復薬(ポーション)』普通の錬金術師なら余裕で作れる物だ。まぁ、お前達には、別の物を造って貰うがな?」


「どうしてですか?」


「だって、一人は全部の素材を抽出するし、もう一人は気付いたのが今じゃなければ、同じ事が出来るだろう?しかも、貴方達二人とも錬金術Lv8だしな」


 ネブラスカさんは、髪を掻き上げると長い耳がふと見えた。


「貴方達には、このレシピを使ってハイポーションを造って貰おう」

 そう言って、ネブラスカさんは一枚のレシピを取り出した。


高位回復薬(ハイポーション)


「制限時間は無い、代わりに材料は限られているからな。もし作成できれば、品質問わずで最高ランクのカードをやろう。出来なくとも、中ランクは出してやる」


 この段階で、俺は作成してみたくなったので、参加する事にした。

 エリーゼは、俺の顔を見てから。


「まぁ、良いですわ、さっきのお礼を兼ねて手伝いましょう」


 時間がかかる物だから、嫌がるかと思ったが、乗り気だった。


 エリーゼは、両手をぎゅっと握り、気合いをいれていた。


(他の三人に比べると、出会ってからの時間がまだ無いからね、ここでぐっと近かなきゃ)


 という思いにルークは気付いて居なかったが……


「では材料と道具を持ってくる。少し待っていろ」


 そう言って、ネブラスカ試験官は出ていった。

 中々作業内容の多いレシピだが、作れない事はなかった。


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