神の加護の効果
入学試験まで、今日を含めて、後11日に成っていた。
俺は屋敷の図面を描いて、改修の為の計画を立てると、カミナと渚がやって来た。
「ルーク様、屋敷の改修をなされると聞きましたが、何かお手伝いは必要ですか?」
「ルーク、温泉があるそうだな、屋敷の改修を手伝いに私も行こう」
とそれぞれ、手伝ってくれるみたいだった。
二人を連れて、屋敷予定地に向かうとそこには、何故かデービルさんとダナンさんが居た。
「ルーク様、おはようございます」
「ルーク様、プレア王妃様とレイ様からドワーフの職人と、手伝いを連れて来ました」
と後ろに控えた数名ドワーフの内、立派な髭を生やした人が前に出て
「おぅ、お前さんが依頼人の客だな、俺はこの建築職人を纏めているもんで、ガレーってんだよろしくな」
「よろしくお願いします。ルークと言います」
と互いに挨拶をして話しが始まった。
まず屋敷に関しては、ガレーさん達が内装を全面改修する事にして、錬金術の工房と鍛冶の工房を造る事にした。
俺達は、まず湧き出た温泉を使える様にする為に、温泉を使用した後に川に流す為、ろ過ができるスペースを『サーチ』の魔術で調べた。
結果として、元々、堀当てた噴泉した場所が、地下水脈に通じていた為、その空間に『浄化』の魔導具を作成して設置する事にした。
魔導具自体は、一時間位で作成する事が出来た。
お昼が近づいた際に、渚が作業に当たっていた職人や俺達の食事を用意してくれた。
パンと温かいシチューでとても美味しそうだった。
「皆様、昼食の準備が出来ました。お口に合えば良いのですが、どうぞお召し上がりください」
「おぉ、ありがてぇ」
「渚、ありがとう、でも食材は何処から?」
「はい、カミナに頼んで近くの森から食べれる野菜や肉類を狩って来てもらいました」
「うむ、美味いな、外でこんなに美味いもん食ったのは初めてですよ」
「この状況で、これだけの物を出せるとは、ルーク様は側仕えの使用人もレベルが高いですね」
「有難う御座います、でも使用人じゃなくて私の家族ですから」
渚が誉められるのは、嬉しかったが、あくまでも、使用人じゃなく一人の渚として見てほしかったので、家族と言った。
デービルさんは、意図がわかったのか、渚に
「とても美味しい料理でした」
とお礼を言って、作業に戻って行った。
渚は、少しだけ俺の顔を見て微笑み、給仕と片付けを終えた。
この日ガレーさん達は屋敷の点検と、腐食して使えない物を取り外し、必要な数の書き出しと採寸をして、屋敷内部の作業は終了した。
俺達の作業は、浴槽の作成と着替えのスペース作り、内風呂用の換気扇の作成位になったので、ラーゼリアの屋敷に戻り、換気扇の作成に取り掛かる事になった。
換気扇の羽の枚数や、大きさに少し苦労したが、静かな方が良かったので、ダクトを作成して、縦長の羽根が20枚程度の筒状にしたシロッコファンを採用した。
起動はスライムやゴブリン等の低級魔石で動く様にした魔導具形式にして、一回の起動で約1日中可動する様にした。
因みに、『清潔』『自動修復』の魔術を両方付与してあるので、軽い傷や汚れ等は気にしなくても良くなった。(あくまでも軽い物に限りだが)
換気扇を作成して、風呂の浴槽を図面で書いているとカミナがやって来た。
「ルーク、明日は風呂を造るのか?」
「一応、その予定だけど?」
「よし、では明日のうちに風呂周りは仕上げてしまうぞ」
「いや、1日じゃ無理だろ、カミナ」
「何を言っている?こういう時にこそ、創造神の加護の効果を発揮に決まっているだろう」
「は?……どういう事?」
「加護が、アーティファクト作成に必要な物なのはわかるな?」
「最初にエウリシア神がアーティファクトや魔剣が創れるとは言っていたな」
「要するに、『ものを作る事に関してのスキル』だということなのだが、よくスキルを鑑定して見ればわかる」
「わかった。『鑑定』」
俺はカミナに言われるがまま、『鑑定』を発動する。
【創造神の加護(旧創造神の加護)】
旧創造神の加護、魔力を消費し想像した物を創造する。
錬金術と違い、魔力のみで作成する事が出来るが錬金術と合わせる事で、魔力消費を抑える事も出来る。
作成した物は、加護により同スキルを持って壊そうとしない限り、破壊不可
大きさや、複雑さにより消費魔力が増加する。
現在は旧神である元神の能力の一部である為、作れる物に制限がある。
《作成可能》
アーティファクト 魔剣 魔導具 防具 魔術
表示された内容を見て、俺は頭を抱えた。
「確認したけど、建築に関係した物はないよ」
「そうだな、だが魔術を創造する事は出来るだろう?」
「あぁ!!成る程な、そうゆう事か」
俺はオリジナル魔術を創る要領で、簡単なミニチュアフィギュアを創る魔術を想像した。
「うおっ!これはキツいな」
魔力が、尋常ではない勢いで消費されていく。
魔力を1000消費して、ミニチュアフィギュアが片手に握られていた。
頭で思い浮かべた通りの兎が出来ていた。
「同じ様にこんどは素材を持ってやってみろ」
俺は異空間収納から、綿を出し同じ魔術を使用した。
すると、先程よりも遥かに少ない、魔力10消費してぬいぐるみが3個出来上がった。
「これで、わかったな?」
カミナが、ドヤ顔で俺を見て言った。
一度魔術として作成する事で、消費魔力が減り、錬金術と合わせる事で、作業スピードも上がり、しかも破壊不可のオマケが付くというまさにチート能力だった。
「わかったよ、木材を束ねれば、建物を造れそうだし、岩か土と石灰を使えば、岩風呂も簡単に出来そうだな」
「岩と木なら問題ない。狩りをした時に、ある程度集めておいたからな」
「わかったよ、明日完成を目指すよ」
翌日の作業が決まり、俺は準備を終えてベッドに横になると、いつの間にか眠りに落ちていた。




