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幽閉された式神使いの異世界ライフ  作者: ハクビシン
2章-17 祖父母との初顔合わせ
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バーミスト領での過ごし方

 楽しい俺達にとって衝撃的な事実を知る事になるのである……。

 俺は、目の前で繰り広げられている光景に唖然としながら呟く。


「凄いな……」


 俺の目の前には、多くの料理が並んでおり、どれも美味しそうである。

 しかし、俺とルシアン兄さんの眼の前には食事が並べられる事は無く、先程まで重苦しい話し方をしていたお祖父様が、俺とルシアン兄さんを膝に乗せながら上機嫌で食事をしている。


「そうだろう? そうだろうとも。やはり子供は元気が一番だからな! ほら、ルークもこの魚も食べると良い」


 そう言って笑う彼は、とても嬉しそうに見えた。

 その姿は、父様が厳格だと言っていたものとは程遠い。

 そこにテーブルマナー等は無く、完全に餌付けをされている燕の雛になった気分だった。


「ルークちゃん、はい、あ〜ん」


 魚を食べ終えれば、母様が笑顔でスプーンを差し出してくる。


「あ、ありがとうございます」

「ルーク、ルシアン、こっちのスープも美味いぞ」


 そちらを食べ終えると、カイン兄さんが別の皿に入ったスープを食べさせてくれる。


「う、うん……」

「ほら、ルークちゃん。これも美味しいわよ」


 今度はお祖母様に肉の刺さったフォークを向けられる。


(えぇ……)


 戸惑いながらも、口に含むと、噛む度に旨味が溢れてくる。

 カミナ達は従者としての扱いらしく、席が離れていたが、同じ物を食べているらしい。


「あら、ルークちゃん。ルシアンちゃんも、お野菜も食べないと駄目よ?」

「「は、はい!」」


 お祖父様とお祖母様に挟まれながら、次々と出される食べ物を口に運んでいく。

 ルシアン兄さんは、この辺りから最早諦めの境地に入ったらしく、反応が乏しい。


「ルークちゃん、ルシアンちゃん、別のお魚料理もどう?」

「ルーク、ルシアン、デザートもあるぞ!」


 二人とも、まるで孫に甘過ぎではないだろうか?

 それ程に接してくれるのはむず痒く感じてしまうが、俺は初めて会う孫なのだから仕方ないのだろう。そんな様子を見ていた父様は苦笑していた。


「はっはっはっ! 流石は私の孫だ! こんなにも良い食べっぷりとはな!!」

「ふふっ、本当ねぇ。ルークちゃんは本当に可愛くて良い子ねぇ」


 賑やかな宴は、まだまだ続く様で俺はお祖父様の膝に抱えられたまま、ルシアン兄さんと共に眠りに落ちた。


 翌朝……

 目が覚めると、ベッドの上だった。

 隣を見ると、既に誰もいない……

 起き上がり、部屋を出ると、そこにはリリアナさんがいた。


「おはよう御座います。リリアナさん」


 俺が挨拶すると、彼女は微笑みを浮かべて返してくれる。


「おはよう御座います。ルーク様……昨晩はよく眠れましたでしょうか?」

「はい。お陰様でぐっすりです」

「それは良かったです。朝食の準備が出来ておりますので、食堂へどうぞ」

「はい、分かりました」


 食堂に着くと、父様が待っていた。


「やぁ、よく眠っていたね」

「すみません。父様」

「ははは、構わないよ。今日からまた忙しくなるからね。しっかり休んでおくんだよ」

「はい」


 それから未だ朝食を食べていない者で食卓を囲む。


「そういえば、お祖父様達は何処に行ったんですか? 姿が見えないのですが……」

「ああ、父さん達は朝の見廻りに行ってるよ。そろそろ帰ってくると思うんだけどね」


 その時ーー


「戻ったぞ」

「ただいま」


 お祖父様達が帰ってきたようだ。


「お帰りなさい。父さん、母さん」

「お疲れ様でした。ザリウスお祖父様、ユーディットお祖母様」

「おお、ルーク。起きたのか」

「はい。何時もより長く寝てしまったみたいで」

「そうかそうか。では、一緒に朝飯を食べるか!」


 ザリウスお祖父様は、相変わらず厳つい顔つきだが、優しげな眼差しをしている。

 そして、その横に立つユーディットお祖母様は、果物や野菜が入った籠を背負っていた。


「お祖父様、お祖母様、どちらに行かれてたんですか?」


 俺が尋ねると、二人は笑顔を向けてくれた。


「ちょっと、近くの森まで狩りに行っていたのよ。今夜、ルークちゃんにご馳走してあげるわね」

「ありがとうございます。楽しみにしておきます。ところで……」

「ん、なんだ?」

「いえ、何でもありません……」

「……? まあいいか。それより、お前達も早く食え」

「はい、いただきます。あ、そうだ。お祖父様、お祖母様。後で少し相談に乗って欲しい事があるのですが良いですか?」

「ん? 構わんぞ?」

「ええ、もちろん良いわよ」


 俺達は食事を終えると、お祖父様に許可を貰って、書庫に向かった。


「それで、一体どうしたというんだ?」


 俺は、リリアナさんの状態について、特に記憶を元に戻す方法が無いかを尋ねた。


「ふむ、成る程な……」

「何か、思い当たる事はありますか?」

「いや、すまんが無いな……」

「そう……ですよね……」

「……見た目はキメラ化した結果なのだろう? 暴走の可能性があるのか?それなら、一度調べた方が良いかもしれん」

「えっと、実はですね……」


 お祖父様に、リリアナさんの事を話していく。


「……アスター教なぁ……昔を思い出す名だ」

「お知り合いだったのですか?」

「いや、違う。ワシが若い頃に、ある国で大きな戦争があったのだ。そこで、当時は傭兵として雇われていたのだが、その際に知り合った奴がいてな。そいつが言っていたのだよ。『この世界には真の神など存在しない』やら『真の神は地に落ち、まやかしの神はその座を奪ったのだ』とな、まさか本当に邪教徒だったとはな」


 お祖父様は、溜め息をつく。


「あの国は狂信者共の巣窟だからな、あまり近寄らん方が良かろう」

「そうなのですか……」

「うむ。それと、ルーク。もし、今後リリアナの記憶が戻る事があれば、必ず教えてくれ。場合によっては、すぐにでもユーディットと共に向おう。バーミスト領内で起きた事件だ、ワシの仕事でもある」

「はい! 分かりました!」

「よし! それじゃあ、早速行くとするか!」

「はい!」


 こうして、俺はお祖父様と二人で、リリアナさんの元へ向かった。

 リリアナさんの部屋に入ると、彼女は椅子に座って窓の外を見つめていた。


「こんにちは、リリアナさん」


 俺が声を掛けると、彼女はこちらを振り向いて、微笑みを浮かべながら挨拶してきてくれる。


「ルーク様、ザリウス子爵様、ようこそいらっしゃいました」

「ああ、元気か?」


 ザリウスお祖父様が少し困り顔で問い掛けると、「はい。お陰様で」と答える彼女。

 それから、俺達は彼女の向かい側の席に腰掛けた。


「さて、まずは確認したい事がある。今の分かる範囲で構わないから答えて欲しい」


 お祖父様は真剣な表情で問いかける。

 それに対して、彼女は「はい」と答えてから、ゆっくりと口を開いた。


「私は、ここに来て思い出した事は、誘拐前にユーディット奥様からお使いを頼まれて、そこから戻る際に誘拐されました。そして、それからはずっと暗い部屋と変な容器に入れられて、ですが、最近になって助けられたのですが、未だ記憶が曖昧な所が在ります……」


 やはり、思った通りまだ完全に戻る事は無いか……


「なるほど……では、この辺りで忘れている場所は無いか?些細な事でも良い」

「そう……ですね……あ、そういえば、私の他にも人がいた気がします」

「それはどんな人物か覚えていないか?」

「すみません……はっきりとは……」

「そうか……分かった。ありがとう」


 お祖父様は質問を終えると、俺の方を向いてきた。


「ルーク、お前はどう思う?」

「そうですね……ここに来て、記憶が戻り始めているのかもしれません。ただ、完全に戻らない可能性もあると思います」


 俺の言葉に、お祖父様も同意するように首肯する。


「そうだな。だが、少しでも手掛かりがあるのなら、それに賭ける価値はある。余り無理をすると良くはないだろう」

「はい。僕も同意見です」


 厳つい顔をしたお祖父様だが、話して分かった事は、父様と同じで優しい人なのだと言う事だ。

 お祖父様達と相談してリリアナさんに関して、父様達が滞在する間は、暫く自由に過ごして記憶の回復に努めてもらう事になった。

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