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幽閉された式神使いの異世界ライフ  作者: ハクビシン
2章 -2神龍皇国レスティオ
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神龍皇国での報奨

【シルフの3月16日】


 この日、俺達は謁見の間に居た。


 ゼノさんが『ゼルガノンとして、報奨を与える事にしたから』とにこやかに笑いながら言ったのが昨日の夕食時の事。


 朝から貴族服に着替え謁見の間に向かうと、そこには、ゼルガノン様以外の御偉方、三国のトップが揃っていた。


「ルーク・フォン・ラーゼリア、此度の件について、報奨を与える、また近隣三国の王達が、この場に集うのも報奨に関する件で来ている気にせずこちらに来い!」


 やはり、普段のゼノさんではなく、龍帝ゼルガノンとして、玉座に座る姿は別人の様だった。

 俺は、片膝を床に突き、頭を伏せながら声を待った。


「まずは、勲章からだが、『紅龍』の勲章を与える。報奨はこの後、我と共に我が指定した宝物庫から一つ与える事にした。次に、三国の王が揃っていた件だが、此度の件を含めた功績を合わせて、我々が管理してきた共同管理地である『無名の地』を次の陞爵の際に、ルークの領地とする。‥‥レシアス王説明を」


 ゼルガノン様がジークリッド様に話を振る。


「今回の件、龍脈の流れを修復し、神龍皇国民を救った事を同盟国として、感謝をする。既に陞爵の話は始まって居るのでな、娘達を救い、同盟国を救った功績を合わせて四ヵ国の管理地を領地とした。ルークには、新たな領地の名前と、姓を名付ける事とする。何か良い名があれば、それを使って名乗り、なければ我々が命名する事にした。無名の地に関しては、後で書類を送るので、それを参考にせよ」


 どうやら、地図上の空白地を貰うことになりそうだ。

 無名の地とは四ヵ国の丁度ど真ん中にある土地で、管理地と銘打っているが、要は不可侵の土地の事だ。


 この地は少しだけ厄介な場所で、広さは四ヵ国が管理するだけあって、かなり広い(小さな国が造れる程には)のだが、誰も手を出せない理由が幾つかあったが、大きな問題は3つあった。


 1つ目は、魔物や魔獣の問題。


 周辺は森に囲まれており、中には貴重な素材があるのだが、古の樹(エルダートレント)や狼形態の魔獣であり、上位の冒険者でも、群れを見つけたら逃げ出す血濡れの狼(ブラッディウルフ)等のハイランクモンスターが見つかり、中央付近まで進軍出来た所が無かった事。


 2つ目は、環境の問題。


 無名の地は、人が近づくにつれて霧が発生し、入り口から200mも入ると、周辺は真っ白になり、自分の身体でさえ認識できない濃い霧に包まれる上に、人以外の生物には霧が見えないかのように影響が見られない特殊環境にあった。


 3つ目は、食料や品がいつの間にか、消えていく現象が一番の問題と思われる。

 食料を積んだ馬車や、兵士が調理した食事等が、いつの間にか()()()()()

 対策をしても余り効果は無く、索敵等の周辺確認をしている中で、消える事もあるとの報告があったらしい。


 つまり、国としての調査も、進行する度に通常の食料では足りなくなる為、どの国も諦めた土地でもある。


「開拓の地となるので、周辺国の協力は惜しまない、上手く開拓を行えれば、我々の同盟国との流通、交流の中心地となる。期待しておるぞ、ルーク」


 危険な地を貰うことになったが、開拓に時間が必要な土地でもある為、やりがいはある。


「ハッ!! 確かに承りました。期待に添える様に努めます」


 俺は、開拓を含めた報奨に、ある種の価値を見出だした。

 領主としての仕事は、学院で学び覚えるが、同時にスローライフを目指すのだ。


「其では、報奨の授与を行う。ヴォルガ、アーサー」

「「ハッ!!」」


 アーサーの隣には、アーサーより少し背の高い男子が居た。

 赤い髪のアーサーより、更に深い紅色の長髪を靡かせ、貴公子と思わせる甘いマスク、しかし瞳は獰猛な獣のそれと同じ。


「アーサー、紅龍勲章を」

「兄上、勲章です」

「ルーク君、本当にありがとう。後で部屋にアーサーと行くよ」


 他の大臣や家臣達に分からないように、ヴォルガさんは紅龍勲章を俺の胸にある他の龍勲章と同じ位置に着けながら、囁き離れた。


「其ではこれにて、解散とする。皆の者ご苦労であった。」


 その言葉で王達は去り、俺達も謁見の間を後にした。

 そのまま部屋に戻って良いと、前日言われていたので、部屋に戻ると部屋の中にはヴォルガとアーサーの兄弟とゼルガノン陛下が立って居た。


「よし、このまま宝物庫に行くぞ、とりあえず近いところから回るからな」

「親父の宝物庫なんて、ガラクタの山だろ?」

「アーサー、確かに役に立って無いですが、立派なアーティファクトばかりですよ、役に立って無いですが」

「お前ら、人の宝物を揃ってゴミ扱いすんなよ」


 いや、部屋に居たのは、ゼルガノン王家ではなく、ゼノさん一家としての姿だった。


「改めて、ヴォルガ・セム・レスティオです宜しく、ルーク君」


 爽やかな笑顔が、アーサーの笑顔と違い、眩しかった。


 やはり、ゼノさんの家族は、優しい人が多く居る様に感じたが、二人からゴミ扱いされるお宝って、何だろうか?

 不安と期待が混じりながら、俺達は宝物庫に向かった。


「今回開く宝物庫は、7、9、13の宝物庫だ。その中から一つずつの合わせて3つ報奨とする。まぁ、ゆっくり見ていけ」


 どうやら、かなりの大きさを誇る宝物庫は、複数あるらしい。

 驚きつつも、俺達はゼノさんについて行くのだった。


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