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幽閉された式神使いの異世界ライフ  作者: ハクビシン
2章-19 精霊契約と他の集落へ
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カルロとノルドのコカトリス狩り2

「やったか?」

「いえ、まだです」

「そうか……仕方がない。あれを使うか」


 私はコカトリスの頭上から、ゆっくりと降下していく。

 すると、突然コカトリスが雄叫びを上げ、身体が光り始めた。


「マズイ!逃げろ! ノルド殿!!」


 私が叫ぶと、即座に後ろに飛び退いた。

 しかし、コカトリスの光が収まると、その姿は先程とは大きく変わっており、その背中には4枚の翼が生えていた。


「まさか……更に上位化か!?」

「GYAOOooo!」


 コカトリスが雄叫びをあげ、周囲に強風を巻き起こす。


「ぐぅ……これは……凄まじい風だ」

「大丈夫か?」

「問題ありません。しかし、この大きさでは戦い辛いですね」


 私は懐からミスリル製の短刀を数本取り出し、コカトリスに投げつけた。

 ――キンッ!という軽い金属音を残し、しかし、コカトリスはその身を翻し、難なくそれを避ける。


「素早いな……」


 次に風刃を放つが、それも避けられてしまう。


「GAAAO!!!」


 コカトリスが空高く飛び上がり、急降下を始めた。

 狙いは私達の居る場所だろう。

 洞窟の内部で上が開けた場所という環境に、コカトリスは適応した上位化を果した。


「クソッ……」

「カルロ殿! ここは一度退きましょう!」

「ダメだ!ここで仕留めなければ街を襲うぞ!」

「それはそうかもしれませんが……」

「安心しろ!俺が必ずヤツを倒す策はある!だから……」

「……分かりました。お任せしますとは言いません。ルーク様から頂いた命令に従い共に全力を以て討伐致しましょう」

「あぁ、助かる」

「但し、無理だと判断すれば撤退をお願いしますよ」

「勿論だ」


 コカトリスが向かって来るまで、そう時間は掛からなかった。


「ハッ!」

「フッ!」


 ノルド殿が走り出し、双剣でコカトリスを切り付ける。

 その攻撃に合せて、先程のミスリルの短刀を目と喉元に投げ影移動を繰り返す。


「GIIII!」

「効いているか?」

「まだ分かりません」



 ――だが、私の投げたナイフが刺さった箇所を見ると、喉元の鱗が剥がれ落ちており、そこから出血していた。


「やはり一点集中の方が良さそうだ。ノルド殿、あの鱗が剥がれた場所を集中攻撃してくれないか?」

「了解しました!」


 私は影の中から様子を伺い、ノルド殿に指示を出す。

 そして再びコカトリスの頭部へミスリルの短剣を投げ、再び視界を奪う。


(――この隙に……)


 私は影の中に潜り、コカトリスの背後へと移動する。

 そして、コカトリスの真下へ移動し、影の中から姿を現す。


「今度こそ……死ね!」


 コカトリスの首筋に向けて、剣を突き出す。


「GUGAAAA!!…………GU……GA……」


 剣は肉を貫き、頸動脈を切断。

 大量の血が吹き出しており、確実に絶命している事が確認出来た。


「はぁ……はぁ……何とか……倒せたか」

「カルロ殿!」


 ノルド殿がこちらに駆け寄って来た。


「はぁ……はぁ……何とか倒したが、少し魔力を使い過ぎたようだ」

「そうですか。では、一度地上に戻りましょう」

「……分かった」


 こうして、私達は無事に変異体コカトリスの討伐に成功した。

 コカトリスを魔法袋に収納し、私達が地上に戻ると、既に日が暮れていた。


「ふぅ……流石に疲れたな」

「はい。ですが、これで一先ずは安全ですね」

「そうだな。しかし、変異体が戦いの中で上位化したのは、我々にとっては不幸中の幸いだった。少なくとも変異体の雛だけで留まりそうだからな」


 生きた雛は生け捕りにしているが、卵は無かった。

 雛の大きさから、少なくとも2から3週間前後と言った所だろう。

 この頃は、未だ毒や火の息を吐く事は出来ない為、親鳥が居なければ他の魔物や魔獣の餌にしかならない。


「それにしても、変異体とはいえ、あれだけの巨体をこの魔法鞄に仕舞えるのですね」

「あぁ、正直かなり驚いているがな。それと、その魔法鞄についてだが、ルーク様から頂いた物だ」

「……流石は主、規格外にも程があります」

「全くだ」

「そういえば、あの雛はどうされるのですか?」

「あれか? あれはルーク様に渡す。恐らく変異体の雛として生まれたのだから、優秀な従魔に育つだろう」

「成る程、確かにその通りでしょう。ただでさえ貴重な変異体コカトリスですからね」

「そういう事だ。それよりも、ルーク様の所に戻ろう」

「はい」


 私とノルド殿は洞窟を後にし、ルーク様の待つ場所へと向かった。


「ただ今戻りました。此方が報告書となります

 」

「ご苦労さまです。それでは拝見させていただきます」


 私とノルド殿が戻った時には、既に街の殆どが静寂に包まれていた。

 恐らく街の人々も眠りについたのだろう。

 賑わいを見せるのは、冒険者ギルドの酒場位だ。


「……コカトリスの変異体が更に上位化ですか…討伐の証拠品はありますか?」

「あぁ、コレだ」


 私はコカトリスの頭を魔法袋から取り出し、それを机の上に置いた。


「おぉ、これが上位化した変異体コカトリスの頭ですね。では、早速確認しますので少々お待ち下さい」

「分かった」


 人が少ないのもあってか、鑑定に時間は然程かからなかったが、戻った受付嬢の表情は、先程とまるで別物だった。


「……驚きました。間違いありません。上位化を果した変異体コカトリスの素材間違い無いです。この個体でしたらSランク相当になります。討伐報酬は前例がないので、直ぐには決められませんので、何処か連絡の取れる場所にいらっしゃいますでしょうか?」

「……そうか。連絡が取れる人物は影狼のルーク様だ」

「……ルーク・フォン・アマルガム子爵でお間違い無いですか?……失礼しました。では、そちらの方で手配致します」

「よろしく頼む」

「畏まりました。報酬につきましては、明日にでも打ち合せをしたいと思いますので、金額が確定次第御屋敷に連絡の手紙を届けさせますので、明日もう一度来てください」

「了解した」

「それでは、本日は貴重な情報、ありがとうございました」


 全ての確認事項を終え、私はルーク様の待つ屋敷に戻り、一仕事を終えたのだった。

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