学院入学試験2
移動中、話す機会が設けられていたので、皆ある程度打ち解ける事が出来た。
緊張していた者は居なくなっていた。
「次の試験は、魔術による能力試験じゃ、この縦に並んだ、二つの的のうち一つでも魔術で壊せれば合格じゃ、チャンスは二回まで、一回で二つとも破壊を行えればSS評価じゃな、魔力量の少ない者から始めるぞ」
先程の魔力量でSSSを貰ったので、俺は一番最後に行う事になった。
「ロアッソから始めてもらうぞ」
「はい」
ロアッソは杖を取り出し、詠唱を始めた。
「我が魔力を持って、対するものを討ち滅ぼせ、『闇の刃』」
無数の黒い刃が的に向かい放たれた。
二つの的には確かに魔術が当たったが、片方のみ破壊された。
「もう少しで同時破壊出来たかな」
「惜しかったのぅ、ロアッソ、Sじゃ」
二回目の魔術で、的を破壊する事は出来た。
次はオリビアの番で、二つの違う魔術を繰り出していた。
「火と風よ……行け、『火の大鎌』」
二つの火が纏う鎌が回転しながら、的を二つとも破壊する。
「複合型の魔術で切り口を広げるか、成る程SSじゃな、次」
「リー姉様頑張って!!」
「あら、エルザ、私の事よりも自分の事を優先しなさいな」
相変わらず仲の良い二人を見ながら、注視する。
リーフィアは、碧の魔力に紫を混ぜて行く。
「雷を纏いて驚異を抑えよ樹木の壁、『雷の樹』」
魔術が発動し、的の下から雷を帯びた樹木が生えると的を打ち上げ絡めとり、二つとも圧砕した。
「防御用魔術で、圧砕するとは、ようやるのぅSS獲得、次はエルザ」
「はい、…光の礫…集いて放て、『シャイン』」
一回目の発動した魔術は、的を破壊するには足りず、二回目の発動で一つを破壊することが出来た。
「なんとか一つか、A評価じゃ、次」
「おぅ、じいさん、こいつを使っても良いか?」
アーサーはグリムさんに何か光る物を持って尋ねていた。
「また、見事な装飾品じゃが…指向性を高める物か、他の付与は無いようじゃな、良いぞ」
「ありがとう、じいさん、的が小さくって狙いにくいんだ。……紅蓮の業火よ我が命に従え、悠久の炎と成りて燃やし尽くせ!!『火炎の咆哮』」
魔術陣から放たれた炎は、一直線に唸りながら的を溶かし、ほんの少し黒い塊が残る形で終わった。
「もう少し、魔力制御を身に付けんとその魔導具だけでは危ないのぅ、まぁ良いSSじゃ」
「よっしゃ、おい、ルークだっけ?」
「どうかしましたか、アーサー殿下?」
「お前だろ、親父からレヴィアシェルを授かったの、修理の目処がたったかどうか、親父が聞いてこいって言ってたからな。後で落ち合おうぜ、それと固っ苦しいのは苦手だから、アーサーで良いぞ、ルーク」
「わかったよ、アーサー」
「話は終わったかの? 使う魔術はどうするね? 対属性の結界を張るんで教えてくれ」
「じゃあ、雷を使います」
「では、土木の結界を張るとするか『アース・フィールド』…よし良いぞ」
的と俺以外に碧色の結界が張られた。
開始の合図が出たので、腕軽く開き前に出して構え、魔力量を調整し的に狙いを定める。
「『魔電磁加速砲』」
腕を、レールに見立て、蒼白い電流が渦巻いて中心の魔力弾に圧力を与える。
圧縮された魔力の弾は、超光速で放たれ的と結界を突き破り、訓練場の壁を貫く寸前で消失した。
調整をしなければ、会場が大惨事になっていたと思われる。
俺の前から壁の手前まで、地面が光の線と同じ幅無くなって、一部ガラスの結晶になる程だった。
「ルークよ、無詠唱も見たことの無い魔術も驚くが、もうちっとだけ威力を落とせんかったかのぅSS評価、きちんと地面を戻す様にの」
「はい、すみませんでした」
グリムさんに言われた通りに、グランドの土を元に戻した。
「では、ここでひとまず終了じゃ、午後から最後の試験があるので、遅れぬ様にな」
と言い残し、俺達は昼飯を食べる事になった。
「さて、どうするかな」
「(ルーク様、そのまま受付までお戻りくださいませ昼食をお持ち致しました)」
「(渚、ありがとう、助かったよ)」
俺は受付まで戻り渚を探すと、渚はバスケットを片手に持ち直ぐにやって来た。
「お待たせ致しました。ルーク様、本日の昼食です。どこか座れる場所はありますか?」
「さっきまで居た試験場に、ガゼボが何ヵ所か有ったからそこに行くか」
「畏まりました。では向かいましょう」
ガゼボに向かい歩こうとしたその時
「「ルーク様、居たぁ(居ましたわ)!!」」
正面から、エルザとリーフィアが手を振って居た。
その後ろには、今日の班になっているオリビアとアーサー、ロアッソも一緒に居た。
話を聞くと、皆お昼を用意して貰ったので、せっかくなら一緒ご飯でも、という話になったそうだ。
「所で、そのメイドさんは何方ですの? 初めて見る方ですわね?」
「お初にお目に掛かります。ルーク様の専属メイド、渚と申します。 エルザ様、リーフィア様以後お見知り置きくださいませ」
「渚さんだね、よろしく」
と渚が二人に挨拶をすると横から
「この方、龍人族の方かしら? でもうちの国の方ではない様ね」
「だな、魔力の波が違うぜ、姉貴」
龍神皇国の二人は何かを確認していた。
「私はこことは違う世界から、ルーク様に再び会う為に、渡って来ました」
「「再び会う為に?」」
「はい、ルーク様の前世は私のご主人様でしたから、とても大切にして頂きましたので……何が在ったかは乙女の秘密とさせて頂きますね」
そう二人に説明をして渚は俺の後ろに控えた。
「そろそろ食べに行こうか」
「「「「「賛成!!」」」」」
ガゼボに向かい皆で歩いて行くと大きなガゼボが空いていたので、そこに食べる事になった。
それぞれのお昼ご飯が、執事やメイドの手によって並んでいくとかなり豪華な状態になった。
その中でも人気になったのが、唐揚げと、とり天だった。
クックのもも肉を使った唐揚げは、冷めても美味しく食べられる様に、下味がしっかりしているのに加えて、あっさりとした塩味と醤油味の二種類用意してあった。
とり天は、ポン酢とカボス(商会に置いていた)でさっぱりと食べられるので、主に女性陣に人気だった。
食べ終えた俺達は、一休憩していると放送が掛かった。
「入学試験午後の部を開始する。全員第一訓練場まで集合せよ」
今居るのが第一訓練場の敷地なので俺達はゆっくりと歩いていった。




