表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
幽閉された式神使いの異世界ライフ  作者: ハクビシン
2章-18 龍帝祭
368/457

パラレルワールドに迷い込んだらしい

「はい。ソフィア・バーネット皇女殿下ですよ」

「…………」


 俺が無言になると、渚は俺の目の前に来て、俺の手を握った。


「どうかされましたか? 体調が優れないのでしょうか?」


 俺は、意を決しソフィアと呼ばれた女性の顔を見た。すると、彼女は俺に微笑みかけてきた。


「起きたのね、ルークさん。私の事は、分かるかしら? 何時ものようにソフィーと呼んで下さらないのかしら?」

「……あ、ああ。」

「う~ん、ルークさん。元気が無いみたいだけど、もしかして私じゃ不満なのかしら?」

「いえ、そんな事はないのですが……」

「ふふ、冗談よ。それより、貴方が倒れてから大変だったのよ。あの子ったら泣き出すわ、それに、リリィとカミナは暴れだすしでもう大騒ぎだったのよ」

「そうですか。ご迷惑をお掛けしてしまい申し訳ございません。それと、助けてくれて有難う御座いました」

「いいえ、気にしないで下さい。それよりも、朝食の準備が出来ているみたいなので一緒に行きましょう」

「はい。分かりました」


 やはり何かがおかしい、ソフィアの顔は間違い無く、知っている彼女の顔をしていたが、話し口調が別人のものだった。ソフィア(?)に案内された場所は食堂ではなく、何やら豪華な料理が並ぶテーブルがあった。


「これは?」

「ああ、それね。実はね、昨日の夕食を食べ損ねたって聞いたから、皆で作ってみたの」

「そうなんですか?」

「……貴方本当にルークさんなのかしら? さっきから、いつもの貴方らしくない答えばかり返ってくるのですけど? もしかして偽物だったりするのかしら?」


 どうやら、先程の態度は彼女に不信感を与えてしまったようだ。


「俺は正真正銘のルークですよ」

「そうよね。良かったぁ。だって急に黙り込んじゃうんだもん。心配するじゃない!」

「すみませんでした。少し考え事をしていたもので」

「まぁ、良いわ。とりあえず食べましょ」

「はい。頂きます」


 俺は、出された食事を口に運んだのだが、味覚が麻痺しているのか味が全く分からなかった。


「ねぇ、美味しい? 一応、頑張ったんだけど」

「ええ、とても美味しかったですよ」

「本当! 嬉しいなぁ。また今度作るから楽しみにしておいてね」

「はい。その時を心待ちにしています」


 それから食事を済ませた後、ソフィアに部屋まで送って貰った。そして部屋に入ると、そこには渚がいた。


「ルーク様。お帰りなさいませ」

「ただいま。渚」

「……何かあったのですね? 顔色が悪いようですが」

「まぁ、ちょっとあってね。それで、今日は何の月の何日だっけ?」

「はい。今はイフリートの一月の二十日になります」


 思っていたよりも、事態は深刻なのかも知れない。何故なら、俺の記憶では、クラーケンの討伐の辺りになるのだが、どうやら、その記憶すらも改竄されているようなのだ。


「そうか。ところで、俺が寝た後の話を聞かせてくれるかい?」

「はい。かしこまりました」


 そうして、渚は俺が寝た後からの出来事を話してくれた。

 まず、アーサーと渚で俺を部屋に運び、その後、渚は俺の部屋で待機。その間に、ソフィアはリリィとカミナを連れて、俺が倒した魔物の死体処理に向かったらしい。

 そして、死体を片付け終えると、そのまま三人で屋敷に戻り、ソフィアは俺の部屋で目が覚めるのを待っていた。


「成程ね。それで、渚は?」

「はい。お嬢様方と一緒にお風呂に入っておりました」

「……そうか。ありがとう」

「いえ、お役に立てたのであれば幸いです」

「……少し確かめたいことが出来たから、暫くの間、部屋に誰も入れないでくれ」

「はい。承知しました」

「それと、渚も俺が呼ぶまでは来なくていいぞ」

「はい。分かりました」


 さて、これからの行動だが、やはり、元の世界では無いのは間違い無いだろう。

 だが、全てが違うという訳でも無いらしい。


「━━『神域展開』」


 俺は、神域に行く為のスキルを使った。すると、俺を中心に魔法陣が展開されていく。


「やはりか……」


 予想通り、俺が使える魔術や知識が頭の中に流れ込んでくるが、そのどれもが違う。


「……俺の知っている歴史とは違うのか?」


情報を読み取りながら解析していくが、要するに、この世界は一種のパラレルワールドの様だ。


「……」


 だとすれば、俺は元の世界に戻る事が出来るのだろうか?


「……駄目だ。情報が少なすぎる。それに、此処が何処かも分からない以上、下手に動くわけにはいかないな」


神域展開を用いて、神界に移動する事は出来たが、エウリシア神が俺の知っている人物通りなら良いのだが……。

一抹の不安を抱え、俺は彼女の所に歩き出した。


「……来ましたね、ルークさん」

「ああ、来たよ。エウリシア神」

「ふふふ、そんなに畏まらなくても大丈夫ですよ。駄女神だと言われてましたからね」

「……。そうかい、なら楽にさせてもらおう。んで、一体どうなってるんだ?」

「それは、私にも分かりません。恐らく、何者か若しくは何かが貴方のいた世界に干渉したのでしょう」


漸く姿を現したエウリシア神は、記憶通りの姿をしていたが、俺のいた世界の彼女よりも、落ち着いた雰囲気をしていた。


「……成程ね。で、あんたはどうしたいんだ? このまま何もしないでいるつもりなのか? それとも、どうにかしようと動いてくれるのか?」

「私は、出来る事ならば貴方の力になりたいと思っています」

「へぇ~意外だったね。もっと、傍観していると思っていたけど」

「いいえ、今の貴方は、この世界のルークでは無く、異界神の側面が強い状態にあります。破壊神の力が強い状態になれば、この世界は崩壊する可能性が高く、そうなれば、貴方の居た世界も巻き込まれてしまう可能性がありますから……」

「そうか、分かった。なら早速だけど、俺を元の世界に戻せるのか?」

「残念ながら、今の状態では不可能です。ですから、私の力を使い一時的に世界を繋ぐ為に、此方の世界の六龍の誰かに会って下さい」


 エウリシアの表情は、向こうで見たこともない程に真剣なものだった。


「……そうかい。じゃあ、行くけど、場所は何処か分かるか?」

「ええ、それぐらいなら問題ありませんよ。私が繋ぎますから後はお願いします」

「ああ、任せてくれ」


 エウリシアが術式を編み込み、空間に亀裂が走る。

 その先に見えたのは、以前見たベルフォートの外殻とも呼べる空間であり、六龍が修復を行うと言っていた場所だ。

 俺は、亀裂の中へ飛び込むと直ぐに行動に移した。


「……さぁーってと、誰に挨拶しましょうかね」


 俺は、目の前に広がる景色を見て、そう呟くのであった。


「……とりあえず、一番頼りになる所へ行くか」


 俺は、先ず最初に近場にいた人物の元へ向かう事に決めた。


「……シャガール様、お近くに居ますでしょうか?」


 六龍の中でも、恐らく一番理知的な存在であろう紫龍のシャガール様に呼び掛けた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ