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幽閉された式神使いの異世界ライフ  作者: ハクビシン
2章-18 龍帝祭
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揃ったメンバーと富嶽の鎧装作成

 馬車も中間を過ぎた頃、話も変わり、ここに来るまで何をしていたという話や、他のクラスの女生徒達との交流会を開くといった話をしながら、馬車は進んでいく。


「ソフィアは、本当にのんびりした性格してるよね」

「えぇ、学院の皆さんにも、よく言われますね〜」

「まぁ、それがソフィアの良いところでもあるからね」

「ふふふ、ありがとうございますね〜」

「さて、残るはリーフィアだね」

「ええ、勿論ですわ!……と言いたいのですけど、実はもう終わってしまいまして……」

「へぇ、選択授業の課題も?」

「ええ、そうですわよ」

「そっか、なら先生役としてエルザのサポートを頼もうかな」

「分かりましたわ。まぁ、いつもの事ですから」


 それから、他愛もない会話をしていると、あっという間に離宮に到着した。


「到着致しました」


 御者がそう告げると、扉が開かれ離宮の庭へと馬車が進んでいく。

 そして、馬車が止まると、直ぐに侍女達が出迎えてくれた。

 俺達は馬車を降りると、彼女達はそのまま用意された各自の部屋まで案内される流れだ。


「ルーク君、またあとで」

「ああ、わかった」

「ルーク、私は先に部屋に行ってますわ」

「ああ、了解した」

「それじゃあ、ルーク君。私も準備があるので、失礼しますね〜」

「うん、ソフィアも気をつけてね」

「はい。ありがとうございます〜」


 そう言って、ソフィアは一足早く、自室に向かって行った。

 後はオリビアが来るそうだが、そちらはアーサーが迎えに行ったから問題はない。

 そうなると、俺の出来る事は余り無い。そろそろ富嶽の素体を作り出すのも悪くないだろう。

 と言う事で、貰ってきた緋緋色金のゴーレムの残骸を使って、リビングアーマーの作成を始めた。


「さぁ、始めるか」


 俺はそう呟くと、異空間収納からカミナが置いて行った魔石や魔核を取り出し、作業台の上に置き、その上に素材を乗せていく。

 すると、異空間収納から出した瞬間、既にバラバラだった破片が勝手に組み合わさり其々のパーツに組分けされていく。


「相変わらず、便利な機能だよなぁ」


 俺はそう思いながら、どんどんと組み立てて行く。

 まず最初に作るのは、上半身部分だ。これは、富嶽の武器が大太刀だった事を考えながら俺は、まず土台となる部分に、魔力を流し込むと、そこから徐々に形作られていき、最終的には人の形になっていく。

 そこから、『魔力反射』『破壊不可』等の複数の術式を加えてミスリルと緋緋色金の膜を流し込む。


「よしっ! 一応の形は完成だな」


 出来上がったのは、身長2mはある緋色の鎧武者だ。

 この状態では、まだ動く事は無いが、ここから更に『憑依』させる為のスキルを発動させる。

 黒獅子と呼ばれた大太刀を魔力を流しながら抜き放つと、その刀身からは禍々しいオーラが溢れ出す。


「やっぱり、凄まじいな……」


 俺は、その圧倒的な存在感に冷や汗をかきながらも、複合解析を使い性能を確かめ、ゆっくりとその刃を親指に当て己の血を刃に吸わせた。

 すると、黒い炎のようなモノがその血に反応し、燃え上がるように揺らめき始めたのだ。


「成功か?…………ッ!?」


 次の瞬間には、目の前にあったはずの鎧武者の姿は消えており、そこには一人の男が立っていた。

 その姿はまるで幽鬼のように青白く透き通るような肌に、腰まで伸びた長い髪。その瞳は赤く染まり、口元から覗かせる牙は鋭く尖っている。

 とは言え、兜から見える範囲であり、面頬を着ければ赤い瞳しか見えないだろう。

 しかしそれでも、この男の纏う雰囲気と、その身に宿す膨大な力を感じ取ってしまう。


「これが、富嶽の力なのか?」

「……殿よ……どうした? 俺の主となったというのに」

「……いや、何でもないよ。それよりも身体の方は何ともないか?」

「あぁ、問題なんざありゃしねぇ。寧ろ以前より力が漲るぐらいだ」

「それなら良かったよ。富嶽、記憶はどうだ?」

「残念だが、死んだ時より前の記憶は全くだ。だが、休眠に黒騎士の存在は確認出来た」

「そうか、なら問題なさそうだね」


 恐らく、グリムガルト学院長の連れていた黒騎士だろう。

 意味ありげな言葉を話していたのを覚えている。


「それで、これから何をすればいいんだ、主様」

「そうだね。とりあえずは、体の慣らしをしてもらわないと調整が出来ないだろうから、ベリト達と戦ってもらえればいいかな」

「了解だ。それだけか?」

「うん。後で、俺も行くけど今は休んでてくれて良いよ」

「分かった」


 俺はそう言うと、リビングアーマーの状態に戻し、異空間収納に仕舞った。

 それから暫くして、アーサーがオリビアを連れて戻ってきた。


「えらい待たせてしもうたみたいやなぁ」

「そんなこと無いですよ。それより、準備は大丈夫ですか?」

「勿論や! ウチを誰や思っとんねん!」

「ふふ、確かにそうですね。それじゃあ行きましょうか」

「ああ、ほな、ルーク!アーサーの事頼むで」

「任せて、少くても学院の課題は終わらせておくよ」

「ああ、頼もしい限りやわ。それじゃ後で」

「うん、また後で」


 そう言ってオリビアは、アーサーと共に部屋に向かった。


「さて、俺もそろそろ行こうかな……」


 俺は部屋に戻り、リリィさんに演習場の使用を伝え、着替えてから離宮の裏に在る演習場に向かうのだった。


「さて、木刀はこんなもんで良いだろう」


 流石に、真剣同士でする訓練を最初からしても、慣らしにならないので、富嶽と三騎士、其々の武器と同じサイズで重さの木刀を作り、一応予備の木刀も用意した。

 後は、喚び出すだけで問題はないだろう。

 今回は、あくまで富嶽の調整がメインだが、どれ程強さを引き出せたのかしっかりと確認しておこう。

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