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幽閉された式神使いの異世界ライフ  作者: ハクビシン
2章-18 龍帝祭
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別世界からの帰還と合流

 呼び掛けに応える様に、暗雲が立ち込め渦を作り出し、そのまま待つと、紫色の龍が姿を現した。


「……汝、この世界の者に非ず。なれど他の世界の我等と繋がりが有る者でもあるな」

「はい。そうです」

「何故、我が居ると分かった?」

「はい。実は……」


 俺は、自分の身に起きている事を話していく。


「……汝の世界と我等の世界、歪な繋がりは有れど……汝が通り抜けるには些か力が足りぬようだ」


 通り抜けるには力が足りない? 破壊神の力を使っても足りないのだろうか?


「では、どうすれば? 破壊神の力を使っては?」

「……案ずるな。あちらで用いた剣はあるか?……あるのであれば、それを用いればこちらの女神の力と我等の力を合わせ、道が開かれる筈だ。破壊神の力は用いれば直ぐにでも戻れるだろうが、壊した境界がどう作用するか解らぬ」

「……なるほど」


 俺はすぐにアイテムボックスの中から、マルミアドワーズを取り出しシャガール様へと手渡した。


「……確かに受け取ったぞ。今より此方の我等の力を増幅し、此方の世界の干渉が弱い状態に戻す。境界を抜けた際に汝の意識は、一時的に跳ぶだろうが問題ないな?」


 そう言うと、何時の間にか人の姿をしたシャガール様は、手に持っていた杖で地面を突き刺す。すると、俺の周りに魔法陣が展開されていく。


「……これで問題ない」

「ありがとうございます」

「……礼など不要。それよりも早く戻らねば、歪な繋がりも途絶え、戻れなくなるぞ」

「分かりました。それでは失礼致します」


 俺は、再び亀裂に飛び込んだ。すると、今度は見慣れた光景が視界に入る。


「戻ってこれたか……」

「あら、随分とお早い帰りですね」

「……エウリシア神。取り敢えずシャガール様に会って剣の力を開放してもらったよ」

「そうですか。それでは早急に元の世界へ戻すとしましょうか」


 エウリシア神は、そう言って手をかざすと、俺の前に巨大な門が現れる。


「さぁ、この扉を通れば貴方の世界に戻る事が出来ますよ」

「そうかい。なら、戻るけど、一体何が原因で繋がったのか解った?」

「いえ、残念ながらまだ分かりません。ですが、貴方がこの世界に来ている時点で何かしらの原因がある事は間違い無いでしょう」

「まぁ、そうだよね。それじゃ、原因の追求は向こうでもしてみるよ」

「ええ、分かりました。それでは御機嫌よう」

「ああ」


 俺はエウリシア神に別れを告げると、そのまま目の前に現れた大きな門の中にマルミアドワーズを入れていく。

 そして、その瞬間、光に包まれたかと思えば、俺は元の世界の自分の部屋に戻っていた。


「戻ったのか……」


 俺は、直ぐに時計を確認し、ベッドに横になり目を瞑る。

 時刻は未だ夜中だったが、俺が寝た時間から2時間程進んでいた。


「さて、原因が分かるかねぇ?」


 そのまま神域に向かい確かめる事も出来たが、明日はエルザやリーフィア、ソフィア達が龍帝城に挨拶に来た後、合流する手筈に成っている為、俺は大人しく眠りにつくのだった。

 翌日、俺は朝から準備を済ませ、龍帝城へ三人を迎えに移動する。


「お久しぶりだね、ルーク君!」

「ルーク! 今日は宜しくお願いしますね」

「ああ、二人共、此方こそよろしく頼むよ……ソフィアはまだみたいだね?」

「ええ、ソフィアならもう少ししたら来ると思いますわ」

「そっか、なら少し待っていようかな」

 それから暫く待っていると、慌ただしく走る音が聞こえてくる。

「ご、ごめんなさい〜 お待たせしました〜!!」

「大丈夫だよ。ソフィアも久しぶり。みんな、今日のドレスは何時もより華やかだね?凄く似合ってると思うよ」

「ふぇっ!? あ、ありがとうございます〜」

「もう、相変わらずお世辞が上手いんだから、そんなんじゃ、他の女の子は勘違いしてしまいますわよ?」

「い、いや、別にそういうつもりじゃないんだけど……」

「はいはい、分かってますわ。さぁ、行きましょう」

「うん、そうしようか」


 俺達は三人で並んで歩き、城門まで向かうと、既に荷物は揃っており、異空間収納に入れた後、馬車に乗り込む。

 離宮には、龍帝城から出て道なりに進むだけなのだが、流石に歩いて向かうには子どもの足では距離があり過ぎた。

 そのうえ、来客の他国の皇女や王女を歩かせる訳にも行かない為、用意された馬車でもあった。


「……それにしても、やっぱりこの馬車は大きいな」

「それはそうですわよ。だって、王族が乗るものなんだし」

「あー、なるほどなぁ」

「そうですね〜、ゼルガノン様が乗る馬車ですから~、武器と一緒に乗る事を考えれば~、これぐらいの大きさが無いとダメなんでしょうね〜」

「あ、あぁ、そうなんだ……」


 俺は、そういえばそうかと思いながらも、何故、この世界の人はこうも戦闘狂が多いのだろうかと考えてしまう。


「ところで、今日はどんな話をするんですの?」

「うーん、そうだな。取り敢えず、俺が居なかった間の話を聞きたいな? 後は課題が何処まで終わったかだな」

「わかりましたわ。それじゃ、私達の成果を見て貰いますわ」

「はい〜、頑張りましたよ〜」

「……頑張った。褒めて欲しい」


 リーフィアとソフィアは問題無くって感じだが、エルザはどうやら苦戦しながらやったみたいだな。ご褒美をおねだりする言葉と表情が何とも言えない。


「分かったよ。それじゃ、まずはエルザからだな。聞かせてくれるかい?」

「うん。私は、選択授業の課題とみんなが貰った課題の両方を半分終わらせたよ」

「へぇ。因みに何を選んだか聞いてもいいかい?」

「えっと、『治療学』に『植物学』『魔術理論』だよ」

「ほぅ、中々良いじゃないか。それで、どれが一番難しかった?」

「一番難しいって言うなら魔術理論だけど、アナハイムが手伝ってくれたから、何とかなったよ」

「そうなのか。アナハイムさんに何か贈り物をしないとだな」


 魔術理論は、ダリウスに嫌というほど仕込まれたから、その難しさはよく分かる。

 魔術の術式を『展開』『構築』『操作』の三つに仕分ける事が基礎となるのだが、これが上手く出来ないと次の応用『分解』『割込み』『掌握』は使えない。


「それじゃ、次はソフィアだね」

「はい〜。選択授業の課題は、殆ど終わりましたよ〜!」

「おぉ! 流石だね。と言う事は、残っているが選択科目以外か?」

「はい、その通りですよ〜。でも、残りは三割くらいなので、問題ないですねぇ〜」


 ソフィアが何時も以上にのんびりしている理由が分かったが、つい先程までゼルガノン龍帝陛下に挨拶していたとは思えない程のおっとり具合に、少し吹き出しそうになった内緒だ。

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