プロローグ3~いよいよ異世界へ~
「スキル構成が、やたらと戦闘職業に特化しとるのぅ」
「あぁ、ツクヨミ様、幽閉される前にしていたゲームに近いスキルが多かったので似た構成にしましたからね、式神も向こうで使えるか怪しいので」
「ならば儂からも一つギフトをやろう、それ」
ツクヨミ様が手を振ると光の球が身体入った。
「これは?」
「式神を向こうでも使役する為のスキルじゃ、闇夜と五穀が儂の分野、故に向こうで言う、《闇の属性スキル》を作るのも可能よ」
「ありがとうございます」
「気にせんで良い、今回の儂からの餞別じゃからな、向こうに行く判断をしたのはお主だが、そうさせたのは儂らみたいなもんじゃ、本来ならば、老衰まで生きておったからのぅ」
ツクヨミ様は、そう言って元の位置に戻った。
しばらくして、エウリシア神が手に、水色の小箱を持って帰って来た。
「転生先とギフトの用意が終わりました。先にギフトからお渡ししますね」
どんなギフトがもらえるのかと、期待をしながら受け入れる。
◎隠蔽変換(ステータスや能力の隠蔽、又は記載の変換を行える。鑑定スキルも無効)
◎創造神の加護(スキル《創造》が使用可能になる)
◎基礎スキルセット(鑑定・生活魔法・翻訳変換・異空間収納の転移・転生用セット)
基礎スキルセットは、スキル表になかった物。
隠蔽変換は不要なトラブルを避けるのに必要な物。
問題は加護、身体に入った瞬間に明らかにヤバい物だと体感した。
「この加護って何ですか」
「これは私の加護で、名の通りに、創造に関するスキルですよ、軽い加護なら職人の方が、何千人か持っているものですね。」
ここで終わったならば、まだ納得ができた。
「但し、直接の加護は刀夜さん以外だと、転生先の国、《ウルムンド王国》初代国王だけです。直接だと魔剣とかアーティファクトが出来るので、ギフトで隠蔽変換してくださいね」
と不穏なワードがやはり続いた。
「隠さないと不味いスキルとか要りません、何かの拍子でバレたら不味いと思うので、加護を下げれませんか?」
「先代の創造神が、作成した物ですから、今の私では無理です。まぁ隠蔽変換を見破れる人はあまり多く無いので、多分大丈夫だと思います」
刀夜は思わず頭を抱えたが、心の中でエウリシア神=駄女神の図式が、成立した。
「次に転生先ですが、候補が3組有りますので、選んで下さい」
提示してきたのは次の3組だった。
最初の組は、貴族の家庭で子爵家、三男で、家族構成は父(25)母(22)長男(4)次男(2)
領民に慕われる領主で、家族仲も良好。自然に囲まれた片田舎の地域ラーゼリア領、未開拓の鉱山資源が多く眠り、魔物が巣くう山や森がある土地。
次の組は、元Aランク冒険者の夫婦の家庭、長男で、家族構成は父(22)母(23)長女(4)
王都レシアスとヘルセル領の中間にある町トラル、魔物や盗賊の被害は無いが、近くにダンジョンが有る為、ダンジョン都市に発展する予定の土地。家族仲は良好ではあるが、父親が出稼ぎの為、家に居る日が少ない。
最後の組が、宮廷魔術師の家庭、長男で、家族構成は父(20)母(19)長女(2)
王都レシアスの王城が有る地区に、魔法訓練所や巨大書庫等を所持する。一族の当主のみに伝わる秘術が有る。家族仲がすこし悪く、主に父の酒癖の為注意が必要。
どの家族に行くとしても、裕福に暮らせると思われる家庭ばかりであり、同時に苦労するんだろうなと、幽閉前に読んでいた小説を思いだしていた。
手にしたスキルの内容が、チートスキルの塊である為、転生先はどこでも良かった。
なので、貴族の家庭を選択する事にした。
理由として、公・侯・伯・子・男の順番で下から二番目の爵位であり、他の兄弟が家を継ぐ為比較的に、自由である事。
未開拓の鉱石がある為、上手く行けば、容易く鉱石類が、手に入れる事が出来る事。
ツクヨミ様からのスキルに魔物や魔獣が使える物があった事。
が理由になった。
「はい、刀夜さんの転生先は、ラーゼリア子爵家の三男に決まりです。最後にこの箱を使って下さい」
そう言って、水色の小箱を渡してきたので受け
取り、使う前にエウリシア神に確認をした。
「これは、補助材です。転生した際に、本来生きていたはずの寿命を、スキルポイントに換算するので、円滑に使用する為の物です」
「本来の寿命ですか?」
「えぇ、本来ならば、結婚して子二人、孫4人に囲まれて、113歳迄生きる大往生の予定でした。ですから、ツクヨミ様と相談し、多少のスペックオーバーでも良いので、転生先で過ごしてもらう事になりました。これで全ての準備が終わりました。カミナは、ツクヨミ様のスキルで呼べますので、使える迄は神界で過ごします。これから先は、干渉する事ができません、それでは良い人生を―――」
「私も準備が終わった。向こう側で呼ばれるのを待っているぞ」
その言葉を聞きながら、俺は意識が薄くなっていった。