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幽閉された式神使いの異世界ライフ  作者: ハクビシン
2章-20 従魔レース開催
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決勝レース

 レースの決勝戦当日、俺はモルテと共にゲート前で呼び出しされるまで控えていた。

 残っているのはアーサーと俺、そしてエネオス選手の3人だったが、アーサーは緊張しているのか顔色が悪い。


「おい、大丈夫か?」


 そんな俺の心配に答える余裕も無いのか、ただ頷くだけだった。


(やれやれ……本当に走れるのか?)


 そんな事を考えているとゲートが開き俺とモルテは歩き出す。そしてアーサーも少し遅れて出て来たのだが……やはり顔色が悪かった。


(これは駄目かもしれんな……)


 そんな事を考えつつも俺は観客席にいるカミナの姿を見つけると思わず苦笑いを浮かべるのだった。何故ならカミナの周囲には教員達がおり、その中央で腕を組みながらこちらを見上げているからだ。


「準備は良いな? 頼むぞモルテ」


 モルテが頷くと俺は共にコースに降り立った。そしてアーサーもゲートから出ると教員達に促されるまま俺の隣に並んだ。


(さて……どうするかね? 始めから飛び込むか?)


 そんな事を考えつつ開始の合図を待つのだった。

『さぁ!いよいよ決勝戦だ!!実況は私、マイク•バルカスがお送りするぜ!!』


(ついにこの時が来たか……)


 そんな事を考えていると、実況が開始の合図を告げる。


『では!決勝戦!!スタート!!』


 その声と火薬の爆発音と同時に俺はモルテに指示を出す。するとモルテは一気に加速し先頭へ向う様に躍り出る。

 他の選手の従魔は、地上を駆ける従魔が4名、空を翔ける従魔が4名で半々の様だ。


「さて……モルテ、好きにやれ」


 俺の言葉を聞き、モルテは徐々に加速する。そしてそのまま先頭を走る従魔に追いつくと追い越し更に加速していく。


(ふむ……出だしは良いかな)


 そんな事を考えつつ俺も遅れない様に速度を上げていくが、後ろからアーサーの気配が遠退いている事に気が付いたのだ。


(おいおい……大丈夫なのか?)


 俺がそんな事を考えている間にもモルテはコースを進んで行くので、俺は前だけ見ながら落石ポイントへ突入した。


『さぁ!先頭を走るのはモルテ&ルーク選手だ!!凄まじい速度で後続を引き離す!!』


 実況の声を聞きながら俺はコースを進む。そして落石ポイントに辿り着いた瞬間、モルテが岩を風力刃で砕き道を作りながら突き進んでいく。

 そんな光景を見て観客達は驚きの声を上げていた。


『これは凄い!モルテ選手、見事な岩砕きで道を造りながら突き進んでいくぞ!!』


 そんな実況を聞きながら俺はコースを進む。そして落石ポイントの先には崖があり、その下を走ると更に加速する事が出来るのだ。


(さて…そろそろかな?)


 そんな事を考えている間にもモルテはどんどん先へ進んで行くので、俺も同じように崖下を進む。そして崖下の先に広がる森に入った瞬間、俺はモルテに命令を下す。


「モルテ!風壁!!」


 俺がそう言うと、モルテは風魔法を使い俺達の周囲に風の膜を作ると更に加速する。そしてそのまま一気にコースを突き進んでいくのだった。

 暫く独走状態が続き森を抜ける頃、後方に幾つかの集団が現れた。

 森を抜ける際の風壁がブレーキになったのか、後続集団が追い付いてきたのだ。


「モルテ!このまま突き進め!」


 そんな俺の命令に頷き、更に加速するモルテは遂に先頭を走る従魔を抜き去るとそのまま駆け抜けたのだった。


(やれやれ……何とかなったな)


 そんな事を考えつつ俺は観客席に居るカミナへ視線を向けると、ニヤリと笑みを浮かべるその姿が見えたので思わず苦笑いを浮かべるのだった。


『さぁ!!レースもいよいよ終盤です!!』


 そんな実況の声を聞きながらコースは半分を過ぎ、鋭角カーブが近くなっていた。

 地上を駆ける従魔も上空を翔ける従魔も速度を落として曲がるか、道を作る『ライン』系統の魔術を使う以外ぶつかる他無い悪魔のエリアだ。

 何せレースラインギリギリまでそびえるのだから無理もない。


 そして俺はそんなコースをモルテと共に駆ける。


(さて……そろそろだな)


 そんな事を考えつつも前方を走る従魔の動きを観察すると、どうやら速度を落として曲がるつもりの様だ。


「モルテ!行け!」


 そんな俺の命令に答える様に更に加速するモルテは、後続を引き離す勢いで突き進む。

 そしてカーブに差し掛かった瞬間だった。集団の先頭を走る従魔が減速した事で後ろの集団も減速してしまったのだ。その結果、カーブを曲がり切れずにコースアウトしてしまう者や他の選手と衝突する選手が続出した。


「モルテ!このまま行け!」


 そんな俺の命令に答える様に加速するモルテは、そのまま練習通りにインメルマンターンを決め、後続を走る従魔達を置き去りゴールへ駆け抜けたのだった。


『さぁ、悪魔の最終コーナーを見事曲がり先頭へ躍り出るのはルーク選手、続くは最下位からの怒涛の追い上げ、アーサー選手だ!!』


 実況がそう叫ぶと、アーサーは最後尾から一気に追い上げてくる。


(ふむ……大丈夫だったか)


 そんなアーサーの姿を見て俺は感心していた。何せ最下位からの追い上げでここまで上がってくるのだから大したものだと思ったのだ。

 そして遂に先頭を走る従魔に追いついた瞬間、俺はモルテに命令を下すのだった。


「行け!モルテ!」


 俺のその一言と同時にモルテは更に加速をしその瞬間、空気の膜を突き破る花火を彷彿させる轟音が響き渡った。

 そしてモルテは、翼を折りたたむとそのままゴールラインを突っ切り、そのまま速度を落とす事無くゴールラインを割るのだった。


『勝者はルーク選手&モルテ選手だ!!』


 そんな実況の声を聞きつつ俺は観客席にいるカミナへ視線を向けると、既に姿は無く、教員達の姿も無かった。


(やれやれ……相変わらずだな)


 そんな事を考えつつ俺はモルテと共に観客席へ戻ると、アーサーが駆け寄って来た。


「ルーク!最後のドーンって凄かったな!!」

 

興奮気味にそう話すアーサーに苦笑いを浮かべつつ俺はこう答えた。


「ありがとう」


 そしてそんな俺達の元へカミナが歩いてくる。


「いや〜、見事でした。特に悪魔のエリアを抜ける際の軌道は目が離せませんでした」


 実況のマイクが興奮気味にそう言うと、カミナはニヤリと笑みを浮かべこう答えた。


「だろ?あれはルークの発想だ」


 そんなカミナの言葉にマイクは驚きを隠せないでいた。何せあの速度の中でコースを見極め、インメルマンターンで曲がるという離れ技をやったのだから当然だろう。


「さて……では表彰式といこうか」


 そんなカミナの言葉と共に、マイクが慌てて準備を始めるのだった。


『さぁ!いよいよ優勝者の発表だ!!まずは第3位!ソリチサ選手&ティオーネ!!』


 マイクのそんな声と共に観客席から拍手が起こる中、ソリチサ選手は照れ臭そうに頭を下げていた。そしてマイクは更に続ける。


『続いて第2位の発表です!!第2位はアーサー選手&ボルクです!!』


 観客席から拍手が起こり、アーサーは照れながらも手を振っている。そんな様子を見ているとマイクが『第1位の発表です!!』と叫ぶ。


『栄えある優勝は……ルーク選手&モルテのペアだーーッ!!おめでとう!!』


 そんなマイクの声を聞きつつ俺達は表彰台に上がると賞状等を受け取るのだった。

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