婚約者集結
「おぉ、後ろに居るのは…誰かと思えば、ルークじゃないか…まぁ予定外の再会だな?」
ゼルガノン様は、少し眉を動かし、アーサーを睨み付けている。
「だって親父、何時も言ってたじゃねーか、面倒くさい案件はさっさと済ませろって」
「時間がかかる内容だから、お前達と同い年の友達を作れると思って、お使いを頼んだんだがな」
「あの…ゼルガノン様?」
「おぉ、すまんなルーク、取り敢えずの目処がたったかわからんのでな、創った奴の書き残した書物を渡すのはどうかと選んでいた所だったのだ。あと俺はゼノで言いと言ったろ? 公式の場ではそっちで良いが、それ以外はゼノで呼べ」
「では、ゼノさん…魔剣レヴィアシェルですが、力を取り戻しました」
「は? いや待て、まだ渡してから一月も経ってないぞ、そんな簡単に……真名だ、真名を呼べ」
「【凍樹魔剣 レヴィアシェル】ですね」
「嘘だろ……俺も人の事を言えんが、本来の修復には化物クラスの才能と力がいるぞ」
「ベリトが手伝ってくれたので」
「ベリト?……ベリト・ザイファーか?」
「久しいな、ゼノ…なんだその格好は、やはり龍人族の王になるとは思っていたが、似合わんな」
「そう言うお前は身体が鎧のみか? 肉体を失いまだ存在していたのか」
「あぁ、だが悪く無いだろう? ルーク様が私の愛用鎧に改良を加えて、新たな身体にしてくれたのだ」
いつの間にか、俺の側にベリトが現れ、ゼノさんとの会話に参加していた。
「お前が居るのなら、謎が解けた…しかし、ルーク様か…成る程な、実にお前らしい」
「この姿を得たのだ、最早、墜神崇拝者どもに遅れはとらん」
「まぁ、今のところは大丈夫だろう、奴等も表立っては動けん様にしてあるし、時折動いたとしても、世界を滅亡させる程では無いからな」
「一つを除いてな」
「何か問題があったのか?」
「レシアスの元財務大臣だった男が、生け贄の陣を用いて、極めて弱い何かを呼び出した痕跡が有った」
「弱いのなら問題でも無いだろ?」
「あぁ、普通ならな」
「普通じゃ無いのか?」
「恐らく、あれは残留物ではあったが、高位の夢魔か闇精霊の眷属みたいだ」
「また面倒くさいのがやって来たな」
どうやら、消えた大臣が何か良からぬ事をしていた話をしているらしい。
「わかった、各国の所には、俺が知らせを出す。お前はルーク達を守れば良いだろう」
「異常な反応を感知したら、知らせる」
ベリトは、その言葉を最後に、影に溶ける様に消えた。
「さて、ルーク、お前の修復した魔剣だが今日の夕方に見に行くから、親に言っといてくれや、ついでに子供達を連れて帰るから」
「わかりました、『ゼノさん』がやって来ると伝えておきます」
「頼んだ、さてオリビア、アーサー、ルークとはどうだ?判断を聞かせろ」
「わかってます、うちとしては問題ないと思います」
「俺も問題ないと思うぜ」
「じゃあ、そっちの話もついでにしておくか、ルーク、後で会おう」
ゼルガノン様もといゼノさんは、爽やかに笑うと会話が終わったと同時に映像も消えた。
どうも魔剣以外の要件が有るみたいだった。
そのあとはエルザとリーフィア達の馬車とオリビアとアーサーの馬車を誘導して、俺の屋敷予定地に向かうことになった。
トトルを呼び出し、両親に予定地に向かう事と、ゼノさんがやって来る事を綴り、飛ばした。
両親からの返事は直ぐに返ってきて、直ぐに向かうらしい。
俺は渚に先行させて、夕食の準備をして貰う事を頼むと
「畏まりました。腕によりを掛けて用意をしますね」
と言って、温泉宿の方に飛んで行った。
屋敷に到着し、馬車を温泉宿の近くに止めて貰い、馬を魔術で出した杭に繋ぎ、案内を始めた。
「スゲーな!!マジもんの温泉かよ、しかも自作って、ヤベー」
「アーサー、落ち着きぃな恥ずかし」
「でも綺麗なエメラルド色ですわ」
「うん、しかも臭くない」
「それじゃ、夕食まで時間があるから、部屋に案内するね」
それぞれのペアに分けて部屋割りを行い、温泉の時間を分けた。
お手伝いさん達も休んで貰い、皆に夕食や温泉を満喫して貰うと、執事服を来た老成の犬族の男性(獣型亜人)がやって来た。
「ルーク様、お初にお目に掛かります。私、リーフィア様の執事をしております。ドーハと言います。この度は、この様な持て成しをして頂き有り難う御座いました。」
ドーハさんは、深く頭を下げて居た。
「私は、お嬢様の教育係も兼ねていましたが、婚約者を決める際には、口で相手を負かした上に、プライドをへし折っていくものでしたからこのままでは……と思っていた所にルーク様のお話が来たのです。いやぁ、本当に良かったですこれからもお嬢様をお願いしますルーク様」
ドーハさんは、言いたい事が言えて満足そうに歩いて行った。
その後でエルザとリーフィアが俺の部屋にやって来た。
「今日の事でお話がありますの、ルーク様よろしいですわね?」
「カミナちゃんは何処かな?」
「カミナ?カミナならベッドで寝てるよ?」
先程まで、ブラッシングをしたのでベッドの上には、犬のカミナが横に伸びていた。
「いえ、そちらのカミナさんではなく、あの女性の事ですわ、ねぇソフィアさん?」
「そうですねぇ、メイドの渚さんはわかりました。でも試験官をしていた女性は理解ができませんねぇ、人狼族の女性に首輪をプレゼントしているらしいですねぇ、ルーク様ぁ?」
何処からか、ソフィアの怒気を含んだ声が聞こえて来た。
エルザが、袋から鏡を取り出すと、俺の部屋に置いてあった姿見に向かい、合わせ鏡の様にすると、そこからソフィアが出て来たのだった。
「ありがとう、エルザ」
ソフィアがエルザの頭を撫でて、此方に顔を向ける。
「さぁ、ルーク様、ゼルガノン様が来るまでと帰ってから、どちらでも良いですよ?じっくりお話しましょうねぇ?」
この時の俺は、背中に冷や汗を流しながら、一つの結論に至った。
『質問に対して素直に話そう』という結論に。




