学院入学試験3
「集まったな、それでは、入学試験午後の部を始める」
髭を蓄えた男性が確かめる様に話し始めた。
「何をするんだろうな?」
「さぁ、わからねぇ」
「魔術に関する事なら模擬戦とか?」
「試験内容は、今からそれぞれの班に渡す紙の場所で待つ試験官との模擬戦闘だ」
何をするんだろうなと話していると内容が伝えられる。
俺達の班に渡された紙には、中央闘技場と書かれた紙が渡された。
中央闘技場は、訓練場と技術棟の間にある建物で、ギリシャのコロッセオの様な所だった。
そこに待ち受けて居たのは、俺が良く知る人物だった。
「さて、来たか…今回お前達の相手を担当する……ルーク?」
「えっ!? カミナが何で?」
「またルーク様の知り合いですの? そう言えば、ルーク様の買っていた物と同じチョーカーをしていますわね……カミナ?」
リーフィアは、名前に疑問を持ちつつも、カミナの首元を飾るメタルチョーカーを羨ましそうに見ていた。
「ルーク、すまんが私も仕事だ、手は抜かん何時ものように来い」
カミナは試験用の刀を構えた。
「カミナ、試験内容は何かな?」
「簡単な事だ、私に一撃当てろ」
「「「「「いや、無理だろ(ですわ)(よ)」」」」」
俺以外の皆は、反応が早かった。
「ではこの円から外に出せば合格にするとしよう、ルーク以外はな」
とカミナは無茶を言っていたが、結局皆はその条件を飲んだ。
「では一斉にでも良いぞ、掛かって来い、ルークは待機しておれ」
初めは俺以外の皆を試すらしい。
見学を命じられた為、遠慮無く俺は休んだ。
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「それでは始めるぞ、安心して良い、ここでは怪我をしないように、色々結界が張られているからな」
「「「「「はい!!」」」」」
カミナは、居合いの構えで、攻撃に備える。
「円から出せば勝ちなら簡単な事だぜ」
「そう簡単にいくかな?」
「紅蓮の炎よ、集い……」
「遅い!!」
カミナは円から魔力刃を飛ばし、発動用の魔術陣を消し去った。
「ならスピードと手数ですわ」
「うん、そうだね僕も合わせるよ」
「うちも合わせますわ」
リーフィアとロアッソ、オリビアの三人で同時に攻撃を行う。
カミナは円の中央に、刀も構えずただ立ち
「駄目だな、術の発動が遅すぎる。貴様等は魔術が発動するまで、敵に待って貰うつもりか?……死ぬぞ」
カミナの威圧に皆腰が引けていた。
「カミナ、ちょっと待ちだ、容赦無さすぎ」
「むぅ、少しだけだぞ」
俺はカミナの威圧を止めさせて、皆を集めた。
「皆ゴメンね、とりあえずカミナを出すことだけど、無詠唱で放てる魔術ある?」
「わたくしは一応、光弾、アースグレイブ、なら使えます」
「僕は闇弾だけでしたら」
「俺は、火炎弾と紅蓮の壁なら一面のみだな」
「私は、土弾風弾と雷弾のみですわね」
「うちは一つも無いなぁ、格闘技なら任せてほしい所なんですけどねぇ」
と言っていたが、聞いた内容で、一つの作戦を思いついた。
「もう良いのか?」
「うん、大丈夫です」
「問題ねぇぜ、何時でもやれる」
「では改めて、試験を開始する」
「「「「「「お願いします」」」」」」
合図と共にアーサーが即座に魔術を発動させた。
「『紅蓮の壁』『火炎弾』」
それに合わせる様に、エルザ、リーフィア、ロアッソが魔術を発動する。
「「「『光弾』『風弾』『闇弾』」」」
紅蓮の壁の中から複数の魔弾が、カミナに降り注ぐ。
カミナは、ニヤリと笑い刀を構え、弾を落としに入った。
自分に当たる所のみ消していき、被弾はなかった。
すると、カミナは刀を抜き上に跳んだ。
その瞬間、カミナが立っていた場所に、アースグレイブが発動して、土槍が下から突き上げた。
突き上げ終えた槍先に、器用に方足で立っているカミナは、拍手をしながら
「お見事、合格だ」
と言った。
カミナが書いた円はアースグレイブで、小さな円に成り、カミナの足はその円から出て居た。
「「「「「やった。これで終わりだ!!」」」」」
皆は喜んでいたが、俺は憂鬱だった。
「さて、ではルーク構えろ」
「俺だけ、内容が酷くないか?」
「まぁ、私の憂さ晴らしに付き合え」
「ハイハイ」
俺は、訓練用の刃引きした刀と双剣を異空間収納から取り出し構えた。
「勝敗条件は?」
「決定打と思われる一撃を入れたら私の勝ち、時間が来たらお前の勝ちだ」
「了解、後30分位だな」
「カミナ、参る」
先程の動きとは、うってかわって、素早い斬撃が俺を襲う。
剣閃が無数にやって来たが、落ち着いて半身動き躱す、無理な所は剣で受け流す。
「「「「「……………」」」」」
皆は、俺とカミナの模擬戦を集中して見ていた。
他にもぞろぞろと集まって来てはいたが、スイッチの入ったカミナは止まらない。
集中をしていた為、カミナの動きに合わせる様に動くと、周囲の動きが妙に緩やかに感じた。
「楽しいぞ、ルーク そろそろ終いとするか――『秘剣、雪月花』」
「カミナの業は綺麗な物が多いから、俺は結構好きなんだよな」
カミナの魔力がカミナを包み、溢れる魔力は冷気を流す。
刀の剣閃は、冷気ごと辺りを撫で切る様に振られ、桜の花が散るかの様に冷気が踊り舞う。
「なら、俺もやりますか」
得物を刀から双剣に持ち替え、魔力を流す。
闇と光、炎と氷、嵐と樹木、対になる魔力を両方の剣に流すと、双剣は金属音を響かせる。
「『崩牙』」
双剣は魔力に耐えきれず、砕け散るが魔刃は完成していた。
白と黒の刃を目の前の剣閃に添わせると、剣閃はすべて『崩牙』に吸い込まれる様に消えていった。
そのまま、カミナにドヤ顔をしてやると、カミナは笑いながら
「クックッ、ルークやったな、周りを見てみろ」
「えっ?…あっ」
かなり大きな音がしたのもあるだろう、教師含め程の人間が、周りを囲んでいた。




