魔剣市場
【フューネラルデ・サンバリュー商会魔剣市場】
「「おぉ!!凄い(な)」」
俺と父様は、魔剣市にやって来ていた。
商会の販売用の馬車等が置かれていたスペースも、全て魔剣や魔杖等を売る商人達で埋め尽くされていた。
「中級魔双剣あるよ!!」
「帝国領のダンジョン産魔剣、神龍皇国領のドワーフ産魔剣もあるぞ!!」
様々な声が飛び交い、すれ違う中を俺は歩く。
「「アラ、御二人ともいらっしゃいませ」」
「おはようございます、フューネラルデさんサンバリューさん」
「今日は魔剣市を見に来たが、凄い数の魔剣だな」
「えぇ、我が商会の各店舗から、代表して出しているのと、有名商人の個人売りがメインになっているワ」
「中には掘り出し物もあるみたいネ」
受け付け作業をしながら、会話をしていると
「ハイ、これが参加者の登録リング」
父様と俺にリングを渡した。
「これは?」
「簡単に言うと、防御結界付の位置確認装置ヨ、魔剣を扱うなら対策も必要でね、この鍵がないと外れないのと、犯罪行為をした際に、結界で拘束できる様に作って貰ったのよ。」
と言っていた。
登録リングを装着して、俺と父様はそれぞれ見て回る事になった。
暫く見て歩くと、気になった店舗があった。
商品に値段がなく、見た目もガラクタの様な物が並んでいた。
その中で、一つ気になった物があった。
昨日、俺が創り出した魔剣と同じ形で、重さも変わらない一降りのタルワールがあった。
『鑑定』を使用すると、何とか読める文字が刻まれたかなり古い物だった。
持った瞬間、アグニシャガが共振し出した。
「ほぅ、それに対して何か気になったか?」
店の店主が、俺に声を掛けた。
「気になったので見てました、値段がありませんけど、いくらですか?」
「何故気になったか教えてくれないか?」
「俺の魔剣がこいつを持った瞬間、共振したんです」
店主は目を丸くし、驚いた顔をした後に深く被った帽子を取り素顔を表した。
「そうか、共振したか……坊主、名は?俺はゼノンだ。ゼノさんと呼べ」
その素顔は、商人と言うより貴族、それも最近見た、陛下達の様な気品さがある30代の男性だった。
「ルークです」
「ルークだな、お前にその魔剣を譲ってやる。その代わり、もしその魔剣が力を取り戻したら見せてくれないか?今のそいつは本来の姿では無いから」
「わかりました。何時になるかわかりませんが、力を取り戻したら見せに行きます。その時は、どこに行けば良いですか?」
「俺は神龍皇国に住んでいるから、その時が来たら、こいつを教会の前にある宿の主人に渡してくれ、そしたら会える」
ゼノンはそう言って、青い結晶を渡してきた。
「え?」
受け取った結晶を、異空間収納に入れて前を見た瞬間、そこにはただの空き地しか無かった。
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「あれが、ジーク達の話していた子供か……人の子が持つ力ではないぞ、旧神の加護を持つとはな、まあ良い…あの様な聖なる輝きの魂なぞ初めて見た。悪意を持つ者でないなら俺は手を出す必要は無いしな……次に会えるのが楽しみだ。そうは思わんか今は亡き友よ」
ゼノンは懐かしそうに昔の友人の名を呟いた後、空間を飛び越えた。
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狐に化かされた様な出来事の後、俺は受け取った結晶と魔剣を見て、現実だと理解した。
他の店舗を見回ったが、特に良いと思った物は無く、リングを返しに商館に戻った。
父様は、既に戻って来ており、双剣を一組持っていた。
「ルーク、戻ったか何か良いのはあったか?」
「はい、とても良い物が手に入りました」
「アラ、ルークちゃんは何を買ったのカシラ?」
「これを貰いました」
「「「………」」」
譲り受けた魔剣を見せた途端、三人はそれぞれ反応が違った。
「魔剣…かなり古い物だが…駄目だな、俺の鑑定は弾かれるな…」
「これ商品登録されて無いワ」
「どこで貰ったノ?」
「西側の赤い屋根があるテントの先です」
「そこは今日空き地のはずなのヨ、店主の名前とかわかるかしラ?」
「ゼノンと名乗っていました。後はこの青い結晶を貰いました」
俺は、ゼノンから貰った青い結晶を見せた。
「神龍皇国産のアズライトクリスタル!?」
驚いた三人の顔を見た俺は、厄介事の気配を感じた。
「ねぇ、サンバリュー?」
「えぇ、間違いないワ、フューネ」
「本物か……またか…ルーク、頼りなさいとはいっても、行き過ぎた事は対処できんぞ」
「???」
何が問題なのかわからないので不思議に思ったが、父様の次の言葉は、分かりやすかった。
「これは、おそらく、神龍皇国レスティオの龍帝ゼルガノン・セム・レスティオ様の持つ魔剣の一つだ」
「何でそんな物がこんな状態になっているんですか?」
「何でこんなボロボロなのかはワカラナイ、でも多分この魔剣は、ゼルガノン様の持つ魔剣の中でも最も古いとされている【魔剣 レヴィアシェル】だと思われるワ」
「初代レシアス王が創ったとされる魔剣ヨ」
「神龍皇国は龍人族が暮らす国だからな、そもそも長寿の種族だ、初代レシアス王の創った魔剣を持っていてもおかしくはない」
譲り受けた魔剣が、とんでもない物だと言う事だった。
こっそり鑑定をすると、確かにレヴィアシェルだった。
【魔剣 レヴィアシェル】
本来の力を失っている。それ以外の詳細不明




