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幽閉された式神使いの異世界ライフ  作者: ハクビシン
2章-16 ドーラン帝国鉱山開拓
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執事のリーベルトとサリエラ元伯爵令嬢

 富嶽の素体として、緋緋色金を用いる事は当然の事、六龍様からそれぞれ貰った武器用の素材と合わせるダンジョンコア、他の魔鋼鉄等も確保したい所だったので、渡りに船という感じなのだ。

 そして、この事をレイさんに伝えると、快く了承してくれた。

 こうして、俺達は鉱山での採掘を終えた。


 翌日、俺達は再び皇帝陛下としてのレイさんに謁見する為に帝国へと戻った。

 そして、今回の採掘の成果を報告する為に、謁見の間へと向かう。

 そこには、皇帝だけでなく、大臣や将軍達も集まるという話だったのだが、何故だろうか顔を合わせるのは初めてな筈なのに、生暖かい目で俺の方を見る人が多い気がする。


「さて、全員集まったようだな。それでは、報告を始めてくれ」

「はっ!! まず、採掘に関しての報告となります。ルーク殿が最初に発見した鉱床に関しては、私共が確認した限りでは、希少な魔鉄を含む鉱石が幾つも埋蔵されておりました。また、他の鉱床に関しても、かなりの量があり、質も良いものが取れると思われます」

「そうか……ご苦労だったな。引き続き、その鉱床の調査を続けろ。それと……ルークよ、お前には礼を言うぞ」

「いえいえ、気にしないで下さい。こちらとしても貴重な体験ができましたし、何より楽しかったですからね。それに、鉱山の所有権については特に何も言いません。ただ、出来れば報奨を選ばせて頂きたく……」

「うむ。それならば問題は無い。ルーク、お前達への報奨は何が良い?」

「そう……ですね。採掘するまでに現れた魔物の素材等を頂けますと、私としては大変有り難く思います」

「成程……そうか、なら、その様にしよう。他に何かある者はいるか?」


 レイさんの言葉を受けて、何人かが手を挙げる。その中に一際目立つ出で立ちの人が居た。レイさんの隣に居るという事は恐らく宰相とかのお偉方だろう。

「私は、ルーク殿に対して勲章を授与すべきだと思います」

「ほう?理由は?」

「はい。彼は、我が国の鉱石事情を把握していたかは定かだはありませんが、最近は上質の物も少なくなっておりました。それを新たな高品質や、希少な宝石が産出出来るとなれば、国庫も更に潤い、民に還元する事も規模や幅が広がります。その功績を鑑みるに、相応しいものかと愚考致しました」

「ふむ……そうだな。確かに、それは良い考えかもしれんな。どうだ? ルークよ、受けてくれるか?」


 俺は少し考える振りをして答えを返す。


「申し訳御座いまけんが、辞退させていただきたく存じ上げます」

「な!? 貴様!皇帝陛下の御言葉に逆らうか!!」

「まぁ待て。理由を聞いておこうではないか」


 激昂しかけた大臣を宥めつつレイさんは俺へ問い掛ける。


「簡単な話ですよ。今の俺は冒険者ですからね。そんな大層なものを貰っても困ります。それに、今回手に入れた物は俺が個人的に使うつもりなんで、あまり公にして欲しくないんですよね。ですから、勲章の類いは遠慮したいんですけど……」


 俺の返答を聞いた大臣は怒りを通り越して呆れ果てている。


「そうか……だが、褒美を断るというのは流石にな……そうだ! ルークよ、褒美の代わりに一つ頼みがある」

「はい? 何でしょうか?」

「ある都市に居た執事と元令嬢を、引き取って欲しいのだ」

「え? どういう事ですか?」

「実はな……ソフィアが動いて居たからあれなんだが……ソフィア、来なさい」

「は~い、お久しぶりかなぁ?ルーク君」

 レイさんの後ろに控えていた彼女は、はにかみながら俺へと声を掛けてきた。

「久しぶり、ソフィア」

「相変わらず元気そうだねぇ〜? 後でお茶でもしましょうか~」


 そんな風に彼女と挨拶を交わした後、その後ろからやって来たのは、夏季休暇前に見た、背の高い老紳士の執事とサリエラ嬢だった。


「リーベルトと申しますルーク様。この度は、お世話になりました。そして、ご迷惑をお掛けしてしまい誠に申し訳ありませんでした」

「あー……うん、大丈夫だよ。それより、どうしてここに?」

「はい。私共は元ガヴェルテス伯爵が引き起こした一件の責任を取る形で、皇帝陛下よりエステングラートからの追放と、爵位の剥奪を受け入れました。今、ここに居るのは私の執事リーベルトと唯のサリエラという事になります」

「成程……そういうことか。それじゃあ、二人はこれからどうするんだ?」

「はい。私達は、ルーク様、ソフィア様にご恩返しをする為にも、貴方様の元で働かせて頂きたいと思っております」

「そっか……分かったよ。それなら、二人共よろしく頼むよ」


 こうして、二人の使用人を引き取る事になったのだが、何故か周囲から先程よりも生暖かい視線を感じるんだよな……。


「さて、報告はこれくらいでいいだろう。皆の者も疲れているであろうから、今日はこの辺で解散とする。それと……ルークよ、お前には改めて礼を言うぞ。よくやってくれた」

「いえ、気にしないで下さい。それでは、失礼しますね」


 そう言って部屋を出ると、そこには見知った顔があった。

「あら……ルークじゃないの。こんな所で何をしているのかしら?」

「リーフィア!? 何で此処に居るんだ? ……ってか、その格好は何だ?」


 そこに居たのは紛れもなくリーフィアなのだが、いつもとは違った雰囲気のドレスに身を包んでいた。


「ふふん! どう?似合ってるかしら?」


 その場でクルリと一回転した彼女の姿に、思わず目を奪われる。


「ああ、凄く綺麗だ」

「っ!! ……ストレートに言われるのは、嬉しいものね。それで……この後、時間はあるかしら?」

「ん? まぁ、特に用事はないし、暇と言えば暇だけど……」

「そう。なら、ソフィアと一緒にお茶会でもどうかしら? 勿論、三人で」

「ん? 別に良いけど、何の話をするんだ?」

「勿論、サリエラ達の話に決まってるじゃない」

「成る程なぁ。まぁ、良いんじゃないか? ソフィアも構わないだろ?」

「私は全然問題ないかな〜」

「よし! 決まりね! 早速行きましょう!」


 俺達はそのまま上機嫌で尻尾を揺らす彼女に連れられて会場を後にすると、そのまま城の中にある庭園へと向かった。


「さて、ここからは少し真面目に致しましょうか」


 庭園に用意されたティーセットを何故かリーベルトさんとサリエラ嬢が準備を進め同時に、何時もの緩いソフィアは鳴りを潜め、今まで見たことがない様な真剣な表情を見せていた。


「えっと……何が始まるんですかね?」

「そうですね……簡単に言えば、私どもの今後の身の振り方についてでしょうか」

「今後……ですか? それはどういう……」


 俺の言葉に答えてくれたのはリーベルトさんだった。

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