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幽閉された式神使いの異世界ライフ  作者: ハクビシン
3章-1 鬼神祭
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鬼神の郷の試練

色々な事があったが、月日は流れ俺は12歳となった。

あれからノートリアスは現れず、ヴェニスも姿を現さなかった。

そんな中、俺はと言うと……朧さんに呼ばれ彼の治める鬼神の郷へ来ていた。

━━試練を受ける為に。


「ルークよ……準備は良いか?」


朧さんの問い掛けに俺は頷くと、腰に差した刀に触れた。すると朧さんは頷きながらこう告げたのだ。


「うむ……では始めよう」


そんな朧さんの言葉と共に試合が始まったのだった━━。


「ふぅ……」


俺が息を吐くと目の前に1人の女性が現れた。その女性は黒髪を後ろで束ねており、額からは2本の角が生えていた。そして何より特徴的なのは彼女の服装だった。着物と呼ばれる服で、その上から革の胸当てを付けており、下は袴を履いていた。


「初めまして……私は朧様の従者の1人、鬼神の郷の巫女である紅と申します」


そんな彼女の自己紹介に俺は思わず苦笑いを浮かべた。


「えっと……初めましてルークです」


俺がそう答えると彼女は笑みを浮かべたまま口を開いた。


「ふふっ……そんなに緊張しなくても大丈夫ですよ?」


そんな彼女の笑みを見て俺も釣られて笑みを浮かべるとこう告げたのだ。


「はい!」


すると彼女はニコリと微笑むとこう言った。


「では、早速ですが試合を始めましょうか」


そんな彼女の言葉に俺は頷くと刀を抜いた。そして、彼女は腰に差した刀を抜くと構えた。

俺も刀を中段に構えると彼女との間合いを詰めた。

そんな俺の動きを見て紅さんは笑みを浮かべたまま口を開いたのだ。


「良い判断ですね……」


そんな彼女の笑みを見た瞬間、ゾクリとした感覚に襲われたが、俺は構わず彼女に斬りかかった。だが……そんな俺の攻撃は容易く避けられてしまったのだった━━。


「まだまだですね……」


そんな紅さんの言葉に俺は苦笑いを浮かべると、今度は彼女の間合いに入らないよう気をつけながら攻撃を仕掛けた。だが……そんな俺の攻撃も簡単に避けられてしまったのだった。

その後も幾度となく攻撃を仕掛けるが、結局一度も当たる事は無かったのだ……そして━━。


「ここまでですね……」


その言葉と共に俺の首筋には刀の刃先が向けられていたのだ。そんな彼女の言葉に対して俺は苦笑いを浮かべたままこう告げたのだ。


「参りました」


そんな俺の言葉を聞いて彼女は刀を鞘に収めると口を開いた。


「鬼神祭に出ても問題無いでしょう」


その言葉に俺は思わず目を見開いた。まさか、彼女からそんな言葉が出るとは思わなかったからだ。

そんな俺に対して彼女は笑みを浮かべるとこう告げたのだ。


「ふふっ……そんなに驚かなくても大丈夫ですよ? 朧様が貴方を推薦したのですから」


何故、俺は彼女と試合をしたのか、其れには理由があった。

少し前に遡るが、俺は鬼神の郷に着いた際に紅さんに案内してもらい朧さんに会ったのだが、会って早々こう言われたのだ。


「ルーク、良く来たな……試練の準備をしておいたぞ」


そんな朧さんの言葉に俺は首を傾げた。


「ここの試練は何ですか?」


そんな俺に対して彼は笑みを浮かべながら説明してくれたのだ。


「うむ……試練だが、鬼神祭に出てもらう事だ。鬼神祭と言うのはな、年に一度行われる祭りの事だ。その祭りでは1番強い者が優勝となり、その者に褒美を与える事になっている」


そんな彼の説明に俺は頷くと口を開いた。


「成る程……それで、俺は誰と戦えば良いんですか?」


俺の問い掛けに朧さんはニヤリと笑みを浮かべると口を開いた。


「うむ……紅と戦ってもらう」


そんな彼の言葉を聞いた瞬間、思わず目を見開いた。まさか案内してくれた人と戦う事になるとは思わなかったからだ。そんな俺に対して彼はこう続けたのだ。


「安心しろルークよ……お前なら鬼神祭にでられる筈だ」


その言葉を聞いた時、俺は笑みを浮かべたまま答えたのだった。


「はい!頑張ります!」


そんな俺の言葉に朧さんは頷くと更に言葉を続けたのだ。


「あぁ……だが、油断するなよ、紅は俺より強いからな」


朧さんの言葉に俺は思わず苦笑いを浮かべた。まさか、案内してくれた人が朧さんより強いとは思わなかったからだ。

そんな俺の反応を見て彼は笑みを浮かべるとこう告げたのだ。


「まぁ……頑張れよ」


そんな言葉に俺は頷くと紅さんに視線を向けた。そんな俺に対して彼女は微笑むと口を開いたのだ。


「では、早速ですが試練を始めましょうか」


そんな彼女の笑みは何故か背筋が凍るような感覚がしたのだった━━。

それから今に至る。


「紅は巫女であるが、ある程度なら予知が出来るからこの郷で一番強いんだ。だけど鬼神祭は男だけが出られる祭りだから、彼女に合格を貰った奴しか出れない様にしてある」


そんな朧さんの言葉に俺は思わず苦笑いを浮かべた。


「あはは……」


俺がそう呟くと、紅さんは笑顔を浮かべたまま口を開いた。


「では……日程をお伝えしますね」

「あ、はい」


俺がそう答えると彼女は懐から1枚の紙を取り出した。そして、その紙を俺に手渡すと口を開いた。


「明日の早朝に出発して貰います……今日はゆっくり休んで下さいね」


そんな紅さんの言葉に頷くと俺は朧さんに視線を向けた。そんな俺の意図を察してくれたのか彼は笑みを浮かべながら口を開いた。


「あぁ……部屋を用意してあるぞ」


そんな彼の好意に感謝しながら俺は笑みを浮かべたのだった━━。

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