ようこそ異世界へ
眩い光に目が覚め、俺は、周囲を確認する。
ぼやけた視界から見える範囲には、装飾品の施された知らない天井、ベッド柵から見える綺麗な調度品。
(あぁ、転生したんだな)
身体を動かそうとするが0歳の身体は良く動かない。
「あなた、赤ちゃんが起きたみたいです」
「おぉ、トリアナ抱っこしても良いか?」
「ええ、しっかりと抱っこしてくださいね」
「「可愛い」」
二人の男女は抱っこしながら笑いあっていた。
トリアナと呼ばれた女性は、エメラルド色の瞳、丸目の金髪の童顔で上質なシルクの服を着ていた。
抱っこをした男性は、サファイア色の瞳、鋭い目の銀髪で爽やかなイケメンだった。
「カインとルシアンを呼んでくれ」
俺を抱いている傍ら、視線だけ動かし一言、後ろに居たメイドに指示をしていた。
しばらくして、兄弟と思われる銀髪丸目と金髪タレ目の二人が部屋に入ってきた。
「グランツ父様、弟を連れて来ました」
「ボクのおとーと?」
「そうだよルシアン、新しい弟のルークだ」
金髪のタレ目の子供に答えるイケメン残っているのが長男だな。
名前が判った所で再び眠りにつくしかなかった。
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刀夜がルークに転生して、11ヶ月が過ぎた。
この間に、学んだ事と行った事をまとめる。
生後3ヶ月迄は、転生した際に知識としてあった修練操法で、ひたすらに魔力制御と放出を繰り返し、総魔力量の増加を行った。
自己魔力の最大量を、ギリギリまで使用する事で最大量が増えて行くらしいが、但しこれは疲労も伴う為、寝る前に行っていた。
4ヶ月から7ヶ月の間は、魔力増加に加えて、本や会話を聞き言葉と意味を覚えていった。
8ヶ月から現在、ハイハイができ、単語を話せる様になった為、書斎の魔導書や地図を見ている。
次に家族についてだ。
カインは次期当主の勉強が有る為、あまり接する事が無いが、接する時は物凄く甘やかしてくる優しい兄。
ルシアンは兄の自覚ができ、常に一緒に居る為、遊び相手に近い兄であった。
母のトリアナは、魔術を使って遊び相手をしたり、魔道具を作成していた為、スキルの成長がかなり捗ると感じていた反面、可愛がりが激しく少し疲れた。
父のグランツは書類仕事や、領民の問題解決に忙しく、出る前に頬を触り、帰ってから触りといった軽いふれあいだけだったが、大切にされている事がしっかりと感じられた。
家の使用人達は、執事長のダリウス、メイド長のライザくらいが一番接する人達だ。
ダリウスは切れ長ブラウンの瞳、白髪のオールバックが良く似合う長身男性で警備隊の指導も行う強者、見た目は40代だが実は60歳で、ある意味女性の敵だろう。
ライザは人族ではなく、獣人で虎人族、見た目は、虎耳と尻尾が生えた、鋭い目つきと、ターコイズブルーの瞳を持つ小柄だが、出る所引っ込む所のメリハリがはっきりとした美人な女性だ。
この世界の獣人は大まかに分けて三種類。
◎ライザの様に人族の身体に獣耳や尻尾のある姿。《人型亜人》
◎二足歩行の獣形態である《獣型亜人》
◎身体が半人半獣の《混合型亜人》
見た目は違うが、人族との間に子供を作る事が出来るし、実際に暮らす領民も多くいる。
そして、色々な事を学び、1歳の誕生日を迎える。
この世界の一年は、地球と同じ12月で四季もあった。
1歳の誕生日には、簡易式の鑑定を行い、祝福を教会で受けるのが一般的な儀式で、大半の子供達は祝福の際にスキルを持つらしい。
俺は、すでに幾つかスキルを持つ為、表に出せないスキルを《隠蔽変換》で隠して確認した。
【名前】ルーク・フォン・ラーゼリア(0歳)
【体力】500/500 ⇒10/10
【魔力】10,000/10,000 ⇒60/60
【筋力】A ⇒F
【知力】A ⇒F
【器用】S ⇒E
【対魔力】S ⇒E
【スキル】
自己回復力Lv3 自己回復速度Lv3 成長力促進
フル・エレメント(隠蔽) ウェポンマスター(隠蔽)
錬金術Lv1 隠蔽変換(隠蔽)鑑定 生活魔法 翻訳変換(隠蔽)
異空間収納 創造神の加護(小) 式神作成(隠蔽) 式神使役(隠蔽)創造(小)
と変更しておいたが、かなりの量になったが、転生前に貰った知識や家の魔導書は、能力変換に役立った。
自己回復力と速度は、成長促進があれば、1~2歳でLv3になる事があるので、そのまま残して他の能力値は一般的な物に変換した。
(さすがに、1歳でAやSランク判定が出るのは、異常だからな)
自分で選んだ能力の結果に、内心焦りながら変換していったのは、言うまでもない。