何故、増えるの?婚約者
「綺麗ですわね、私達もやってみますわよ?」
「凄いね、もう一つになっちゃった」
「……はぁ、では私も」
一緒にしようと声をかけるも、エルザは既にサファイアの指輪を合わせており、リーフィアは呆れながら、自身のガーネットの指輪を触れさせた。
「これで良いのですね? ところでルーク様、その残った指輪は、誰のですか?」
それぞれが指輪の強化を終えると、一つだけ残っていたオニキスの指輪を見て、リーフィアが尋ねてきた。
「あぁ、これは俺のだよ。手紙に書いた通り、新しい仲間が出来たんでね、紹介も含めて持って来たんだ」
手紙で桂花の事は説明をしていたが、実際に会わせていないので、ついでに会わせる事にした。
俺は指輪に魔力を込めて、呼び出す対象の名を呼んだ。
「『招来、『ベリト』『ゴーム』『ノルド』』」
三人の名を呼び、直ぐに黒い影から鎧姿に変わる。
「騎士ベリト・ザイファー此処に」
「重装騎士ゴーム・ドーヴェン参上だ」
「双剣騎士ノルド・シグルドお呼びに応えました」
「三人共、彼女達が、俺の婚約者だからよろしくね」
「「「ハッ!!」」」
三人の鎧騎士は、俺の前に跪き、三人を見ると合わせたように、一言。
「「「よろしくお願い致します。奥方様」」」
と挨拶をしていた。
……正確にはまだなんだけどねぇ?
ゴームとノルドに関しては、核に遺品の腕輪と竜蟲の魔石を4つ融合させて造り出した物を使用し、竜蟲の甲殻と蒼月魔鉱石を使用して造り出したスピードと消音特化の騎士鎧と禍々しい見た目の重装鎧を造り出した。
戦闘スタイルと、当人達の要望を全て入れた一品に仕上がり、ベリトも兜の一部に龍の顔を模した飾りを行い、竜騎士っぽくなっていた。
会話を出来るようにならないかと思い、原初の魔導書を調べると、羽を使った声帯模写の魔導具があったので、応用して本人達の声を再現して貰った。
その魔導具を鎧と同じ、破壊不可の状態にして、二人は話す事が出来る様になった。
因みに、三人共幼なじみだったこともあり、声が出せる様になったその日に、語り明かしていたそうだ。
三騎士は、側に控えると次の呼び出しを行うことにした。
「『招来、蜘蛛の女王 桂花』」
「妾を御呼びかぇ?ご主人様?」
アラクネ形態から、人形態になり聞いてきた桂花に婚約者達を並べる。
「あぁ、この子達三人が、俺の婚約者だから挨拶をと思ってね」
「あぁ、そう言う事かぇ。妾が桂花じゃ、閨事が分からぬ時は妾が教えて、フギャ!!」
よからぬ事を言いかけたので、桂花の尻に渚直伝のケツバットを浴びせた。
「何をするのじゃ、ご主人様?痛いではないか」
「いきなり変な事を言うからだろ?」
「変な事では無いであろう? 夫婦の営みは大事な事ぞ?カミナも渚も、妾とて稚児が欲しいと思う事があると思っております故」
「そうなの?」
「当たり前じゃ、女として生まれたからには、好いた者の子を育てたいのは、本能と同じぞ」
「「「「ウンウン」」」」
桂花の言葉に賛同する様に、頷いている婚約者達だったが、明らかに一人多かった。
ツッコミを入れようとしたその瞬間、ノックが鳴り、エルザの返事と共に。
「御嬢様方、ルーク様からのお土産で御座います。本日のデザートは、名菓子店グラスタのフルーツタルトで御座います。紅茶は渋みの少ない物を用意しております」
アナハイムさんがメイドさんとやって来て、タルトと紅茶を並べていく。
「それでは、失礼します」
アナハイムさんは礼を行い、給仕のメイドさんが、残される形になった。
「さて、おやつも来ましたし、さっそく頂きますよ~」
「そうですわね、さぁ、座りましょうか?」
「だね、ここのフルーツタルトって中々手に入らないんだよ」
「グラスタは、私が生きていた頃には、本当に小さな店だったけど、今じゃ老舗と呼ばれてるから、吃驚したわ」
4人の美少女達は、それぞれ席に座り、俺の着席を待っていた。
桂花達は、アナハイムさんが来た後に、元の場所に送還術で戻って貰った。
「魔力で王城内に居ることは、把握していたけど、ロアッソ…もうエリーゼで良かったか? 何で此処に居るんだ?」
「当然、居るに決まってますわ。本日の呼び出しは、私の事に関してですもの」
「そうでした、ルーク君。彼女を見てどう思いますか?」
「え?」
ソフィアのいきなりの一言で、つい聞き直してしまう。
「ですからぁ、彼女を見てどう感じました?」
テーブル越しに顔を近付け、真っ直ぐな瞳で、視線を合わせ尋ねてくる彼女を見つめ返すと、少しずつ頬が赤くなり、瞳を潤ませ始める。
その表情がとても可愛いかったので、軽いイタズラ程度に、額に軽く触れるキスをして離れた。
「エリーゼは綺麗な娘だと思うけど?」
「━━━!?」
「「!?」」
「ルーク君、今、おでこにキスしました!?」
「可愛いかったから、ついね。駄目だった?」
「「うわぁ、ソフィアの目が変わってる(ますわ)」」
「じゃあ、お嫁さんに加えたいと思いますか?」
「お嫁さんになってとは言えないかな、婚約者が既に三人居るんだよ? 自分からは増やさ無いかな? もし増えるとしたら、三人が連れて来るか、もしくは許可を出してからかな、それでも俺の気が合うか合わないかがあると思うし」
そう返答を返すと、三人の目の色が変わった。
俺は何か失敗したかと思うと、リーフィアが隣に座り。
「その言葉に、嘘は無いですわね? 婚約者は連れて来るか、私達の三人が許可を出した方のみと言う言葉に、婚約者の人数は、私共の管理で良いと」
「あぁ、嘘は無いよ。その辺は任せる」
その言葉はきっと出してはいけない言葉だったのだろう。
「では、私達が決めた婚約者の予定人数は、今の所9名ですわね、エルザ、エリーゼ、ソフィア、リーフィア、カミナ、渚、焔、雪、桂花……後三名程欲しいですわね?」
「……はい?」
「そうだよね、ちょっと足りないよね」
「えっ!?」
「まぁ、あまり増えても困りますけどぉ、それくらいが妥当な人数かしらぁ?」
「何故に!?」
話がおかしい。
普通なら増やすな、私達だけを……な話になるんじゃ無いのか?
「当たり前じゃないか、君は『4国』から『聖域』の開拓を命じられ、そこの管理に就くんだよ?」
「それは聞いたし、理解してるつもりだよ」
「君は全然、全く分かってないなぁ、何故なのか、答えは聖域や流通だけじゃあ無いんだよ?」
エリーゼは、そう言って説明を始めてくれた




