闇蜘蛛の進化とメイド見習い
明けましておめでとう御座います。
今年もよろしくお願いします。
また、ブックマークや誤字脱字、感想なども
面倒でなければお願い致します。
アラクネとなった闇蜘蛛をブローチに戻し、再び転移で館に戻る。
時間が昼を少し過ぎたくらいだったので、食堂に向かうと、渚ともう一人分の影があった。
「慌てないで、そうですよ、混ぜるのではなく、切るように回して行くんです」
二つの影は、何かを作っている様子。
「仕方無い、焔、雪」
「「何?お兄ぃ(様)」」
「お昼は俺が作るね、何が食べたい?」
「「お肉!!」」
今の時期、シルフの月三月に入ると、野生の動物や草食系の魔獣は、寒さに耐える為、肥え出す。
肉食系の魔獣は、それを食い溜めて越冬するといった具合だ。
なので、この時期の肉は脂が乗って旨い。
新しい料理も試したかったので、味噌を使った料理をすることにした。
和の国アマツクニの調味料は、値段が少し高いが日本の物とほぼ同じ物が揃っていた。
みりん、醤油、味噌が調味料として流通しており、野菜では生姜や芋等の根菜が、多く出回っているらしい。
今回作るのは、豚肉のロースを使った味噌焼きとキャベヂの千切りを作る。
味噌焼きのタレは、砂糖にみりんと醤油、生姜とアプリル、オニールのすりおろしを味噌に合わせた物。
これに切った豚肉を漬け込み、時空間魔術の『時間経過』で1時間分経過させて、焼く準備は終わりだ。
キャベヂを千切りにして皿に乗せ、
タレから肉を出した後、くし切りしたオニールとタレを煮込み小麦粉を少し入れトロミが着いたら、フライパンで片面焼いた肉にかけて、焼いていく。
「お兄ぃ、まだ?」
「…焔…めっ!…お兄様の…邪魔に…なる」
「もう少しだよ、ご飯をついでお箸とか出しておいてくれ」
「「わかった(りました)」」
二人は食器棚からお箸や茶碗を出し、食べる分をついでいる様子を見ると、ただの狐人族の子供に見える(ただし、今の俺も同い年に見えるが)
中火の弱火でじっくり焼いていくと、食欲をそそる匂いがしてきた。
「さぁ、出来たよ」
「美味いな、丁度良い濃さだな」
「「あ~っ!!カミナ姉ちゃん(様)ズルイ」」
「カミナ、人の姿になってから、少し手癖が悪くなったね?ご飯抜きにしても食べに行けるからなぁ、……暫くの間ブラッシング止める?」
「うっ……すまないっ…ごめんなさい、謝るから、それだけは止めないでくれ…」
カミナは犬形態だと、柔らかい所の毛が絡む時があるので、ブラッシングをしないと気持ち悪いらしい。
因みに人型になっている時には、絡まった毛は髪質に現れる為、枝毛になったり、ゴワツキがあってどちらも嫌なんだそうだ。
カミナも合流し昼食を食べ終えた頃、渚が疲れた様子でやって来た。
「ルーク様申し訳ありません、昼食の用意が出来ませんでした」
「いや、大丈夫だよ、それより渚の方が、疲れている様だけど?」
「度々すみません、少し手がかかる教え子が出来たものでして」
渚の後ろから、ミニのメイド服を着た女の子が、やって来た。
「初めて、ルーク様、私は本日よりメイド見習いとして働かせてもらいます。鳥人族のエリトリアと申します。見た目は同じ位ですが、年齢は私の方が上ですので、以後よろしくお願い致します」
挨拶を終えて渚に話を聞くと、彼女は商会に買い物に行った際に、サンバリューさんから呼び出されたらしい。
不思議に感じながらも、買い物の自体は終わっていたので、マジックバッグに入れてテラスに着いていった。
そこには隷属の首輪が取り付けられた彼女が居たらしい。
━━━━━━━━━━━
【フューネラルデ・サンバリュー商会】
私は渚、ルーク様の専属メイドで御座います。
今は、普段利用している商会にて、サンバリュー様に呼び止められてテラスに来ました。
そこには、たぶんハーピーと思われる女性奴隷が居ました。
「彼女は、どういった方ですか?」
「渚ちゃんは、奴隷についてはどれくらい知っているのカシラ?」
「種類の事でしょうか? それとも一般奴隷とかの種類でしょうか?」
「後者ね、どうカシラ?」
「大体は理解しています。借金を理由に奴隷になった一般人の借金奴隷、犯罪を犯した者が拘束されたり捕縛された際になる犯罪奴隷、最後が、戦闘技能を持つ様々な理由で奴隷になった、戦闘奴隷ですね」
「まぁ、普通はそこまでネ、後二つ、アタシ達の職業人が言っているのがあるのヨ」
「その子はどちらですか?」
「理解が早くて助かるワ、この子、両方なのよ違法奴隷で性奴隷」
「どうするのですか? 引き取れといった話なら、ルーク様に伺わないと行けません」
私の判断では、難しい案件でしたから。
「雇えとは言わないわ、一時的に預かってほしいのヨ」
「預りですか?」
「えぇ、この子なんだけど、今、知り合いの伝を使って調べてるのだけどね、どうも拐われた可能性が高いのヨ」
違法奴隷商人が、何処かから拐って性奴隷の契約を結んだと言った内容でした。
彼女をよく見ると、確かにそっちに向いた身体をしている。
「この子ネ、違法商人の所で買い手が着いていたみたいで、相手がヤバいのヨ…」
「どうしたのですか?」
サンバリューさんは、話の途中で顔を背けた。
「来たみたいね、マッドサイエンティストが」
『━━━バン!!』
「私の商品が、ここに居ると聞いた。早く出して貰おうか?」
ドアを乱暴に開けた男は、痩せ型で背がそこそこ高く、金髪の鼻につく嫌な男でした。
警備員の方々が取り囲み、御二人が説明をしても、男は引き下がる事がありません。
私もお昼の用意をしなければいけない時間になっていたので、御二人に挨拶をして帰ろうと降りた時です。
「珍しいな、おい、そこの龍人の女ぁ」
「はい?」
金髪が私に声を掛けてきたのです。
「今からお前を連れていく事にした」
「失礼します、ご主人様がお戻りになりますので、急ぎ帰らせて頂きますね?」
勝手なことを喚いていたので、私は男達の横を抜けました。
面倒になったので威圧をかけて行くと、男は引き下がりました。
どうやら男は、何処かの男爵家の子供らしく、下手をしたら此方に被害が来るかも知れないと御二人から言われました。
「そのまま残して置くことも出来なくなりましたので、連れて帰りました。相談もなく、申し訳ありません」
俺は渚のしたことが、間違っていないと思うので、咎める事はしない。
厄介事には、昔から馴れているから、これもその類いだと渚に言い頭を撫でた。
 




