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幽閉された式神使いの異世界ライフ  作者: ハクビシン
2章-1 新たなる季節、学院生活の準備
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防具作成と屋敷予定地

【王都ラーゼリア家別邸・錬金術工房】


「よし、まずは製錬魔鉄に変化させるか」

 俺は、昨日受け取った蒼黒鉱石と持っていた月虹水晶を、錬金術の魔力板にのせた。


 魔力板とは、錬金術を行う際に、別の物質同士を結合させるのを助ける役割がある。


 ただし、錬金術のレベルが高い場合は錬成スピードが上がる位の効果しかない。

逆に言えば、低レベルの際には、品質の低下を抑えたり、消費する魔力の量を抑えてくれたりと利点がかなり多い。


 俺の場合は、錬金術Lv6の為、錬成時に同じ鉱石であれば複数あっても、変質や形成に魔力板は要らないが、二つ以上の違う物を使う場合、時間と魔力量がかかる為、今回の様な場合は使用する事にしている。


 蒼黒鉱石を中央に置き、錬金術の陣を起動させると、蒼黒鉱石が徐々に青みを帯びた光を放つ、青い光が安定してきた所で、月虹水晶を砕いた物を鉱石の上に置き、錬成を続ける。


 月虹水晶が混ざり、光がコバルトブルーに近い色に成った所で、注入魔力を一気に上げた。


 部屋の外にまで溢れる程のコバルトブルーの光が納まると、一塊のインゴットが出来ていた。


蒼月(ブルームーン)魔鉱石】


 一般の青月魔鉱石よりも高い対魔力と硬度、軽さを持つ神話級の素材、現在の技術では、まず作る事の出来ないアーティファクトの一つ。

 加工には、錬金術を使うか、エルダードワーフの工房が必要。


 と鑑定した結果が表示されていた。


 俺は、この結果を見て『無かったことにしよう』と思い、加工したワイバーンの合成革を取り出した。


 今回、俺は自分の防具を考えていた。

 機動力を落とさない様にする為、手足と胴のみに防具を作成する事にしたのだ。


 まずは胴の防具、ハーフメイルを作成する事にした。


 首元の攻撃を防ぐ為のガードを取り付けた、シンプルな作りにして、肩周りは動きやすい様に可動域を広く動かせる、分離式の肩当てを作成した。


 手足の防具は、臑を守るレガースとオープンフィンガーグローブに手甲を合わせた形の防具を作成した。


【蒼月のハーフメイル・肩当て】

【蒼月の手甲】

【蒼月のレガース】


 作成の防具に『自動調整(アジャスト)』の魔術を付与して、必要な付与をして全ての作業を終わらせた。


 装備をしていくと、自動調整の効果でしっかりと装着しており、着脱も楽に行えた。


 汚れや傷等は、『清潔(クリーン)』と『自動修復(オートリペア)』で手入れを簡略化した。


 ここまでの作業を終わらせた為、朝からしていたにも関わらず、夕方で辺りは暗闇に包まれていた。


 途中で運ばれていた食事を食べていたので、仕方がないと納得して、装着した装備を異空間収納に入れた。


 夕食を食べた後、部屋でゆっくり休んでいると


「ルーク様、王家からの書状が届きました」


 と渚が王家の捺印が押してある手紙を持って来た。


 手紙に書かれていた内容は、『陞爵の際に言われた屋敷の事で、正式に場所が決まったから、迎えにいった者と明日の昼過ぎに、一度確認に行って欲しい』といったものだった。


 ━━━━━━━━━━

 翌日の昼過ぎに、王家からの迎えが来た。


「こんにちは、ルーク様、今回の案内を致しますダナン・ドレミスです」


「よろしくお願いします。プレア王妃様にお仕えしている方でしたね」


「はい、自分は主に情報収集と処理を担当しています。それでは、こちらの馬車で案内を致します」


 軽い挨拶を済ませ、俺は馬車に乗り込んだ。

 馬車は中央商業区を通り、南西地区に移動していた。


「ここから10分位で到着しますが、学院はこの通りの反対側になります。屋敷の予定地から歩いて40分位ですね、もう少ししたら、硫黄の臭いがしますので、具合が悪くなったら直ぐに言ってくださいね」


「硫黄の臭いがするんですか?」


「えぇ、他の錬金術師に確認を取りましたから、間違いないです」


 俺は、以前デービルさん達と王都に向かう途中で、温泉の話しをしていた。


 前世の家が、硫黄泉の露天風呂と内風呂を持っていた為、白濁して卵の腐ったような臭いがある泉か噴出した所はないか?と尋ねていた。


 恐らく、予定地の噴出したお湯は、硫黄泉の可能性があったので、楽しみになってきた。


 暫くして、懐かしい臭いが漂ってくる。


「あちらの塀から向こう側が、予定地になります」


 ダナンさんが、塀を指差し教えてくれた。


 何でも2年前に元の持ち主が、屋敷の建て替えを行う準備として、地面に土魔術を使い穴を掘ろうとしたのだが、その際に打ち付けた鉄杭が深く入りすぎて取れなくなった。


 仕方がないので、その周りを掘ったのだが、固い岩盤に当たり、その岩盤を魔術で砕いた途端に、破れ目からエメラルドグリーンの熱湯が吹き出した。


 このままではいけないと思った持ち主は、破れ目を塞いだのだが、結果破れ目はどんどん裂けていき、屋敷を巻き込み地下に沈没した。


 吹き出したお湯は、硫黄の臭いであった為、その臭いに耐えきれない人が、周辺から去っていき、持ち主は周辺にいた貴族に賠償を支払い家は断絶したらしい。


 今は、周辺の空き家とこの空き地(沈殿した家あり)が残るのみという事だった。


 吹き出して溜まっていた、エメラルドグリーンのお湯に案内された俺は、鑑定をした。


【泉質】

 弱アルカリ性の硫黄泉。

【効能】

 肌に優しいく、美肌成分も豊富に含む。

 慢性皮膚病、慢性婦人病、切り傷、糖尿病、高血圧症、動脈硬化症、痛風、便秘、筋・関節痛、痔等に効果あり。


 結果として、出た内容を見ると、俺は内心、喜んだ。


 ダナンさんが、俺の様子を見てから


「どうやら、ここで良さそうですね」


 とにこやかに呟いた。


 屋敷について確認をすると、持ち主はもう居ないので、好きにして良いと言われた。


 俺は屋敷の周りのお湯を、水魔術で浮かせて霧散させると、屋敷の中を探索した。


 大半の金属は、硫黄泉のお湯に浸かっていたので、黒くなっているものが大半だったが、中には腐食していない物も数点あった。


 屋敷本体は、修復可能な状態だったので、沈んだ所を土魔術で盛り土で平らにした所に移した。


 翌日から、屋敷と敷地内の整備を行う準備をして俺達は、ラーゼリアの屋敷に戻った。


 その日の夕方、再び王家からの書状が届き、正式に俺の屋敷になる手続きを終えた。


 翌日、俺は改善と改良をする事にしたのだった。

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― 新着の感想 ―
[一言] 「ただし、錬金術のレベルが高い場合はスピードが上がる位の効果しかない」 これは、錬金術のレベルが低い場合は色々と効果があるという意味ですか?
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