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幽閉された式神使いの異世界ライフ  作者: ハクビシン
2章-1 新たなる季節、学院生活の準備
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ダンジョンにて

 カミナが見つけた、隠し部屋のボスモンスター【アグリゲーション・ゴースト】を倒して、魔石と宝箱を入手した、罠は無かったので早速開けてみる。


【黒曜石の指輪】【ミスリルナイフ】

【反射の腕輪】【金貨200枚】が入っていた。


「当たりは腕輪だな、使い捨てだけど」


 反射の腕輪は『一度だけ、全ての攻撃や魔術を反射し相手に返した後、壊れる』


 という地味に微妙な能力だった。


 次の階層の階段を降りると、先程の洞窟ではなく、遺跡の様な場所に出た。


「ほぅ、また妙な所に出たな」


「カミナはわかって来たんじゃないの?」


「いや、変な流れがあったから来てみただけだ」


「まぁ良いや、『探索』……はぁ?」


 俺達は、二階層目から道を外れた後、直ぐにこの階層に降りた、だからここは三階層でなければいけないはずだった。


「ほら、妙な事になっているだろう?」


「あぁ、何でこんな事になるかなぁ」


 俺達は、40階層に到着していた。


「この扉が次のボスモンスターの部屋だろうな」


「何でそんなに、落ち着いてるかな、取り敢えず行こうか?」


 俺は扉を開くが、中には何も居ない。

 ただし、豪華な柩が一つ安置されていた。


「ルーク、敵だ」


「あぁ、わかってる」


 柩の中から、濃い魔素が溢れだした。

 ガタガタと柩が動き、蓋が外れ霊体が現れる。


「我の眠りを妨げたのは汝か?」


 低い男性の声が、魔力の波動と共に押し寄せてきた。


「眠りを妨げたつもりは無いが、敵ならば滅する」


 カミナが、威圧を掛けながら答える。


「汝ら、我が敵なりや?」


「敵ではないと言っても、信じまい?」


「……汝ら、我が敵に非ず、ならば死合う必要も非ず」


「ほぅ、戦わぬのか?」


「是、我が敵は、唯一無二の存在、墜神崇拝者、邪教司祭デルフリートなり」


「この様なダンジョンでは、それも叶うまいよ」


「ダンジョンになりし、この地に囚われ、我は眠りに就いた。汝ら解放する術を持ちし者が来し時、我は目覚める」


「…えぇと、つまり解放する術を持っていないと、貴方は目覚める事がなくって、俺がその術を持っているから目覚めたと?」


「是、我が魂をダンジョンからの解放を求、我が主たる資格を持つ者よ」


「では、貴方の遺骨や遺品はありますか?」


「我が柩、内に残りしは、我が鎧と骨のみ」


「では、その鎧を貴方の身体として使うけどそれでいいかな?」


「是」


「じゃあ鎧と骨を貰うよ…まずは『鑑定』」


【聖騎士の鎧】

 創世記頃の聖騎士の全身鎧、通常の鎧に複数の魔鉱石と神鉄を使い、創造錬金されている。

 破壊不可、製作者【浦本 利人(うらもと としひと)


「うん、見た目通り問題ないみたいだね、気になる事が有るけど後回しにするよ、最後に貴方の名前を教えてくれ」


 俺は、製作者の名前が気になったが、今は目の前の事を済ませる事を優先した。


「我が名は、ベリト、ベリト・ザイファー」


「ありがとう、じゃあ始めるね」


 俺はベリトの骨を錬金術で粉にし、鎧の内側に馴染ませ、式神に変える陣と俺の血で書いた式札を貼った。


「我が血とルークの名を持って、汝、式神に成る事をここに求む、ベリト・ザイファー」


 式神の契約陣が呪文によって光を帯びる。


「我、ベリト・ザイファーは汝、ルークを(あるじ)とし、剣であり盾に成ることを誓う」


 ベリトの返答に答えるかの様に、陣が光を点滅させる。


 鎧の青色が、どんどん濃くなり、汚れていた部分が、光沢を取り戻した。


 再び『鑑定』を行うと、表記が変わった。


【名前】ベリト・ザイファー


【種族】デュラハン・ロード (SSランク)


【体力】1,700,000

【魔力】900,000

【筋力】SSS

【知力】SS

【器用】SSS

【対魔力】SS

【スキル】剣術(極)聖魔術Lv7 闇魔術Lv6 魔力刃


「これで良いかな? ベリト、違和感は無いかい?」


「あぁ……問題無い様です、感謝します我が君」


 深青の鎧騎士は、遺跡の魔力灯に照され、鈍く光ながら、身体の動きを確かめていた。


「ようやく、元の話し方が出来る様になりました。改めて、ベリト・ザイファーです。よろしくお願いします。我が君ルーク様」


 ベリトは片膝を突き、頭を下げる。

「よろしく、ベリト、二つ聞きたい事が有るけど良いか?」


「何なりと」


「まずその鎧の製作者についてなんだが」


「こちらは、異界からやって来られた、リヒト・ウルムンド・レシアス王より授かりました」


「浦本利人ではなく?」


「何故その名を? 我等近い友にしかその名は知られていないはずです。そして『鑑定』を行っても、製作者の名は読めない文字の筈ですが?…まさか!! 利人と同じ世界の人なのですか?」


「半分正解だよ、俺は前世の記憶をそのまま残している。でもこの世界で生まれた人間だよ、ところで、さっきの話し方と今の話し方が、違うのは何で?」


「あの姿は、元は魔力の塊なので話す事に向かないのです。後はダンジョンに囚われていたのも原因ですね」


「そうか、所でここは最下層なのか? 他の階段や扉がないけど」


「いえ、ここはあくまでも、地表に近い場所の筈です。このダンジョンは宝物庫が中心として発生した様なので」


「今、40階層の表示がされているんだけど、まだ下が在るんだね?」


「少なくとも、この部屋からは直ぐに行けます。少しだけお待ち下さい」


 ベリトは柩に向かい、そのまま柩を動かした。

 その時、台座が二つに別れ階段が現れる。

「この先が、我の宝物庫になります。」


 階段を降りた先にあった扉は、荘厳な細工を施した物で、その先にある部屋に期待を向けるには、充分な代物だった。


「それでは、ルーク様、扉を開きますので、少しだけ御下がり下さい」


 ベリトは魔力を扉に流すと、重い鍵が動きだし、細工が連動し始める。


 鈍い金属音が、鳴り響き扉は開いた。

 そこにあったのは、前世の蔵ですら霞む程の、今まで見たことの無い光景だった。

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