新な式神
【王都中央商業区広場】
女神像が設置された噴水の前のに、白いラッパスイセンと彼岸花の刺繍を入れた着物を着た、一人の女性が立って居た。
「主様、渚が只今参ります」
藍白色の髪を靡かせ、彼女はラーゼリア家の別邸に歩き出した。
それは、ルークが天照達に喚ばれている時と同時刻の事であった。
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「ルーク、何を考えている?」
「いや、俺が使役していた式神の事なんだけどね、カミナと焔・雪は、まだわかるんだけどね、俺しか使ってなかったから、考えているのは水蛇なんだよ」
「恐らくだが、こちらに来ている水蛇の正体はお主が助けていた奴だと思うぞ」
「助けた蛇?あぁ、渚か」
カミナの言葉で、ルークはふと思い出した。
渚は、水蛇と蛟の中間で、蛟に成り損ねた雌蛇だった。
式神を作成する為の檻に居たのだが、『水蛇は500年の時を経て、蛟に至り、千年経ては、龍へと至る』と考えられていた時代の大神家が管理していた代物だった。
しかし、檻の中に居た渚は、500年生きて居たと思われる記述があったが、蛟に成りきれてい無い、中途半端な状態で成長が止まっていた。
そのままでは、殺処理される所であったが、当時小学6年の刀夜は、色が綺麗だし勿体ないと思ったので
「本当に処分するなら、俺が飼いたいから頂戴」
と言って、引き取り、渚と名付けて飼っていた。
その後は、カミナと渚と共に過ごしていたが、中学二年の時に、渚が衰弱していき式神にする為の儀式を行う。
儀式自体は成功したが、式神の渚は、力が強く制御が出来ない程の代物になった為、封印されてしまったのだ。
それ以降、刀夜が渚に会う事は出来なくなり、刀夜自身も、神降ろしの暴走で地下牢で衰弱死してしまうのであった。
そんな話をしていると、屋敷のベルが鳴った。
グランツ達は、陞爵された報奨で、今の領地に必要な物を購入する為、フューネラルデの所に買い物をしに行っていた。
冒険者ギルドに登録をした後は、屋敷に戻ると伝えていた為、今の屋敷にはルークとカミナしか居らず、貴族でもない限り、屋敷に用事がある人物など限られていた。
ルークの直ぐに索敵の魔術を行使する。
反応にかかった人物は、女性である事と、魔力の質がカミナと同じ事がわかった。
「着いたみたいだな、迎えるとするか」
と呟き、カミナは下に降りると、女性に声をかけた。
「ここの屋敷に何用だ? 返答次第では、容赦せぬぞ」
「申し訳御座いません、我が主様を捜しておりまして、このお屋敷から主様の気配を感じ取りましたので、伺いました。」
「主様とは、ルークの事か?」
「はい、渚の主様は、今世ではルークという名前で呼ばれております」
「私と共に、前世の名を言ってみよ、我等が主の名は?」
「「刀夜(様)」」
「やはり、お前であったか渚」
「貴女も、お元気でしたか?カミナ」
「あぁ、すこぶる良いぞ、お前が一緒ならば、ルークの安全は、確保されたな」
「えぇ、お任せくださいませ、所で主様は何処に?」
藍白の髪に、トパーズの様な綺麗な瞳、カミナより少しだけ小さな身長と幼げな顔、恐らく同じくらいの胸は、アンバランスさの無い人形の様な姿であった。
「本当に渚なんだね?……久しぶり?」
俺は、少しビックリしながら、渚に声をかけた。
「あぁ!!…この気配、雰囲気…えぇ、間違う事はありません!!我が主様、今の呼び名はルーク様でしたね」
「ムグッ!!」
渚は、身を屈めるとルークをしっかりと抱き締めるが、位置が悪かった。
ルークの頭が丁度、胸の谷間に包まれ、そのまま締め付けられたため、ルークは意識を失った。
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「モグモグ、んっ、流石は渚、主の好みを良く知っておるな」
カミナは、渚が作ったチェロスを食べながら、ベッドで寛いでいた。
「主様、申し訳ありませんでした。嬉しさの余り、抑える事ができませんでした」
「うん、まぁ大丈夫だから、気にするな」
俺達は、部屋に戻ると今までの話をしていた。
渚は、天照様の呼び掛けに応えて、この世界に転移を選んだらしい。
ステータスを見るとかなりの能力だった。
【名前】渚【種族】龍人族
【体力】6,980,000/6,980,000
【魔力】5,809,000/5,809,000
【筋力】SS
【知力】SSS
【器用】SS
【対魔力】SSS
【スキル】龍化(龍の姿に変化出来る)麻痺毒Lv10 フル・エレメント
捕縛術Lv10 飛翔 格闘術Lv10 槍術Lv10
メイドマスター (全ての奉仕術をマスターした証)
一部おかしなスキルがあったが、確かに護衛としては、申し分無い能力だった。
「渚のスキルも、種族も凄いな」
「有難う御座います、ルーク様、私の能力等はこちらでお仕えする為に必要な物を選びました」
話をしていると、バタンと扉が開く音がした。
「今戻ったぞ、ルーク帰っていたら降りて来なさい」
という父様の声が聞こえて来た。
「今のは主様のお父様ですか?」
「そうだよ、尊敬出来るお父様だよ」
と笑顔で、渚に言うと。
「本当に変わられましたね、昔の刀夜様であれば、その様な言葉はありませんでしたもの」
「まぁ、この世界では、愛情があるかな、少なくとも遊ぶお金欲しさで、息子を売る様な事は無いよ」
と言い、俺は父様の所に顔を出した。
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これで、地球での使役していた式神は、全員集合です。
 




