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幽閉された式神使いの異世界ライフ  作者: ハクビシン
2章-15 海洋都市と巨大烏賊
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転移のスキル化

「ただいま戻りました」


 鍛冶ギルドから戻った俺は、ハーガンさんのコテージへ戻ったのだが、屋内に人の気配は無い。

 管理人も居ないようだが、管理人室らしき部屋に張り紙がしてあった。


『ルーク君へ、誰も居なかったら裏の庭へ来てくれ』と恐らくハーガンさんの文字だと思うが、そう書いている指示に従い、裏庭へ向かう。

 裏庭はこの季節に咲く花や、植物を使ったグリーンカーテンが作られており、小さい植物園の様にも感じられるが、そこには黒騎士鎧の(似つかわしくない)姿をしたハーガンさんが立っていた。


「お帰り、その様子だと上手くいったのかな?」

「はい、後は準備が終わればカルロに邸内の捜索。他のメンバーを喚び出して巨大烏賊の討伐が可能な状態です」

「そうかい、そりゃ良かったよ……それじゃ始めようか?」

「始めるって何をでしょうか?」


 俺の言葉に、二振りの双剣(ショートソード)を構えるハーガンさんは首を傾げ、「おかしいなぁ?」と呟きながら頰を掻いた。


「いや、てっきり話がいってる物だと思ってたんだけどね~、対人戦の訓練相手さ。ソドムの大公様とは素手の打合せしてるけど、剣術相手の訓練ってあのカミナって女性がやってんだろう? で、他の訓練はダリウスって執事さんがやってる…かなりえげつない内容だが、よくやってたな?」

「あはは~、出来れば二度とやりたく無いですけどね」


 魔獣狩りに捌き方、魔術の速読と術式分解……まぁ、5才児にさせる内容の訓練では無いのは確かだろう。

 お陰で再構築やオリジナル作成に役立っているから良いけどね。


「そこで、転移の戦闘技術化を俺が教えてやろうかなって思ったから、その許可をレイに貰って教える事になってたんだけど、手紙とか来てなかった?」

「転移の戦闘技術化!?」


 確か以前にソドムさんから聞いたことがあるのは、レイさんが戦闘技術に転移を取り入れているみたいな事を言っていたが、教える戸言うことは、ハーガンさんも扱えるのだろう。


「あぁ、何せレイ教えたのは俺だよ? 面白くねぇのは教えて一月もしねぇ内にマスターしやがった事くらいかな。俺が半年も掛けて編み出したってのに……まぁ、適性が高けりゃ仕方無いのかも知れないけどよ」


 転移の戦闘技術化をしたのが、ハーガンさんだというのは知らなかったが、移動する為の術を戦闘で扱うのは非常に難しい場合が多い。

 座標を目算で測り、他の物体が導線の終わり終着点に重ならない事等色々ある。

 要するに、下手な転移を行うと壁に埋まるという事だ。


「まぁ、先ずは模擬戦がてらどんなもんかを見てもらう……体感してもらうの方が合ってるか? まぁ、大体そんな感じだ」

「成程、所でその構えた剣はどうするつもりですか?」

「あぁ、コイツは刃を落としたやつだから、当たれば痛いが、その歳に似合わねぇ戦闘技能を持ってんだ。大丈夫だろう? それに、打合いは転移を戦闘スキル化出来てから行うから、所謂ところ攻撃の仕方、合わせ方を見せる物だ。お前も双剣使うんだろ?」


 どうやら、双剣をメインに使うことを知っていて、その動き方を見せて貰えるという事なのだろう。

 帝国の第三黒騎士の剣技を間近で見るなんてチャンスは早々無いのだから、しっかりと見て吸収しなければ!!


「うっし、それじゃ転移を使った剣戟を()()()()()()?()


 そう言い放った瞬間、ハーガンさんの姿は消え去る。

 ……そう思った時には既に遅く、俺の喉元には落とした刃先が添えられていた。


「まぁ、構えてない奴なら、大体こんな感じだ。然し面白いな、全く瞬きもせず視線は追い掛けてきやがった」

「一応、転移を扱うことは出来ますから、後ろを狙ってるのは何となく詠めたので分かりました。……でも、反応出来ませんでしたね」


 転移を発動した瞬間に術式の一部を視たが、辛うじて後ろに現れると思われる座標が読み取れただけで、術式の展開から発動迄の時間は、俺よりも速い物だった。


「あの瞬間で術式の一部を視たのか? やっぱウチの姫が騒ぐだけあるわ……いっその事、俺の部隊に入団してほしいぐらいだ」

「力だけでは行い難く、技術のみでは立ち行かぬ。柔よく剛を制し、剛よく柔を断つ、即ち柔剛一体こそが武の真髄也」

「ほう、面白い本を読んでるな? テルユキ・ユキムラの拳闘武術書の一文だね」


 同じ世界の偉大な先輩達が残した書物は、読めるものが少ない。然し、それだけ面白くもあり懐かしく感じる品でもあったので、帝国の図書館で見付けた際には、読み漁るほどだった。


「いくら力があっても、扱えなければ意味はない。技術のみでは力が足りず、決定打に欠ける。ならば、時に強く、時に靭やかに頭と身体を使えば道は開かれるって言葉が好きでしてね。術者の嫌がる事を行うのも、魔術師戦では重要ですから」

「そうだな、そこは同意だ。だけど、今のは術式をそのまま使った転移攻撃だ。次はスキル化をした物で行くよ?」


 ハーガンさんは再び転移で元の位置に戻ったが、今のが術式を利用したのだと言っていたが、スキル化をした物はこれ以上に速いのだろうか?


「それじゃ…行くよ?」

「!?」


 ━━俺は意味が分からなかった。

 今、目の前に居た筈なのにもう喉元に刃が触れている。

 術式も視れなければ、魔力の一部を読み解く事も出来無い。

 瞬きの間もない程の速度で詰められたのだろう。


「さっきよりも速いだろう? 今のが術式からの発動したものと違う戦闘スキル化した転移だよ。魔力で発動するわけじゃ無いから、読めなかっただろ?」

「凄いです! でも、どうやって転移をスキル化出来たんですか?」

「ん〜、簡単に言えば、魔術の無詠唱と同じで、ひたすら転移からの攻撃を繰り返していたから、スキル化をしたってのが正しいんだけど、そこからレイに教えて効率化が進んだってのが流れだよ。だから、ルーク君には更に効率化した方法を教える事に成ります!」


 そう言って、ハーガンさんは巨大な丸太を何も無い空間から庭に取り出すと、少し地中に埋める。


「この丸太に転移からの攻撃を繰り返し行って削り切るんだ。こんな風に」


 そう言って無傷の丸太の隣には、左端まで剣の跡が残る不格好な形に成った丸太だったものが取り出された。


「大丈夫、コレは一月レイが削った木だ。お前さんならここでの討伐前に完成できるって言ってたから、多分大丈夫だろうさ」


 ハーガンさんはニコニコしながら、こちらを見ていたが、削る前に新たな双剣を作製しなければいけないなぁ。

 ……その時は思っていたのだが、この転移のスキル化をした結果、新しい使い方を見つけてしまうとは思ってもみないのだった。




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