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幽閉された式神使いの異世界ライフ  作者: ハクビシン
2章 -2神龍皇国レスティオ
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闇蜘蛛の進化

今年最後の日となりました。

皆様、体調に気を付けて、

来年もどうぞよろしくお願いします。


「では、依頼受理を今から、王都の冒険者ギルドに伝え、ルーク達は明後日に俺の転移で迎えに来るという流れで」

「わかりました。息子をよろしくお願いします」

「わかった。ゼルガノンとして、無事に返す事を約束しよう」


 ゼノさんと父様達の話し合いは、無事に終わりった様で、俺のパーティー『影狼』に依頼する形で請ける事になり、客間の用意をするらしいので、明後日ゼノさんが迎えに来るという流れになった。


「じゃあな、ルーク、また明後日」

「またな、アーサー」

「それでは、失礼するね」

「オリビアもまたね」


 ゼノさんが来た時と同じ様に、空間が歪み始めて向こう側の景色が変わる。


 その中を三人が通り抜けると、歪みは消えていく、後に残された静寂の中、俺達は館に戻る。


 実は今の転移をこっそりと解析して、術の構成式や必要魔力量を算出する事が出来たので、後で試してみようと思う。


 館の自室に戻ると、三人が待っていた。


「「「ルーク様ごめんなさい」」」


「カミナ様(さん、だ)…さんからお話は聞きました。早とちりして本当にごめんなさい…」


「私が早く言っておけば、よかっただけなの、ソフィアちゃんとリーフィア姉さんは悪く無いの、ルーク様ごめんなさい!!」


(わたくし)が冷静に考えて、カミナさんの名前と女性を結び付けれなかったのが…」


 三人共カミナに何か言われた様で、すっかり落ち込んでいる。

 そんな三人に俺は、魔剣の修復と同じく行っていたプレゼントを渡す事にした。


「三人には遅くなったかも知れないけど、贈り物があるから受け取ってくれますか?」


 異空間収納から、複数の宝石を装飾した小箱を3つ取り出した。

 三人を髪の色を象徴する宝石であるエメラルド、サファイア、ルビーを錬金術で結合させて創った薔薇の花を模した装飾をしており、破壊不可の状態付与をした箱である。


 三人はその箱に見惚れていたが、直ぐに俺の方に顔を向けた。

「開けてみて」

「良いのですか?」

「その為の贈り物だよ」

「「「わぁ!!」」」


 そこに納められた物は、永遠を象徴するミスリルをリングの本体とした。

 長方形の深く輝く(ラディアンカット)細工をされた宝石を中央に備え、周りを小さなダイヤモンドで(ヘイローセッティング)彩る配置がしてある婚約指輪(エンゲージリング)


「これは婚約指輪ですわ!」

「…嬉しいです…本当に嬉しい!!」

「これで婚約者になれたんだよねっ…ね!!」


 三人共にとても喜んでくれたようだ。

 俺は、改めて三人に対して言葉に出す。


「エルザ、ソフィア、リーフィア、私の…俺の婚約者となってくれますか?」


 三人は、目を丸くして瞬き、頷き

「「「はい、喜んで私達を離さないでくださいね」」」


 こうして、俺達は本当の婚約者となることが出来た。


 帰ったアーサー達以外今日は、皆ここに泊まることになったので、俺は三人を部屋に案内して、暇になったので、ロアッソの所に顔を出したのだが、ロアッソの部屋には既に灯りはなく、眠っているようだった。


 仕方ないので、もう一度風呂に入って寝ようと温泉に向かうのだが、深夜を過ぎ誰も居ない筈の温泉から、何者かの歌が聞こえて来た。

「━━━━♪」

 それは悲しくも儚い永遠をさ迷う旅の歌。

 光を求め、闇夜を渡る永遠に終わりの見えない旅の歌を。


 彼女の歌を聞き終えると、俺は部屋に戻って寝ることにした。

 後ろから忍び寄る影に気付かずに。


「…ミツケタ………ミツケタ……」


 影は、普段の装飾品として身に着けているブローチに取り付けられた、式神闇蜘蛛(ダークスパイダー)の刻印された宝石(オニキス)に溶け込む様に消えていった。


 翌朝、俺は明日の移動と相手が、ローチ種というのもあり、闇蜘蛛の強化、もとい進化を行うことにした。


 何故か、ブローチを身に着けた時に違和感を感じたので、鑑定をしたのだが、特に変わりもなく、仕方無いので『解析(アナライズ)』を行うと、闇蜘蛛の刻印にこう書かれていた『進化可能』と。


 恐らくだが、今の所考えられる方法は、魔石を与えるか、素材を与えるかのどちらかな筈だ。


 通常の魔物や魔獣の進化は、共食いや、魔素の吸収によって、自らの身体と魔石を強くしていく。

 同じ様に与えれば、何かの変化が起きると踏んで、カミナと焔、雪とで蟲系の魔物を狩りに、ラーゼリア領にある、腐蝕の森に転移していた。


 この森には、C~Sランクの魔蟲が棲息しており、今回の目当てはハンティングスパイダーと呼ばれるAランクの大型魔物で、ローチ種の天敵に当たる魔物だ。

 2.5~3mの大きさで、見た目に反してかなり素早い。

 他の魔蟲を倒して行きながら探すと、岩場に当たった。

 そこには、小さな洞窟が存在し、ハンティングスパイダーが潜んでいることが探索(サーチ)で確認出来たので、カミナと中に入って行く。

「むっ?これは…」


 しかし目当てのハンティングスパイダーは、既に瀕死の状態で、欠けた魔石が露出した姿であった。


「どうするつもりだ?」

「まぁ見てて、試したい事があるんだ」


 俺は闇蜘蛛の刻印付き魔石をハンティングスパイダーの魔石に付けて錬金術で融合させた。

 周りが魔素に包まれて行くとハンティングスパイダーの姿が変わっていく。


 千切れた足は、鋭く固そうな金属質の物に変わり、色も茶色から、闇蜘蛛に近いパープルネイビーに変色していく。

 ただし、胴体の変化はそれだけでは終わらなかった。

 不自然な突起が頭にできており、蜘蛛とは違う何かになろうとしているかのようだった。

 鑑定と解析を両方合わせて行うと、俺は目を疑った。

【名前】【種族】アラクネ(闇蜘蛛変異体)(幼体)(式神化)

【体力】5000/5000

【魔力】6000/6000

【筋力】B

【知力】S

【器用】SSS

【対魔力】SS

【スキル】影移動 糸排出 捕縛術Lv8 全毒Lv10 解毒Lv10 進化 闇魔術Lv8 土木魔術Lv10 蜘蛛系統支配Lv6


「また恐ろしく強い式神に成ったものだ。しかも幼体でこれか」


 闇蜘蛛は()()()アラクネに進化をしたのだが、幼体の為、明日のローチ狩りで何処まで成長出来るかが楽しみになっていた。

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