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幽閉された式神使いの異世界ライフ  作者: ハクビシン
2章-3 違法商人摘発とロアッソの秘密
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ロアッソ(エリーゼ)の考えと闇商会の捕縛術

【シルフの月3月17日 昼 】


 館に戻ると、俺は早速ロアッソに、陛下の前で話した内容を聞くことにした。


「本気で開拓に付き合うつもりか?」

「だって、あの『聖域』に領地を構えるんでしょ? なら行きたくもなるわ、それにルーク君も私と同じ転生者でしょ?」

「えっ!?」

 突然の一言に、俺は驚きを隠せなかった。


「隠さなくても良いわよ、明らかにこの世界以外の(ことわり)を用いた術式を使っているんですもの、『オリジナル』だとしても、普通使わない魔術文(コード)を見れば、なんとなく理解できるわ」


 確かに、俺は魔術を行使する陣に、現象を現すコードを使用はしていたが、無詠唱と瞬間的にしか出していない陣の文字を良く読めた物だ。


「まぁ、私はそんな事よりも、貴方の前世が気になるわ」


 何時の間にか、性転換薬の説明をしている時と同じ顔で、ロアッソは近いていた。


「はぁ、……なんの話が聞きたいのかは知らないが、今はこの件を片付けないと話せないよ…」


 表情の変化に気づいた瞬間に俺は、間を開けてから言うと、ロアッソはつまらなそうな顔をしながら、返す様に言った。


「むぅ…仕方無い、この件が終わったらたっぷり時間を取って話してもらうよ、ルーク君」

「それなら問題ないよ、でも公開しないで欲しいんだがね……」

「それなら問題ないよ、転生者の件は黙っておくから、その代わりきちんと相手をしてくれる?」

「まぁ、それくらいなら」


 多少の情報ならば、話しても問題は無さそうだが、どこで騒ぎに成るか分からない。


 ロアッソは、ニッコリ笑う。

「ならエルザちゃん達には、私から言っておくね。問題ないように説明しておくから」

「なんの話か分からんのだが?」

「まぁ、お楽しみにしておいて損はないよ」


 俺は妖しい笑みを見せるロアッソに、少し警戒をしながら、夜の支度をすることにしたのだった。


 ━━━━━━━━━

【闇商会side】

 ラージラットや汚水の臭いが強いこの場所に、一人の小太りぎみな狸族の男は居た。

 手には、人が入る程の頭陀袋(ずたぶくろ)を持って。


「さて、こんなもんだぬ、……後始末は証拠が残らない様にしっかり消さなきゃ駄目なんだぬん」


 ポケットから小さな袋を取り出し、男は魔術を行使する。

 袋の中身が空中に舞うと、床には足跡が浮かび上がって来た。


「捜し物はこれなんだぬ、さてアジトは何処かいな?」


 足跡を辿り、曲がっては、消えている痕跡を探しだす。

 何度目かの魔術を発動し、男は遂に痕跡を見つけた。

 普通に見ればただの壁だが、足跡が半分だけ壁の中に入る様に消えていた。


「見~つけた」


 ゴミを頭陀袋に入れ、掃除をしている風を装い拾いながら、男は見えない様に印を着けると、何事も無かったかの様に去っていく。


「アブねぇ、掃除夫か……見ねぇ顔だが新入りだろうな、こんな時間に来るのは……」


 そう呟きベマルドは、壁から抜け出る様に出てきた。

 この壁は、魔導具による幻影で、持ち主以外には認識されない様になっていた。

 アジトが見当たらないのは、これが原因でもあった。


 商会へのボヤ騒ぎを起こした結果、使っていた浮浪者等はいつの間にか居なくなり、男爵達に関しては、連絡も着かなくなった。


 子爵は相も変わらず、商品を要求してくる。

『闇商会のメンバーが動き始めた』なんて噂もあるのにだ。


 ベマルドは焦っていた。

 本来なら、ボヤではなく火事になる様に動いたにも関わらず、二人の巨人族に手駒は捕らえられ、彼はそのまま逃げるしか出来なかった。


 そもそも、既に闇商会のメンバーがベマルドを尾行している事には、気付いていない様だった。


「逃げれるとは、思わないことなんだぬ」

「逃げ場も無いけどな」

「何!?」


 抵抗する間もなく、鈍器がベマルドの顎に襲いかかる。

 一瞬にして、意識を刈り取った得物は、片手で持てるサイズのただの角材だった。


 狸族の男と隻眼のドワーフによって、その日の内に、ベマルドは捕縛された。


 証拠の書類は、燃やされている物以外を回収し、商品の目録と未出荷分の回収に成功。

 王家に報告書の提出を出来る状態にするのに、時間は要らなかった。


 そもそも闇商会とは、表沙汰にならない違法な商品を扱う違法商人とは違い、不当な価格の変動や、悪徳商会を取り締まり、時には捕縛もする商人の集まりである。

 当然、真っ当な仕事をしている商人も居るが、中には蛇の道と言うのもあり、そういった商売敵を売る商人もいる為、グレーな組織でもあった。

「捕らえられていた魔獣は、どうするんだぬ?」

「随分弱っているようだが、助かりそうか?」


 捕らえられていた魔獣は、頭の良い魔獣としてよく従魔として飼われている猫型の魔獣『妖精猫(フェアリーキャット)』と呼ばれる種類だった。


「取り敢えずの手当てはしたんだぬ、後はサンバリューに任せるんだぬ。あいつの所なら、多分間違い無いんだぬ。前にも持ち込んだことがあるから」


 狸族の男は、そう言って妖精猫を抱き上げると、サンバリューの元に連れて行くのだった。


「相変わらずこういった動きは早いな…仕方ねぇ後始末も済んだし、こいつ等を突き出して酒でも行くか」


 隻眼のドワーフは、王都守護騎士隊に連絡を行い、その場から去って行った。

 あくまでも、正体を晒さないのが闇商会のルールだからだ。

 名前も呼ばない、マスクか変化を行える者だけが所属できる。

 それが『闇商会』なのである。

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