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幽閉された式神使いの異世界ライフ  作者: ハクビシン
2章-20 従魔レース開催
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北門制圧

「ちっ!このままじゃ不味いな……」


 俺がそう呟くと旋回して戻って来たボルクが口からブレスを放ち牽制を始め、俺はその隙に魔導銃の弾を『魔電磁加速砲』に切り替えて足下へ滑り込むと、そのまま引き金を引いたのだ。

 放たれた弾丸は魔物の腹部に直撃すると、そのまま貫通し後方で戦闘していた魔物達を巻き込んでいった。だがそんな事で怯む事なく次々と攻撃を仕掛けてくる化け物に対して俺はナイフを取り出すと構えたのだった……そして戦いは更に激化していく。

 それからどれ程時間が経っただろうか?気が付けば辺り一面が血の海と変貌し、立っているのは俺とボルクだけだった。他の冒険者達は地面に倒れ伏しており動く気配は無かったが、疲れて倒れたと言った所だろう。

 他の地区にも三騎士や渚、カルロ達など戦いが出来る者を派遣したからか静まり返っている。

 カミナは魔法陣に傷を入れながら破壊に魔獣の始末にと駆け回っていた。

 だが、ここで終わる事はなかった。

 未だ地平線の様に蠢く魔物の群れが外に居るのだ。


「━━赤城、餓骨出番だ!!」

「「主の盟約承った」」


 その言葉と共に俺の指輪から大蜈蚣の赤城と餓者髑髏の餓骨の姿が現れ、赤城は王都を護る形で城壁に巻きつく。

 餓骨は身体を四分割し四方を護る。

 その頃には魔法陣を全て破壊し終えたカミナと合流する事が出来た。


「おい、大丈夫なのか?」

「あぁ……何とかな……」


 そう答えると彼女は小さく笑みを浮かべこう告げたのだ。

「━━このまま一気に殲滅するぞ!!」


 その言葉に俺達は頷くと、戦いを再開したのだった。


「遠からん者は音にも聞け、近くば寄って目にも見よ!! 我こそは山本五郎左衛門、いざ推して参る!」


 その言葉と共に東門に迫る魔物の群れへと突っ込んで行ったのだ。そして次々と敵を薙ぎ払っていった。その攻撃は凄まじく、一撃で数体の魔物を屠っていた。

「流石だな……」そんな呟きが自然と漏れる程だった。だが……それでも敵の数は減った感じもない。

 寄せては返す波の様に減っては埋まりを繰り返すだけだった。

 東の別の場所では、ノルドとゴーム、ベリトの三騎士が、同じく数の押し合いをしており、渚達は救護班として治療に当たる様に指示を出した。

 カミナは南の門を一人で相手にしており、ガルバノは黒曜と共に俺と北門側からの集団を引き受けた。

 残りの西門にはドレアムさんを含めた冒険者ギルドと焔、雪の二人が向かっている。

 そして、各門には大蜈蚣を赤城が城壁に巻きつく形で護りを固めていた。

 餓骨はギガントの対応を命じ既に向かっている途中という流れだ。

 下手な作戦よりも総動員で解決に当たる為、指揮権はジークリッド陛下に任せてある


(そうでもしないと前線に立つ勢いだったので、そうせざるを得なかった……)


 流石は賢王とも言われるだけあり、配置は完全に能力の均等化がされていたがヴォーパルだけは自由にさせていた。

 何故なら、近接戦闘に関して言えば竜化しなくともカミナに並ぶ強さを持ち、竜化すればカミナと互角に戦える程の強さを誇っているからだ。

 だから、ヴォーパルだけは好きにさせる事にしたのだ。

 そして俺達は魔物の群れへと突撃すると、次々と薙ぎ払っていく。だが……それでも数が減る様子はなかった。


「くそっ!キリがねぇな……仕方無い」


 そんな愚痴を漏らす俺だったが、そんな事は分かりきっていた事だ。

 俺は魔術で土壁を作り出すと一点のみ穴を開けた。

 無数に蠢く波がその一点のみの穴を目指し進んで来る。然し、其れを罠だと気付く知恵は持ち合わせていないようだった。

 先が細くなる通路と化した門前は黒曜によって塞がれ、堅牢な土壁から溢れた魔物をガルバノと俺の攻撃で排除していく。


「ガルバノ!一気に片付けるぞ!」

「おうよ!!」


 そんなやり取りと共に俺達は、迫り来る魔物の群れを殲滅していく。そして最後の一体を倒すと、俺はその場に座り込み呼吸を整える事にしたのだ。


「ふぅ……流石に疲れたな……」


 そんな俺の呟きにカミナが近寄ってくるとこう告げた。


「全くだ……だが、まだ終わりじゃないぞ」


 その言葉に俺は小さく頷くと立ち上がり辺りを見渡すと、そこには無数の死骸が転がっていた。その数は百を軽く超えるだろう。

 そのどれもが黒曜に吸収されていき素材のストック兼、黒曜や餓骨の強化に繋がる。


「さて……そろそろ行くか」


 そんなカミナの言葉と共に俺達は黒曜を残し西門へと向かい歩き出した。



 ━━西門では、焔と雪の二人が餓骨と共にギガントの対応に当たっている所だった。

 二人は迫り来る魔物の群れに対して魔法を放ち撃退していくが、その数は減るどころか増える一方だった。


「全く……キリがないね……」

「面倒だから辺り一帯燃やしちゃおうか?」


 そんな愚痴を零しながらも二人は懸命に戦っていたのだ。だが、体力も魔力も無限にある訳では無い為、徐々に疲労が蓄積してくる。

 その疲労が一瞬の隙となって二人は波に呑み込まれた。

 他の冒険者が救出に向かう事ができない最中の出来事だった。

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