ルークの紋章と新たな姓
「端的に言おうかな、ルーク君は、王様になるんだよ」
「何でそうなるんだ?」
「まぁ慌てるな、端的にと言ったでしょう? あの場所は、私が生きていた頃には、既に管理地だった。そこまでは良い?」
そこからは、分かりやすく説明してくれた。
「4国が管理地としていた場所を、一人の人間に渡す、この事に関しては思うことはないかしら?」
「代表管理者の前提か?」
まぁ、考えとして4国の代表としてならこの辺が妥当な所だろう。
「それもあるだろうけど、あの地域一帯が、土地になるんだよ? 広さは小さな国一つになる。最初は交易の町、中央地帯になり、儲けが出れば、規模は更に大きくなるよね?」
「交易の中央地帯は賑わい、更に大きくなれば町は都市に、都市は国に変わるか?」
「当たり、因みに言えば、管理者はそれぞれの国から外れるから」
「国から外れる?」
それは初耳だ。貰った書類には特に何も書いて無かった筈。
「当たり前だよ、管理者は国に属さない。属していれば、その国の物になるからね……だから、新しい姓を貰うか、考えろって言われたでしょ?」
あぁ、成る程、確かに言われていたなと思い出した。
「つまり、4国内で決めた新興国の発足か」
納得した所で、先程の話に戻した。
「でも、それと婚約者…もといお嫁さんが多くなるのに、何の関係が?」
「だから、国になるか、ならないかは別として、当主は世襲制度なんだから、出来れば、男の子供が居ないと駄目でしょ?」
「あー、うん。わかった」
うん、お世継ぎ関係ね、理解しました。
「うん、良かった。じゃあ私にも指輪よろしくね」
「いや、今の話はわかったが、婚約者になるの?」
「えぇ、エリーゼも婚約者にしますわ。その辺は、ソフィアが主に動いてますけど」
リーフィアが代わりに答え、ソフィアの方に顔を向けると、ニコニコとしているだけで、ソフィアは何も言わない。
「他の娘に関しては、勿論、3人で決めましたわ。恐らくですけど、皆さん嫌とは言わないでしょうし…ですから、後3人程私達も探しますが、ルーク様も、学院でも、他の時でも良いので、探してみてくださいね」
三人の顔は、冗談で言っている顔では無いようだった。
話はそこで全て終わり、俺は新しい姓を陛下に伝えに向かった。
陛下の自室に到着し、ノックを鳴らす。
「は~い、どうぞ~」
中から返事が返ってきたが、陛下の声ではなかった。
「失礼します」
断りを入れ、扉を開けるとプレア王妃様が居た。
「あら、ルーク君よく来たわね、ジークに何か用事かしら?」
「はい、実は……」
俺は跪き、新しい姓の話と、先程の内容を確認したい旨をプレア様に話した。
「そうなのね、丁度良かったわ。セドナ、ジークはもう戻るかしら?」
「はい、謁見の間からこちらに向かわれています…3.2.1」
セドナと呼ばれたメイドさんのカウントが終ると同時に扉が開いた。
「おや、ルーク君来てたんだね? 新しい姓は決めたかい?」
陛下は随分とにこやかな笑顔で、部屋に入ってきた。
「あら、ジーク? 随分と機嫌が良いみたいですね?」
「あぁ、プレア、そうなんだよ。やっと小さな膿が取り除けたからね、これからが始まりなんだよ。これもルーク君とエリーゼ嬢のおかげだな」
そう言って、陛下は席に座り、用紙を取り出した。
「さて、ルーク君の新しい姓は、何とするのかね?」
「新しい姓は、アマルガムを名乗り、ルーク・フォン・アマルガムとします。後、父様から新しい紋章が必要と聞いたので、サンプルを造ってきました」
「あぁ、済まない、紋章の件を伝え忘れていたから、次の時にでもと思っていた所だったが、……やはり、頭の切れる領主だな、君の父親は。 そして、また見事な紋章を持って来たものだ、この出来で、サンプルかね?」
ラーゼリアの紋章を基に、サイズを調整したレプリカ。
藍白の龍が円型の淵になり、その中央に銀色の狼、左右に紅と白の狐を向かい合わせにして配置し、クモの巣を幾何学模様の様に空白の所に散りばめた。
円の下には、刀と大剣、騎士鎧を重ねて配置している。
式神を、紋章にしたかったので、その形にした。
エリーゼの話を聞いた後、まだ国として成立してもいないので、使うかどうかわからないが、後からでも変更出来る様に、図面に国章も記載している。
「普通に素晴らしい物だが、一度、紋章院に通さねばならんので預かるぞ?」
「大丈夫です」
「わかった。それと、今後について少し話があるのでな、お前の館に向かうぞ、グランツ伯爵も呼ぶが構わんな?」
ジークリッド陛下の言葉を聞き、俺は告げなければならない事を伝えた。
「ジークリッド陛下、申し訳無いのですが、父様達は既に王都には居ませんよ?」
「何?」
「実は……」
そう、実は両親達は、ラーゼリア領に戻っていた。
カイン兄様とルシアン兄さんの学園準備や、領主の仕事が、そろそろ帰らないと不味い時期になっていたからだ。
『転移』の魔術を俺が覚えていたので、何とかなった。
何とはなしに、原初の魔導書で、転移魔術を調べると、今居る場所と知っている場所を繋ぐ術式が載っていた。
試しに発動すると、ラーゼリア領の自室に着いた。
これを父様達に話すと、少しだけ興奮しながら。
「ルーク、この転移は複数人の同時移動は出来るか?」
と聞いてきたので、試すと出来た。
そこからは、お母様、父様とダリウス、ライザと兄様達はラーゼリア領に戻り、俺だけが王都に残った、それが昨日の事である。
「なら問題ないな、ルーク男爵、ラーゼリア領主グランツの元に今晩向かう。龍帝ゼルガノン様、レイ皇帝、ソドム大公も来る手筈になっているから、頼んだぞ」
こうして、ひょんな事から実家に戻る事になった。
━━━━━婚約者達を連れて━━━━━




