ダンジョン更新とランクアップ
転移陣から転移した俺達は、受付に向かいダンジョンにもう一度入る予定を立てたのだが、儚くも予定は消え去った。
今、俺達は、ユスター洞窟の事務所内部で、王都冒険者ギルドのマスター、ドレアムに取り調べを受けていた。
正確に言えば、事実確認だった。
「てことは、あれか、人を選ぶルートがあって、そいつを見つけたら、この結果になったと?」
「事実なのだから、グダグタ言っても仕方あるまい? 早く帰らせよ、私は余り気が長く無いぞ……」
カミナは、暴れ足りないので、ウズウズしている様子が見られた。
「はぁ、まぁ良い…取り敢えず今回のカードの情報が間違い無いのは確認も取れたから…所で、あれはお前の新しい従魔か?」
「我が名はベリト・ザイファー、貴様ごときにあれ呼ばわりされる謂れはない」
「うぉっ、話せるのか、……ベリト・ザイファーね…随分と剣を扱う連中で有名な名前を付けたな、剣聖ベリトか懐かしいな、俺が一番憧れた剣の神様だな」
「へぇ~、そうなんだ」
「知らねぇで名前を付けたのか? まぁいいんじゃねぇか……格好いいからな、ベリトの伝説は」
ドレアムは、懐かしい物語を思い出しているのか、何とも言えない雰囲気になった。
「もう終わりですか?」
ドレアムに、確認をすると
「あぁ、もう良いぞ、俺は書類整理に戻るかな、そうだ、記録更新をしたから、お前達のパーティーランクを一つ上げてあるからな、明日からBランクパーティーだ。カミナに昇格試験を受けさせてくれ、明後日には試験官が来る事になっているからな」
「ふん、また雑魚相手に行くのか?」
「いや、戦いはするが、相手にするのは人じゃ無い、Bランクはワイバーンだ」
「なんぞ、焼き鳥の元か、イマイチもの足りんな」
「まぁ…だろうとは思うが、殺さんでくれると助かる」
「無駄な殺生はせんわ、魔物なら素材と魔石を取る為に狩るがな」
そう言って、カミナは、事務所から出て行った。
俺達もダンジョンから持ち帰った物を、一度整理する必要があったので、カミナと合流する為に、外に出てカミナの居場所を調べると、人気の無いダンジョンの裏側に、数人の男達に囲まれているカミナと女の子の冒険者が二人居た。
「ヘっヘっヘ……姉ちゃんが代わりに相手をしてくれるのか?」
「いいねぇ、エロい躰してやがる」
「綺麗な顔だな、三人とも歪ませてぇ」
男達は、カミナに下衆な言葉と視線を向ける。
「お姉さん、ごめんなさい」
「誰か助けて」
「気にするな……おい、下衆ども、悪いことは言わん、早く去れ」
カミナは、蔑む様なので顔を向ける男達に言い放つ。
「おぉ、気も強いなぁ益々気に入った。」
「早くやっちまおうぜ」
「こっちはAランクの冒険者三人だ、敵うわけ無いだろ?」
下卑た男が、手を伸ばし、カミナの細腕を掴もうとする。
「はぁ、ルーク遅いぞ、冒険者の掟を破った馬鹿どもに躾をするぞ」
「えぇと、ランクを楯に婦女暴行と恐喝、かなぁ?」
カミナの隣に行くと、確認を取る。カミナは軽く頷き返した。
「なんだぁ、このチビは? まぁ良い、こいつは売りだな。………グベッ!!」
一人の男が俺を掴みに来た瞬間、俺は距離を詰め、相手の顎に鏡花水月の柄頭を打ち付けた。
「まずは一人」
「「ヒィッ!!」」
威圧を放ち、男達を見ると逃げ出そうとしていた。
カミナとベリトが、逃がす理由も無く、立ち塞がった。
「なんなんだよ、コイツらは?」
「知らねぇよ、逃げるぞ」
男達は、カミナの方へ走り出した。
「こちらに来るか?ルーク」
「女ぁ、退けぇぇ!!」
「あいよ、『超重力の拘束』」
カミナの合図に、俺はオリジナルの雷と土の複合魔術『超重力の拘束』を放つ。
土魔術で形成した特殊な足場に、雷魔術で磁力を発生、引力を強化して、重さが相手にのしかかる。
魔術発動後、ミシミシと、地面にめり込む男二人が居た。
「「おごぉぉぉっ」」
「ルーク、ちょっと行って来るぞ」
カミナは、二人の女の子を事務に連れて行くと言って、離れて行った。
暫く放置すると、男二人はいつの間にか、気絶をしており、解除をすると、後ろから大きな声が、聞こえてきた。
「こちら、ユスター洞窟周辺警備隊のルネス・アドワイヤーです……あれ?婦女暴行と恐喝の犯人…?」
「ご苦労様です。犯人ならそこに伸びてます。どうやらAランクと言っていましたが、カード偽物みたいですよ。本物に良く似ていますけど」
「あぁ、成る程、犯人の捕縛ありがとうございました。此方の方で処理をしますので、カードを見せて下さい。」
俺は冒険者カードを提示して、ルネスと名乗った若い男性に犯人を渡した。
「帰るぞ、ルーク」
「おかえり、カミナ」
「「ありがとうございました。カミナさん」」
二人の女の子達は冒険者見習いで、犯人に騙されて、来たらしい。
カミナが見つけたので良かったが、犯人達は余罪が有りそうなので、報酬があるそうだが、ダンジョンから入手した金貨のがあるので、報酬は辞退し被害者に当ててもらう事にした。
結局、ダンジョンでは低級の魔石とAランクの魔石、宝物庫の魔石を知らない内に、カミナが回収した分だけであった。
狼のカミナに騎乗し、屋敷の自室で、俺は手に入れたアイテムを異空間収納内で整理出来ると魔術書に書いていたのを思い出して、試してみた。
魔力の消費は無く、ゲームのインベントリの様にイメージをすると、瞬く間に、アイテムの情報が頭に入ってきた。
【魔石類】
SSS×2 SS×10 S×0 A×3 B×20 C×6 D×42 E×40 F×30
【鉱石類】
アダマンタイトインゴット×20
ミスリルインゴット×8 蒼月魔鉱石インゴット×6 竜胆魔鉱石×5 藍白魔鉱石×5 龍眼結晶×2
【装備品】
ミスリルナイフ 黒曜石の指輪 反射の腕輪
魔剣 ネグロス タルタロスの指輪
【書物】
利人の書(日記・魔術書)
今回の宝はこんな所だったが品質は、とても良い物ばかりだった。
焔と雪には、それぞれSSSの魔石を食べさせた。
食べた後は、そのまま眠りに就いたので、側にSSの魔石を5個に分け置いた。
身体に馴染むのに、時間が必要らしいので、そのまま眠らせて、俺達も夕食を食べた後はいつの間にか、眠りに就いたのだった。




